イルネスとのお茶会①
一夜明けた翌日。昼食を食べて少し経ったおやつ時に、前日に約束した通りイルネスさんとお茶を楽しむことになった。
ここで重要なのが、お茶会の場所である。実は今回俺の部屋ではなく、イルネスさんの部屋に招待を受けておりそちらに赴く形になるのだが……イルネスさんの部屋に行くのは初めてである。
元々イルネスさんは住み込みで働いているメイドなので、リリアさんの屋敷内に部屋があるのは当然なのだが……そもそも、休んでいる姿を全然見ないというほどいつでも働いているイメージだし、実際にいつでもメイドとしての仕事をしているような感じで、自室に居るイメージはまったく無い。
いったいどんな部屋なのだあろうか? イルネスさんのイメージで言えば、体格は小柄でも大人っぽくて上品な女性なので、お洒落な部屋がイメージに合ってる気がする。イルネスさんは薔薇好きだし、薔薇の模様の家具やインテリアがある感じだろうか?
あるいは、逆に自室はめったに使わないので必要最低限のものだけを置いたシンプルな感じかもしれない。前者はロズミエルさんの家のイメージ、後者はアインさんの部屋のイメージ……さてどっちだろう?
気になりつつもイルネスさんの部屋に辿り着く。リリアさんの屋敷内の位置で言えば、俺の家に通じている廊下に近い場所だが、屋敷全体で考えると端っこの方の部屋だ。勝手な想像ではあるが、イルネスさんは端の方の部屋を自分で希望したような気もする。
そう考えつつ部屋のドアをノックすると、少ししてドアが開かれて今日は休暇なのか白色の上着に黒色のロングスカートという私服っぽい恰好のイルネスさんが出迎えてくれた。
「こんにちは、イルネスさん。招待ありがとうございます」
「ようこそ~カイト様ぁ。それではぁ、中へどうそぉ」
「失礼します」
シンプルだが上品なデザインの私服のイルネスさんは、やはりどこか大人っぽさがあって部屋の中に入るのも少し緊張する。
いろいろと予想はしていたがどんな感じだろうと思って室内に入ると……これはまたなんともお洒落な部屋だった。
アンティークっぽい上品かつ部屋の雰囲気に合った家具が綺麗に配置されており、一目見た瞬間「お洒落な部屋だ」とそう感じる室内だった。
以前俺はリリアさんの屋敷に部屋を借りていたが、その部屋や他の部屋にある家具とは雰囲気が違うのでイルネスさんが別に買いそろえた家具なのだろう。
室内の照明魔法具もややオレンジっぽい温かみのある色合いであり、映画とかに出てくる洋館の一室とかそんな雰囲気だった。
「凄くお洒落な部屋というか、家具とかも落ち着いた上品な雰囲気がいいですね。なんとなく、イルネスさんのイメージと合ってる気がします」
「くひひ、そう言っていただけるとぉ、嬉しいですねぇ。どうぞ~こちらのお席にぃ」
「あ、はい。失礼します」
よく見るとカーペットとか絨毯も部屋の雰囲気に合わせているみたいで、全体の一体感が凄い。窓辺の花瓶に薔薇の花があったりと、イルネスさんらしさもところどころに見られるし、お洒落で上品な大人の女性というイメージのイルネスさんに本当に合致した部屋だと思う。
というか、若干お洒落過ぎて緊張してしまう。こういうシックでレトロな感じは、本人のセンスがよくて初めて成立するものだと思うし、少なくとも俺は同じ家具を持っていてもこんなにお洒落な部屋にはできないと思う。
「自分の部屋だと思ってぇ、くつろいでくださいねぇ」
「ありがとうございます。あ、テーブルにも薔薇の花があるんですね」
「はいぃ。今回は~カイト様を招待するのでぇ、少しだけ~張り切ってセッティングしましたぁ。普段は~もう少し簡素ですよぉ」
イルネスさんが今回のお茶会用に部屋の中央に用意してくれたテーブルの上には、お洒落な花瓶に薔薇の花が三本入っていて、いい雰囲気だった。
多すぎず少なすぎず、三本ぐらいの本数がバランスがいいのかもしれない。
シリアス先輩「ぐぉっ、か、快人が来るから……『愛しています』という意味のある三本のバラを特別にテーブルの上に飾る。しょ、初手から飛ばしてくるじゃないか……」




