イルネスとのお茶会③
ちょっと体調がすぐれないので短めです
イルネスさんが淹れてくれた紅茶は、一変すると普通の紅茶のように見えるがほんのりと薔薇の香りがして、どことなくローズティーのような雰囲気もある。
今回は俺だけが飲むわけではなく、イルネスさんと一緒に飲む形なので、イルネスさんは自分の分の紅茶も用意して対面に座る。
「じゃあ、さっそくいただきますね」
「はいぃ。お口に合うといいのですがぁ」
さっそく紅茶を口に運んでみると、フワッと薔薇の香りがしたあと口の中に美味しい紅茶の味が広がる。味わいとしてはやや甘めで少し濃い感じ……俺の好みな紅茶の味である。
「美味しいですね。甘めの味わいが好みですし、スッと抜けていく薔薇の香りも心地よいです」
「くひひ、気に入っていただけたようならぁ、よかったですぅ。今回は~少し不安だったのでぇ、お口に合って幸いでしたぁ」
「不安? あ、いや、失礼かもしれないですけど、なんとなく珍しいですね」
イルネスさんはいつも落ち着いていて穏やかな大人の女性であり、その高い技術や豊富な知識も相まって大人の余裕というものを感じる方なので、不安に思ったりというのが少し意外だった。
いや、もちろんイルネスさんだって不安に思ったりすることはあるのが当たり前だが……。
「今回の紅茶は~少し特殊でしてぇ、カイト様の好みの味に~私の好みの香りを混ぜてぇ、上手く両立できるようにブレンドしてみましたぁ。組み合わせ自体は~上手くできたのですがぁ、それが~カイト様の口に合うかどうかはぁ、分からなかったものでぇ、少し不安でしたぁ」
「なるほど……いや、でも全然美味しいですよ。味的にはイルネスさんの言った通り俺の好みですし、薔薇の香りもかなりいい感じで、飲んでで心地いいです」
「それなら~よかったですぅ」
少しだけ意外だなぁとは思いつつも、なんだか新鮮な気持ちだった。
「……くひひ、ですがぁ、これも~いいものですねぇ」
「え?」
「カイト様の好みに合わせた紅茶を淹れるのもいいですがぁ、こうして~自分の好きなものを~共有するというのもぉ、とても幸せですねぇ。私の好きなものを~カイト様が気に入ってくれてぇ、嬉しいですぅ」
そう言って笑ったイルネスさんの表情は、なんというかいつもとは少し違うというか……なんだろう? 表現は難しいが、思わず見惚れてしまいそうな、妙に胸がドキドキと高鳴る様な魅力のある笑顔だった。
自分の好きなものを共有できるのが嬉しいと告げるその言葉が、自惚れかもしれないが俺が特別だと言っているように聞こえて……くすぐったくも、嬉しかった。
シリアス先輩「……ひっ……嫌な空気になってきた……」




