表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1873/2397

閑話・パーティの余興



 少し時間はさかのぼり、船上パーティの準備を始めたばかりのころ、快人は自室で招待状のリストを作りながらアリスと会話していた。


「カイトさん、カイトさん」

「うん?」

「思ったんすけど、私って実質カイトさんの家に住んでるようなものですよね?」

「まぁ、そういわれてみれば、そうかもしれないな」


 アリスは基本的に24時間体制で俺の護衛に付いているので、事実上一緒に住んでいるといっても間違いとは言えない。

 まぁ、基本的に姿を消してるし、夜とかは屋根の上でのんびり過ごしてたりするらしいので、あんまり一緒に住んでる感はないが……。


「こことかにも私の休憩室があるわけですし……」

「なに当たり前のように俺の部屋の壁をスライドさせて謎の隠し部屋を出現させてるんだよ。というか、お前本当にこの部屋に俺の知らない隠し機能がいくつあるのか、細かく聞きたいんだけど……」

「あはは、まぁ、それは置いておいて……」

「……勝手に置かないでほしいけど……それで?」


 俺の部屋の隠し機能については本当に一度しっかり洗いたいものだが、適当にはぐらかしそうな気もするのでとりあえずいまは先に本題を聞くことにしよう。


「まぁ、つまりなにが言いたいかというと、私も実質カイトさんの身内みたいなものってわけですよ!」

「……なんか手伝ってくれるってこと? いや、でもこのタイミングで言い出したってことは、パーティそのものの準備とかじゃなくて、他のなにかってことかな?」

「おっ、さっすがカイトさん、よくわかってますね。いや、別に準備の方を手伝ってもいいんですけど、それだとカイトさんたちのやりたいことというか、形態みたいなのから外れちゃいますしね」


 俺もアリスのことはそれなりによく知っている。もしアリスがパーティの準備を手伝うつもりなら、もっと前……それこそ企画の段階で提案してきていただろうし、このタイミングで言うならそれ以外の部分であるというのは理解できる。

 気の利くやつだから、俺やアニマたちが主催側として頑張ってる状況に水を差すつもりはないのだろう。実際、アリスが本格的に参加すると、だいたいアリスに任せればいいじゃないかみたいな状態になりそうだし、それでは新築記念パーティの時の二の舞である。


「いえ、パーティでの余興とかに関して、私に任せてもらえたらな~って思ったわけですよ。あっ、別に変なことするわけじゃないっすよ、楽器の演奏とか秘蔵の美術品の公開とか、そんな感じですしちゃんと事前になにするかは伝えます」

「……なるほど、確かにパーティの余興とかその辺までは、現状だと手が回ってないな。ずっと食事と歓談ってだけより、そういう変化があったほうがよさそうではあるか……う~ん、じゃあ任せていいかな? もちろん内容とかは俺やアニマと相談して最終的に決定してほしいけど……」

「了解っすよ。まぁ、任せてください……せっかくのなのでアリスちゃんの秘蔵のコレクションとか出しちゃいますかね」

「それマトモなやつなのか?」

「いや、別に変なもんじゃないっすよ。ほら、まぁ、カイトさんは普通に気付いてると思いますけど、私っていろいろ別の名前で活動してたりするんすよ。鍛冶だったり、音楽だったり、美術だったりって……まぁ、金銭目的だったり暇つぶしだったり、理由は様々っすけど……作ったはいいですけど、公開してないものも結構あるので、そういうのを公開しても面白くないっすか?」


 あ~つまり、幻王秘蔵のコレクションって感じの括りで紹介したりするわけか……俺がアリスと仲がいいというか、恋人同士なのは参加者のほとんどが知ってることだし、別におかしくはないか……。


「騒ぎになったりする危険とかは?」

「う~ん。たとえば、いろんな分野で有名な作品が多いので知ってる人は驚くかもしれませんが、過剰にって感じにはならないと思いますよ。あくまで快人さんが所有している品ではなく、私こと幻王が所有している品って扱いになりますしね」

「……なるほど、確かにそれなら大丈夫か」


 俺のコレクションとかって話になるとまた騒ぎになるが、あくまで幻王であるアリスのコレクションを余興として一部公開するというだけなら別に問題はないだろう。

 そもそもアリスはその辺り気が利くし、とんでもない騒ぎになったりすることはないと思う。ただ、それはそれとして人を驚かせて楽しむところもあるので、見る人が見れば仰天するような品は公開しそうな気がする。


「音楽は前にカイトさんの誕生日にやった感じで、合間合間に演奏する形でいいかなぁ~と」

「確かに音楽があると華やかに感じるな……うん。じゃあ、せっかくだし頼む。あっ、でも、ちゃんと事前になにやるかは俺やアニマに伝えてくれよ」

「ええ、その辺りは大丈夫です」


 そんなわけでパーティの余興に関してはアリスに任せることになった。アリスのことは信頼しているし、大丈夫とは確信できるんだが……。


「……それはそれとして、なんで急にそんな協力をする気に?」

「まぁ、いろいろ高度で複雑な理由があるんですが、端的にまとめると……暇なので」

「深さの欠片もない……」




シリアス先輩「昔は悪ふざけとかかなり警戒されてたのに、恋人になってからはむしろぶっ飛んだ連中のストッパーに回ることが多いせいか、快人からの信頼がだいぶ上がってるなアリス……」

マキナ「アリスは献身的で優しいしね。それにしても、我が子だけじゃなくアリスにまで迷惑かけるなんて、そのぶっ飛んでる連中は一度母である私が説教したほうがいいんじゃないかな……」

シリアス先輩「いや、お前むしろそのぶっ飛んでる連中の筆頭なんだけど!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ちょっと1回カイトの家に隠されたカイトの知らない機能を説明するあとがきがあってもいおとおもうんですよw
[一言] カイトクンさんと違って、"混乱は呼ばない程度に抑える"って言葉に信憑性があるな。
[一言]  ここでアリスの閑話か。いや、快人さんの部屋の隠し機能は俺も気になる。本当に何個あるんだろうねw  ふむ、余興として楽器の演奏や秘蔵の美術品の公開とかの提供ね。余興と聞いてビンゴとか宝探し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ