表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1885/2396

船上パーティ⑩



 アイシスさんと楽しく雑談をした後は死王陣営のいる場所から離れて次の場所に向かう。幸いまだパーティは開始して間もないので、まだある程度陣営事に固まってくれているので挨拶は楽である。

 さて、次はどこにと視線を動かしていて……とある存在を見て視線が止まった。視線の先にいるのはスーツっぽい服をギッチギチに着たコングさんであり、その凄まじいインパクトの見た目に思わず唖然としてしまった。

 するとそのタイミングでコングさんもこちらに気付いた様子で、ニカッと豪快な笑みを浮かべて話しかけてきた。


「カイトじゃねぇか! 今日は招待ありがとうな、いや~すげぇ船で驚いたぜ! やっぱすげぇ奴だなお前は!」

「あ、どうも、こんにちは、コングさん」


 コングさんとは六王祭でメギドさんと戦った後の宴会や、新築記念の際のパーティなどいくつかの場面で会う機会はあった。最初の時点だとパンドラさんにボコボコにされた方ぐらいのイメージだったが、普通にいい人である。

 かなり単純な思考というか裏表のない方で、六王祭の時の宴会でもメギドさんと戦った俺のことをかなり褒めてくれた覚えがある。

 まぁ、それはいいんだ……問題はその見た目である。コングさんの見た目はほぼゴリラというか、角がある以外はまんま巨大なゴリラであり、そのゴリラがピチピチのスーツを着ている姿は、なんというかその……面白かった。


 いや、だって、サイズが明らかに合っておらずピッチピチというかミチミチって感じであり、あまりにもシャツのボタンにかかる負担が大きすぎるというか、逆になんでそれだけミチミチで弾けずに堪えていられるのか不思議なぐらいである。

 もちろん、いくら面白いからといって笑うのは失礼だし、絶対にダメだ。人の格好を笑うなんて最低だし、コングさんもパーティに合わせてわざわざ着て来てくれたのだろうから、それを感謝こそすれ笑うなどもってのほか……なのだが……せめてこう……サイズとかもうちょっといいやつなかったんですかね!? というか、この見るからにサイズがあってないシャツをよく着れたもんだと感心する。


「親分に会いに来たんだろ? 親分ならこっちだぜ」

「あ、はい。ありがとうございます」


 とりあえず自分の太ももを抓って笑わないように我慢しつつ、コングさんに案内されるように移動……背中も破壊力すげぇな。シャツが悲鳴上げてそうな感じが悲惨すぎる。

 と、ともかく少し移動するとオズマさんやバッカスさんの姿が見えたので、戦王陣営で固まって要るようだがアグニさんとイプシロンさんの姿が無いので、他の場所に行っているみたいだった。

 あれ? それはそうとメギドさんは?


「親分! カイトが来ました」

「おぅ! カイトか、よく来たな! 遠慮せずもっと傍にこい!」

「…………は? え? メ、メギドさん?」


 なにやら可愛らしさを感じる声が聞こえて視線を動かすと、そこには完全に予想外の姿のメギドさんが居た。クリクリとした癖の強い赤のセミショートヘアに大きな二本角と、そこまではいいのだが……体格がクロほどしかなく、可愛らしい雰囲気のドレスを着た少女が楽し気に笑いながら手招きしていた。

 それがメギドさんであるというのは、感応魔法とかから伝わってくる感覚で分かるのだが……なにその見た目!? 普段の魔獣のような姿でもなく、人化した筋肉質な男性でもなく、本来の姿のグラマラスな女性でもない……謎の幼女形態である。


「あん? そんな顔してどうしたんだ?」

「旦那、ミヤマくんは旦那のその姿を見るのは初めてなんじゃないですか?」

「ああ! そっか、そういうことか!!」


 不思議そうに首をかしげていたメギドさんだったが、直後にオズマさんが告げた言葉に納得したような表情で頷く。

 そしてそのままオズマさんがメギドさんの状態に関して、簡単に説明してくれる。


「ミヤマくん、旦那は人化の姿が4種類ぐらいあってね。その時の気分で使い分けてるんだよ」

「あっ、そういうことなんですね。なるほど、いままでメギドさんが人化した姿というと筋肉質な男性の姿のイメージだったので、驚きました」

「ああ、確かにその姿になるのが一番多い気がするな。まぁ、別に大した違いなんざありゃしねぇから気にすんな」


 いや、だいぶ違うけど!? 少なくとも今話を聞いた上でも、可愛らしい少女の姿と声の人物がメギドさんだって思うと思考が混乱しそうである。


「……ちなみに、今回はなぜその姿に?」

「ああ、このドレスだ。ちょっと前のハイドラ王国の建国記念祭で買ったんだがな。ハイドラ王国の最新鋭デザインを取り入れつつも、シンフォニアやアルクレシアの古い技法も盛り込んでて一目で気に入って買ったんだよ。まぁ、複数の技法を組み合わせるバランスは手探り状態なのか、少し散らかってる印象はあるが、その挑戦的な作風が気に入ったんだ! んで、せっかく買ったんだから着るかってことで、このドレスに一番合うのはこの姿だったからな」

「な、なるほど……」


 確かにメギドさんがいま着ているドレスはフリルなども多く付いた可愛らしいデザインであり、本来の姿のグラマラスな女性とかだと雰囲気に合わない感じがする。

 うん、その姿できた理由は納得できたが……やっぱり、なんか話してると脳がバグりそうである。




シリアス先輩「まさかの、メギド幼女形態……確かに性格とか喋り方が元のまんまで、可愛らしい少女になったら脳がバグるかも……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] メギドさん芸術への造詣が深い描写あったけど服飾デザインも守備範囲だったんですね 自分でデザインした服とかも作ってたりして
[一言] 脳がバグってマス おタスケくださイィ
[一言]  あら、メギドさんでしたか。アイシスさんの時は本当にただ近くに居ただけだったんだね。  コングさんとの会話は六王祭以来……と思ったけど、描写がなかっただけで話していたんだね。 いや、コング…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ