表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1880/2397

船上パーティ⑤



 シロさんとある程度雑談をした後に向かうのは、マキナさんの元である。いや、これは少し語弊があるかもしれない。正しくはマキナさんとエデンさんがいるところである。

 いや、今回のパーティにはマキナさんとエデンさんと両方参加している。同一人物ではあるのだが、こちらの世界の人たちにとってなじみのあるのはエデンさんの姿の方だからか、同時に捜査しているとのことだ。

 イマイチ理屈はよくわからないが、アリスの分体みたいなものだろうと勝手に納得している。


「愛しい我が子、いらっしゃい! 母に会いに来てくれて嬉しいよ!」

「こんにちは、マキナさん……とはいっても、パーティ前にも会いましたけどね……えと、エデンさんもこんにちは?」

「こちらの私にまで挨拶をしてくれるとは、やはり我が子は優しいですね」


 う~ん……あれ? なんか、気のせいかエデンさんの方は落ち着いているような感じがする。いや、マキナさん状態の時は暴走してなくても「愛しい我が子」って読んだりするので、判別しにくいがエデンさんの方は「愛しい我が子」と呼んでこなければ、かなり落ち着いている状態だ。

 それを疑問に思っていると、マキナさんの隣にいたアリスがどこか呆れた表情で声をかけてきた。


「あ~カイトさんの考えてることはなんとなくわかります。あと詳細を聞くとたぶん呆れますけど、私が説明しましょう。なんかほら、そっちのエデンさんの方の端末でこっちの過去の勇者役とかにも会ってて、イメージ壊さないようにそっちは落ち着いた感じで行くらしいです」


 えっとつまり、他の異世界人……例えば香織さんとか茜さんは、エデンさんの暴走を知らないのでそのイメージを壊さないようにエデンさんの方は落ち着いた感じで……この場合は暴走しないようにするってことらしいけど、それができるなら普段から抑えられているのでは?


「そういうことだよ、愛しい我が子! 母も我が子たちのイメージを壊さないようにしたいしね。ただそこは安心してほしい、愛しい我が子への愛はこっちのほうでしっかり表現していくから! 甘えてくるなら、こっちの私に甘えてね! なんならいますぐ母の胸に飛び込んできてもいいんだよ。というか、飛び込もう、さぁ、母の愛をたんの――痛いっ!?」


 ああ、なるほど……暴走はマキナさんの方(こっち側)でするのか……。そういえば先程から基本的にマキナさんの方が話してきているので、暴走する可能性がある俺との会話は主にマキナさん側で行うつもりのようだ。

 そして、さっそく変なことを言っていたマキナさんの顔に、躊躇なくアリスの拳が叩き込まれた。


「あ、アリスぅ……痛いんだけど……アリスが、力落とした状態じゃないと絶対に参加させないっていうからこの端末の力落としてるから、そんなパワーで殴られたら普通に痛いんだよ?」

「痛くするように殴ってるに決まってるじゃないっすか……ただでさえこっちはパーティ中ほぼマキナ係みたいなことが決定してて頭抱えたい気分なんですから、ちょっとでも変な兆候が見えたら容赦なくぶん殴りますからね」

「ひぇ……目、目が本気だよ……」


 本当にアリスの存在はありがたいというか、マキナさんは親友同士ということもあって基本的にアリスには甘いというか、シロさんやクロが窘める以上にアリスが抑えるというのは効果的だ。

 いままでは、俺と夢の中であっていることをシロさんにバレないように、アリスとの関係も含めて俺の記憶からマキナさんの存在を一時消しており、アリスもそれに配慮していた。

 だが、その制限が解禁されたおかげでこうして堂々とアリスが抑えに回れるので、本当に心強い。いや、アリスは大変だとは思うが……暴走したマキナさんはマジで危険なので、なんと頑張って抑えてほしいところだ。


「いいですか、マキナ。今回暴走でもしたら、以前に一緒に豪華客船で旅した時の写真を全部カイトさんに進呈しますからね」

「やめてぇ!? 穏やかで頼れる母としてのイメージが壊れちゃう!! というか、アレまだ持ってるの! 前に処分してって言ったじゃん!!」


 それがどのような写真かは分らないのだが、マキナさんに穏やかで頼れる母というイメージを抱いたことはないので、たぶんイメージが壊れる心配はないと思う。


「……私にとっては、大切な親友との幸せな思い出の一枚なんですよ。処分なんてできるわけがないじゃないですか……」

「……あっ、そ、そうなんだ。それなら仕方いなぁ……そういわれちゃうと、無理に処分しろともいえないね。で、でも恥ずかしいからほかに見せちゃだめだよ」


 猛然と抗議していたマキナさんだが、アリスの一言であっさり許す辺り、やはりアリスに甘いというか……だいぶチョロい感じがする。

 実際アリスの方も悪い笑み浮かべてるし、完全に計算づくでいっただろう。まぁ、なにはともあれ、今回のパーティに関してはアリスがついているので、マキナさんに関してはある程度安心なのは本当にありがたい限りである。




シリアス先輩「これは優秀なマキナ係、というか実際にマキナはアリスには快人に対してとは方向性が違う激甘状態だし、ある意味完璧にマキナを抑えられるのはアリスぐらいか……今後もマキナ係確定だな」

???「やめてください。アリスちゃんの負担を何処まで増やす気ですか……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] マキナ係させられて苦労してる王をどう思ってるんだろうか十魔達…
[一言] シリアス先輩、自分もあんな感じでチョロチョロチョロインだったから、そこには触れないというか、自覚もないから気にすらしないんだろうか。
[一言]  まぁ、普通に2人で一緒に居るのか。マキナさんは普通に楽しむだろうけど、エデンさんの方は快人さんとの挨拶が終わったら、快人さんと他の我が子達の様子を見つつ、気負いすぎたり何かあったりしてたら…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ