エイプリルフール番外編・(略)
今日は帰宅が遅くなって短めになってしまったので、エイプリルフールを延長して明日もこの続きを更新します。
4/2去年と内容が被っていたので調整しました。
ある日の昼下がり、部屋で雑誌を読んでのんびりしていると突然前触れもなく部屋のソファーの上に人が落下してきた。
いや、言ってて自分でもどういうことかと思うが、マジで突然虚空から現れてソファーに落下したのである。誰かが転移魔法で来たのだろうか? にしても、変な転移の仕方だった気が……そう思いつつ、立ち上がってソファーに近付くとセーラー服の女性が腰を押さえて苦しがっていた。
「ふおぉぉぉ……腰打った。あとなんで、今回は室内なんだ?」
「……シリアス先輩じゃないですか……なんでいきなり俺の部屋に?」
腰を押さえて悶絶しているシアさんによく似た人物は、過去にも何度か会ってる自称シリアスの概念ことシリアス先輩である。
最初はシアさんと間違えることも多かったが、流石にもう何度も会ってるので区別がつくようになった。シアさんはクールで棘のある雰囲気であり、シリアス先輩は少しアホっぽ……明るく元気な感じの雰囲気なので、慣れてしまえばすぐに分かる。
しかしまぁ、それはそれとして……なんで俺の部屋のソファーの上に突如出現したんだろうか?
「え? 快人? 久しぶり……去年に続いてお前の部屋か……」
「前も思いましたけど、狙ってきてるわけじゃないんですね?」
「毎年部屋の扉があくタイミングには勝手に転移されるんだよ。そしてだいたいいつもお前が……うん? いや、これもしかして、快人の近くに出るようになってるのか?」
「俺はシリアス先輩が住んでるっていう変な部屋に関わりはないですが?」
「あるよ。ハチャメチャにあるよ。お前が主人こ……ああ、いや、なんでもない。とりあえず、なんか部屋から出るとお前の近くにくるみたいだから、今後ともよろしく」
「……は、はぁ」
肝心な部分はなにひとつ分からなかったが、なんか年に一回俺の傍に現れるらしい……本当にこの人はなんか謎が多いというか、よく分からない方である。いや、悪い人というわけでは無いんだけど……。
「まぁ、とりあえずえっと……ん~……せっかくだし渡しとくか……ほら、手土産?」
「え? ああ、わざわざありがとうございます。これは?」
「私がチョコレート化した時のチョコレートを綺麗に成形したもの」
「……」
チョコレート化するってどういう事態だ? 前に言ってたホワイトチョコレートの像になったとか、そういう話とは違うのだろうか……今回のは普通のチョコレートみたいだけど、ホワイトチョコじゃなくて普通のチョコにも変わるってことだろうか? いや、もしかして「チョコレート溶かした」の言い間違えか?
「……シリアス先輩がチョコレートを溶かして作ったってことですかね?」
「いや、例のヤベェ神にチョコレート化した体を砕かれた末の品だから、私が溶かしたというか『私が溶かされた』って感じかな?」
「……俺付き添いますから、とりあえず病院行きましょうか?」
「頭がおかしくなってるわけじゃないから! 変なこと言ってるみたいだけど、事実なんだよ! 砂糖になったり餡子になったり、私もいろいろ大変なんだよ……」
「いや、去年までの話を総合すると……体から砂糖やシロップがでたり、ホワイトチョコレートの像になったり、チョコレート化したりする甘味の化身みたいになってるんですけど……」
……この人、本人の設定上ではシリアスの化身とかそういう話じゃなかったっけ? たしかに先輩からシリアス感は過去も現在もまったく感じたことは無いが、シリアスの化身がなぜ体を甘い食べ物に変化させる能力を持っているのか?
いや、去年はそこまで詳しい話を聞いていなかったし、シリアス先輩もよく分からないって言ってたけど……もしかしたら例のヤバい神にやられたのかもしれない。神って言うなら、そのぐらいのことは出来るだろうし……。
「……いや、でも、去年もそうでしたが……あらゆる事態を考えたとしても、そのシリアス先輩が変化したチョコレートを手土産にしようというのは、だいぶイカレてないですか? 俺まだ、去年のホワイトチョコも怖くて食べられてないんですが……」
「正論パンチはやめろ……私も正直これは無いって思ってるよ。けど、あのヤベェ神が用意して渡してきたから、いちおうちゃんと渡しておこうかと……」
「何度か言いましたが、シリアス先輩のためを思ってもう一回言いますね。その神マジでヤバいので、もうちょっと距離とを取るべきだと……」
「いや、だから私っていうか、お前の関係者なんだけど……」
俺の言葉を聞いたシリアス先輩が、なんとも言えない微妙な表情をしていたのが、酷く印象的だった。
シリアス先輩「いやタイトルついに全部略しやがった!? あと、エイプリルフールを延長ってなんだぁぁぁぁ!?」