アニマとの海水浴⑨
アニマとクロに貰った魔導船の活用方法として、船上パーティの企画を考えていると結構いろんな意見が出てきた。というか、不思議なもので当初は「もしパーティをするとすれば?」という想定だったのだが、実際アレコレ話していると、やる気になってくるので不思議だ。
「ご主人様がホストとして企画するのであれば、異世界出身であることを活かして料理なども異世界のものにするのがいいかもしれませんね」
「なるほど……けど、食文化にそこまで大きな違いはないんだよね。ああ、でも、和食は独自と言えば独自かな……船上パーティに合うかというと疑問だけど」
この世界の料理は洋食系なので、和食とかは珍しいかもしれない。パーティに合うかどうかは別として、物珍しさはある気がする。
いっそ香織さんとかに協力してもらって、異世界の料理中心で考えてみるのもいいかもしれない。
「クロから貰った船って結構なサイズだし、知り合いをほとんど呼んでも問題は無さそうな気がするね」
「そうですね。基本は以前ご主人様の誕生日パーティに来た方々が中心になりますかね? まぁ、シャローヴァナル様がいらっしゃる時点でとてつもないことは間違いないですが……」
「それはまぁ、確かに……でも、そういうパーティって楽しそうだよな。もしやるとなったら、アニマにもいろいろ手伝ってもらうことになるだろうし、その時はよろしくね」
「はっ! 自分にお任せください!!」
実際船上パーティを行うとなると、アニマにはかなりいろいろ頼ることになりそうだ。以前の新築記念パーティの時はどこからともなくアインさんとかツヴァイさんが、ホスト側ですみたいな顔して準備に参加していたのだが……。
「前の新築記念パーティの時みたいに、アインさんやツヴァイさんが準備に参加してくるかも?」
「確かにあり得そうですね。先んじて招待状を送って、招待側として来てもらうように話をしておいた方がいいかもしれません。あとは、クロムエイナ殿に一声かけておくとか……」
「ああ、たしかにあの辺を制御できるのはクロぐらいか……やるのなったら、抑えてもらうように頼んでみよう」
せっかく俺がホストとなって行うのであれば、こちらの身内で準備をしたい。まぁ、母さんとか父さんとか血筋的な意味での身内ではなく、俺の家の関係者という意味で船上パーティの準備に参加するとなると、アニマ、キャラウェイ、イータ、シータ、ネピュラかなぁ?
イルネスさんもいちおう、俺の家の家事を取り仕切ってくれているので身内といえば間違いないが、同時にリリアさんの屋敷のメイドでもあるのでその辺の折り合いに少し悩むところだ。
「う~ん。でも考えてみると、新築記念の時よりかなり知り合いが増えた気がする」
「そうですね。それだけではなく、アイシス殿のところがほぼ陣営として機能し始めていたり、以前と比べて上級神等が人界を訪れる機会が増えたりと世界的な変化もありますね」
新築記念パーティの時から考えると、六王幹部や一部の上級神、アイシスさんのところに新たに加わった方々、香織さんを始めとする過去の勇者役たち、イベントなどで知り合った方々と……かなり知り合いは増えているので、その辺りを全部招待しようと思うと結構な規模になりそうである。
いや、というか全部招待して都合が合うのだろうか? まぁ、その辺は招待する時に予定がある場合は無理に参加しなくても大丈夫と念押ししておくとか、いろいろ対策はできるか……。
「う~ん、これ、なんかもう結構やる気になってきたな」
「ふふ、そうですね。いろいろ話し合って計画していると、実行したくなるものですよね。ご主人様さえよろしければ、今度キャラたちも交えて本格的に企画してみますか?」
「確かに、それはよさそうだね。実際いろいろな部分に課題もあるだろうし、開催が難しそうだったらやらなくてもいいわけだし……今度皆にも相談してみよう」
豪華な船の上での船上パーティ……俺は企画側ではあるが、結構楽しみだ。というか、もてなされることは多くてもあんまりもてなす側に回ってなかったので、日頃お世話になっている人たちにお礼も兼ねてもてなしができるのはかなりいい……むしろその部分非常に大きく乗り気になっている。
アニマも賛成してくれている感じだし、ちょっと本格的に考えてみようかな……。
マキナ「次のエピソードの方向性が決まってきたね。あっ、シリアス先輩もコーヒー飲む?」
シリアス先輩「苦いやつ頼む」
マキナ「はい。どうぞ」
シリアス先輩「ありがと……うん? その丸いチョコは?」
マキナ「これはね。コーヒーに合うクリームを薄いチョコでコーティングしたんだよ。これをこうやってコーヒーに入れることで、チョコレートの膜が徐々に溶けて味が変化していくわけ! いい感じでしょ? シリアス先輩もいる?」
シリアス先輩「……甘くないのにしてくれ」
マキナ「ほいほい……よし、じゃ、中身を造り変えて甘さはほぼ無くしたよ。チョコレートのコクとクリーミーさだけ味わえるようになってるよ!」
シリアス先輩「ん……悪くないな。さて、このまま次のエピソードに行ってくれるといいんだけど……」
マキナ「もうひとイチャイチャあるんじゃない?」
シリアス先輩「うへぇ……」
???「いや、仲良しっすか!?」