船上パーティ④
シロさんと一緒にクロノアさん、フェイトさん、ライフさんのいる場所に移動する。他の上級神や下級神はいない様子なので、パーティ中はシロさんの傍に控えるのは基本的に最高神の三人になるみたいだ。
「まぁ、しかし挨拶といっても、シロさんに関してはパーティ前にも会ってますし、挨拶は終わってるといえば終わってるような……軽く雑談する感じですかね?」
「なるほど……ではどうぞ」
シロさんがそう言って軽く手を振ると、テーブルと椅子が出現した……いや、まぁ、いいか、相手はシロさんなんだしこれぐらいの言葉起こっても不思議ではない。
「クロノアさん、フェイトさん、ライフさんも、今日は来ていただいてありがとうございます」
「ああ、ミヤマも初めての主催で慣れぬ部分が多いと思うが、気を張りすぎぬようにな」
「カイちゃ~ん! 私、パーティ中はシャローヴァナル様の補佐もあってカイちゃんとゆっくり話せないから、あとでイチャイチャしようね!」
「別に私と時空神に任せてタイミングを見て話しに行ってくれても大丈夫ですが……いえ、それだとなんだかんだで気にしてしまって、気楽に過ごせませんかね」
ついでに最高神の三人とも軽く挨拶をする。近くまで来て挨拶をしないのも不自然なので、これに関しては順番的な問題はないだろう。
ただあくまでシロさんがメインということで、挨拶は簡潔にしてあとはシロさんとの雑談をすることにした。フェイトさんに関しては、本人が言っているようにあとで時間を作ろう。ライフさんのいう通り無理に時間を作っても、フェイトさんがシロさんの方を気にしそうな気がするし、その方が気楽に話せるだろう。
「そういえば、今回は食事を伴うパーティですけど……シロさんが食事しているところってあんま見る機会が無いですよね? 一緒に海に行った時と、六王祭と、海水浴……海で食べてることが多いですね」
「そういえばそうですね。今回も広い意味で言えば海に来ていると言えなくもありませんし、バランスを取るために快人さんは私を海以外の場所に食事に誘ったるするのがいいのでは?」
「それはそれで楽しそうではありますが、シロさんが普通の店に食事に行くといろいろ問題が……あ~じゃあ、例えば俺の部屋で一緒に食べたりとかは大丈夫かもしれませんね」
シロさんが普通の店に食事に行くというのは、アイシスさんとは別の意味で大変だ。とにかく騒ぎになるし神族が厳重警戒状態に移行するので、店がある国も店もともかく大騒ぎになる未来しか予想できない。
まぁ、だからこそ過去にシロさんと一緒に食事した時は大抵そういう、他に人があまりいなかったりする場面が多いのだが……弁当作ってくれたこともあった気がする。
ともかくそれなら、俺の家に招待して一緒に食事をするというのは普通にありである。まぁ、シロさんは基本的に食事とかはしないので、無理に一緒に食事をする必要はないかもしれないが……。
「なるほど、では楽しみにしています」
「……うん? あれ? いま、俺の部屋に招待して食事することが決定しました?」
「はい。楽しみにしています」
「……わ、分かりました。じゃあ、またなんか考えときます」
静かながらどこか有無を言わせぬ感じで告げたシロさんによって、また今度シロさんを家に招待して一緒に食事することが決定した。
ま、まぁ、シロさんと食事すること自体が嫌なわけでもないし、それはそれで普通に楽しみである。いっそ、俺が手料理を振る舞うというのは……いや、本当に簡単なものしか作れないし、それは失礼かな? それなら普通に料理長に用意してもらった料理の方が……。
「快人さん、私は料理に必要なものは技術ではなく愛情だと思うのです」
「……え? あ、はい」
「恋人のために一生懸命創意工夫をして作る料理、それは本当に素晴らしいものでしょうね。私も一度食べてみたいものです」
遠回しのアピール……いや、全然遠回りしてないわこれ、真正面から要望出してきてる。シロさんは俺の心が読めるので、今俺が一瞬手料理を作ろうかと考えたのも当然読み取っており、シロさん的にはそれを強く推してきているみたいだ。
「……わ、分かりました。頑張ってみますが……あんまり期待しないでくださいよ」
「分かりました。心の底から楽しみにしておきます」
あれ? おかしいな、話が通じてないぞ……あまり期待しないようにといったのに、滅茶苦茶期待してる感じの言葉が返ってきた。
……とりあえず、パーティが終わったら料理を練習しよう。いまもたまに教えてもらってやったりしているが、もう少ししっかり教わろう。
シリアス先輩「……次はヤベェ神か……あれ? でもどっちの方に行くんだ? この世界的に認識されている地球の神ってエデンの方だし……」