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幸せだと感じる


 クロと恋人同士になって初めてのデートが始まった訳だが……もう、スタートから俺の頭は沸騰寸前だった。


「えへへ、カイトくんとデート……」


 幸せそうな笑顔を浮かべたクロは、俺の腕にピッタリとくっついている。

 そう手を繋ぐとかそういうレベルでは無く、腕に抱きついている……そうなると必然的に、クロの小さいながら確かな膨らみがある双丘が押し当てられていて、いやがおうにもドキドキしてしまう。


「カイトくん? もしかして緊張してる?」

「え? あぁ、うん……お、俺、恋人なんて出来たの初めてで……えっと、どうしたらいいのかって」


 どうやら俺がドキドキしているのを緊張していると思ったらしく尋ねてきたクロに、俺は正直な心境を語る。

 勿論胸の感触でと言うのもあるが、それ以上にデート自体にも緊張している。

 初めて出来た彼女と言う存在に緊張しきってしまい、正直なところ考えていたデートプランとかも頭に思い浮かべる余裕すらない。


「……恋人同士、ってどんな事をすればいいのかなって……」

「ボクも、カイトくんが初めてだし、正直言うとよく分かんないかも」


 俺の言葉を聞いて、クロははにかむように微笑んだ後、俺の腕に抱きついたまま……俺の手に自分の手を重ね、自然に指を絡めた。


「……でもね。今は、それで良いんだと思う」

「……え?」

「ボクは、カイトくんと一緒だと凄く幸せだよ。カイトくんはどう?」

「俺も……うん。幸せだ」


 優しく包み込むような眼差しを向け、吸い込まれるように魅力的な笑顔で話しかけてくるクロに、少し顔を赤くしながら頷く。

 クロと一緒にいると、落ち着いて心安らかになったかと思えば、可愛らしく無防備な仕草に緊張したりもする。

 騒がしくも暖かで、ふと振り向いてクロの笑顔があると……安心する。

 たぶん、いや、間違いなく……これが、幸せって気持ちだ。


「きっと、それで良いんだよ。ボクもカイトくんも初めて同士で、まだまだ知らない事や分からない事はいっぱいあると思う。だけど、それは『まだ知らない』だけなんだよ」

「……うん」

「こうやって一緒にいてさ、色んなお話しをして、一緒に笑い合って……一緒に、少しずつ勉強していこう……ね?」

「ああ」


 なんというか、結局恋人同士になったとしても、俺はクロには敵わないみたいだ。

 でも、それを不快に思う事なんてない、むしろ凄く幸せな気持ちでいっぱいだ。

 無邪気に甘えてきたかと思えば、こうやって俺の不安を察して優しく背中を押してくれる。

 子供っぽいようで大人っぽく、無邪気なようで深く柔らかい慈愛を持っている。そんな所がクロの一番の魅力だと思う。


 うん。あれこれ、考えるのは止めにした。

 今は、思いっきり楽しむ事にしよう、この幸せなひと時を……


「よっし! じゃあ、改めて出発しよう」

「うん!」


 少し強めにクロの手を握り返せば、クロは頬を染め太陽みたいに暖かな満面の笑みで応えてくれる。













 食べ歩きと甘いものが好きなクロを連れてやってきたのは、以前行った屋台の並ぶ通りでは無く、複数のお菓子屋や飲食店が並ぶ、少しお洒落な通り。

 以前ジークさんに教えてもらった通りであり、クロと出かけるならここが良さそうだと思っていた。


「ふわぁぁ……カイトくん、見て見て! アレすっごく美味しそうだよ!」

「あはは、ホントだ。変わった形してるけど、何なんだろう?」

「アレはね。飴を薄くして重ねてるんだよ。舌の上で蕩ける感じで、美味しいよ」

「へぇ~」


 小さなお菓子屋の中に入ると、甘いものが好きなクロは目をキラキラと輝かせ、俺の手を引いて店内を見始める。

 クロが教えてくれたのは、半透明で波のような形状をしたお菓子で、どうやら薄い飴細工といった感じらしい。

 その菓子以外にも、店内にある菓子類はどれも彩り鮮やかで美味しそうだ。


「でも、クロにしたらそんなに珍しい光景でもないのかな?」

「そんなことないよ。知ってたって、こういう風に見て回るのは楽しいし……カイトくんと一緒だから、いつもよりずっと美味しそうに見える」


 クロは色々と知っているみたいではあったが、とても新鮮な気持ちで楽しんでくれているみたいで、ニコニコと本当に楽しそうに一つ一つのお菓子を眺めていく。

 クロの財力であれば店の商品すべてを買うのも容易ではあるが、そうすると他のお客が食べられなくなると、クロは結局最初に気に入った飴菓子だけを購入しようとした。


「あっ、クロ、お金は俺が出すから」

「え? でもたぶんボクの方がお金はいっぱい……」

「それでも、えっと、で、デートな訳だし、男として少しぐらい見栄張りたいというか……と、ともかく、ここは俺が払うから」

「あっ、うん!」


 以前レッドベアーサンドの店でお金を出すといった際は困惑していたクロだが、今日は俺の言葉を聞いて意図を察してくれたみたいで、パァッと明るい笑顔を浮かべて了承してくれた。


 飴菓子を何個か買って店を出ると、クロは笑顔のままで袋から飴菓子を取り出し、それを俺の方に差し出してきた。


「はい、カイトくん。ボクが食べさせてあげるね」

「え!? ちょ、ちょっと……クロ?」

「ほら、早く、あ~ん」

「……えっと、あ、あ~ん」


 幸せそうな表情で差し出してくるクロに拒否など出来る筈も無く、俺は天下の往来で女の子からお菓子を食べさせてもらうという、嬉し恥ずかしイベントを経験する事になった。

 口の中にクロの柔らかい指が入り、飴菓子の甘さと共に唇に触れた指の感触がやけにハッキリ感じられた。


 また顔に熱が集まるのを感じていると、まさかというべきかやはりというべきか、それで終わりではなく、クロは期待するような目を俺に向けた後、小さく口を開く。


「あ~ん」

「……」


 どう考えても食べさせてくれと言うスタイルである。流石の俺でもそれぐらいは分かる。

 な、なんだろう、正直食べさせてもらうより……食べさせる方が緊張する気が……

 微かに手が震え、自分の喉の音がやけに大きく聞こえるのを感じながら、俺は袋の中から飴菓子を取り出して、クロの小さな口に運ぶ。


「はむっ」

「ッ!?」


 そしてクロは俺の想定より遥かに勢いよく喰いついて来て、俺の指の第一関節辺りまでがクロの口の中に入る。

 しっとりと暖かい感触を指先に感じ、指先から体の震えが全身に広がっていく……いわゆる総毛立つような感覚を感じつつ、ゆっくりとクロの口から指を抜こうとすると……


「んっ」

「~~!?」


 俺の指が口から離れる瞬間、クロは俺の指が離れるのを惜しむように指先を舌で一舐めした。

 ガツンと頭をハンマーで殴られたような衝撃を感じつつ、くらくらと湯気が出そうな顔をクロに向けると、クロの方も少し恥ずかしそうに頬を染め俺の目を見つめてきた。


「……自分で食べるより、ずっと美味しい」

「そそ、そうか……」

「まだいっぱいあるから、交互に食べっこしよ!」

「……」


 まだいっぱいありますか!? そうですか……た、確かに一つ一つが小さいので、結構量買ったから……まだざっと目算で10個以上は袋に飴菓子が入っている。

 つまりまだこれから最低でも五回は、この天国のような感覚と、地獄のような恥ずかしさを味わうことになる訳で……


 後何より、クロには認識阻害魔法があるかもしれないけど、俺にはソレ無い訳で……ここは結構大きめで、人通りも多い通りな訳で……え? なにこの、羞恥プレイ?


 拝啓、母さん、父さん――やっぱり、恋人同士になった事もあって、クロとのデートは以前よりずっとドキドキして、クロのふとした仕草にも胸が高鳴ってしまう。だけど、緊張して落ち着かないのに、それでもやっぱり――幸せだと感じる。





殴る、壁が、足りない!

私の方が先に発狂しそうなんですけど……


包容力のある幼女って最強だと思う、その幼女のお胸様の感触を味わい、恋人繋ぎをして、食べさせ合いっこ? 快人爆ぜろ……いや、死ね!

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― 新着の感想 ―
[一言] おかしいな、いつからなろうは完全五感VR小説に・・・ 口の中、激甘なんですけどぉ~!?w
[良い点] 何回見ても、作者様が1番ダメージ受けてるの大草原はえるw
[一言] 作者様が自分で書いたのに憤ってらっしゃる…… わかりますとりあえず爆ぜろしね
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