オリジナルブレンド⑩
ちょうど精霊族に関する話になっていたこともあり、せっかくの機会なのでジュティアさんとの話だけでは分からなかった部分……というか、聞き忘れていた部分に関しても聞いてみることにした。
「そういえば、精霊の方たちって本体が別にあるんですよね? それはどうしてるんですか?」
「私もそうだけど、ほぼすべての精霊は体内に取り込んでいるっていうか、融合してるよ……ほら、これが私の本体だね」
「おぉ……」
ロズミエルさんが話しながら胸元に手を当てると、ロズミエルさんの体が輝いて体の中から一凛の薔薇が出てきた。一見するとただの花のように見えるのだが、パッと見てわかるほど凄まじい魔力を纏っているので間違いなくロズミエルさんの本体だろう。
「これに関しては本体のサイズは関係ないね。ジュティアとか本体は精霊体より大きいけど、同じように体内に取り込んでるからね。基本的に精霊族っていうのは、本体が近くにあるほど強い力を発揮できるから、精霊体の中に取り込んでおくのが一般的だね」
「なるほど……あれ? でも……」
「うん。カイトくんも気付いたと思うけど、リリウッド様は別。リリウッド様は本体である世界樹と精霊体を別にしてるってことだね」
そう、リリウッドさんの本体である世界樹はユグフレシスの中央にある。あとはネピュラもそうしてる……いや、ネピュラに関してはまだ世界樹から遠くには離れたりできないみたいだし、今後できるようになるのかもしれないが、少なくとも現時点では精霊体と本体は別だ。
「リリウッド様がそうしている理由は単純に、リリウッド様の力があまりにも強大だからだよ。だから普段のリリウッド様は、力を制限してる」
「そ、そうなんですか?」
「うん。強すぎる力は周囲の自然にも悪影響だからって、リリウッド様はあえて本体と精霊体を分けてるし、強大な世界樹の力の一部を私を含めた七姫に分け与えてる。私たちは『世界樹の守り』って呼んでるけど、この守りがあるおかげで、私たち七姫は常に世界樹から魔力を供給してもらえるから魔力切れになることはほぼあり得ないし、ある程度の傷なら自分でなにかしなくても勝手に治るよ」
「それは、凄いですね。というか、最低でも七人に対してそんな凄い力を与えられるってことは、本当に本来の力は滅茶苦茶凄いんでしょうね」
言ってみれば、七姫には常に体力魔力共に自動回復のバフがかかっている状態というわけである。なるほど、そういう風に力を分け与えてるから、リリウッドさんは七姫たちのことを配下ではなく『眷属』って呼んでいるのかもしれない。
「力を分け与えた私たち七姫と融合することで、リリウッド様は一時的に本来の力を完全に取り戻して行使できる。神樹形態って呼ばれる状態だけど……よっぽどのことがない限り、リリウッド様がその形態になることは無いよ」
「なるほど、いろいろ教えてくださってありがとうございます」
「ううん。気にしないで、カイトくんが精霊に興味を持ってくれて嬉しいよ」
優しく微笑んでジュティアさんと似たようなことを言ってくれるロズミエルさんも、やはりかなり優しい方であり本当に話がしやすい。というか、基本七姫の方たちは皆いい人ばかりである。ブロッサムさんとか若干キャラは濃いが、本当にその程度……一癖も二癖も、というか癖しかないような十魔とはえらい違いである。
そんなことを考えていると、こちらを見ていたロズミエルさんがフッと楽し気に微笑むのが見えた。
「……ロズミエルさん?」
「あ、えっと、やっぱりカイトくんと話すのは楽しいなぁって……私が七姫とか、付き合いの長い人たち意外とこんなにたくさん話せるのは珍しいよ。カイトくんの優しくて温かな雰囲気が、自然と話しやすくさせてくれてるのかもね?」
「ああ、シロさんの祝福のおかげですかね?」
「ううん。違うよ、世界の祝福による魔力の雰囲気とかじゃなくて、カイトくんの人となりだね。私が極度の人見知りだから分かるんだけど、どうしても同じような顔をしてても話しやすい人と話しにくい人が居るんだよ。そういうのって、やっぱりその人が持つ雰囲気とかが影響してるんじゃないかなって……」
「確かに、そういうのはあるかもしれませんね」
理論的に説明するのは難しいが、ロズミエルさんの言うことはなんとなく理解できる。声をかけやすい人も居ればかけにくい人もいる。単純な本人の性格だけじゃなくて、互いの相性みたいなもの関係してるんじゃないかと感じる。
「だから、カイトくんが友達になってくれて嬉しいよ……あっ、えっと……ど、友達……でいいよね?」
「もちろんですよ。むしろ、俺の方こそロズミエルさんと友達になれてよかったです」
「えへへ、ちょっと気恥しいけど嬉しいよ……ありがとうね」
少し不安げに尋ねてきたロズミエルさんに笑顔で返すと、ロズミエルさんも上が類笑顔を返してくれて、本当に楽しい雰囲気の中でより一層雑談は弾んでいった。
???「まぁ、力を分け与えている関係上、本体を持ってこない限りは神樹形態への移行=七姫との融合になるので、一時的に伯爵級最上位の戦力が七体減るので使いどころが難しいでしょうけどね」
シリアス先輩「本体持って来ればいけるの?」
???「行けますが、元々の本体がデカすぎるのと、世界樹の一部を都市に組み込んでる関係上ユグフレシスが大惨事になりますけどね……」




