オリジナルブレンド①
今年も一年ありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。
イルネスさんの提案により紅茶のオリジナルブレンドを作ることになった。と言っても俺に難しい味のバランスだとかはよく分からないので、その辺りはイルネスさんに教わりつつという感じだ。
イルネスさんから話を聞いたネピュラも協力を申し出てくれて、三人でオリジナルブレンドの開発を行うことになった。
「今回の茶葉はぁ、量による味の変化が少ないのでぇ、加える茶葉によって~味を調整する形になりますねぇ。ネピュラが最初に作った茶葉とぉ、個人的に~相性がいいと思った茶葉を~用意しましたぁ」
「最初は深く考えても仕方ありませんので、主様が直感でこれぐらいという茶葉の量や組み合わせを選んでみてください。それから私とイルネスさんで味のバランスを調整します」
「うん。分かった……ちなみに、なんかコツとかあります?」
ネピュラとイルネスさんが調整してくれるなら、変な味になる心配はないのでそこは安心だ。ただ本当にすべて勘では意味がないので、イルネスさんにコツを聞いてみることにした。
「そうですねぇ。濃い目の味にしたいのであればぁ、この辺りの茶葉を加えるのがいいですねぇ。逆に~スッキリした味わいにするのであればぁ、この辺りの茶葉を加えるといいかもしれませんねぇ」
「なるほど……それなら少し濃い目で、ホッと落ち着けるような味わいにしたいので、この辺の茶葉ですね」
「はいぃ。この二つの茶葉は~ほのかな甘みがあるのでぇ、リラックス効果もありますよぉ」
「じゃあ、この辺の茶葉を……」
あんまりアレコレ加えすぎてもゴチャゴチャするだろうし、イルネスさんが勧めてくれた甘みがあるという茶葉を使ってみることにする。量に関しては本当に感覚であり、なんとなくでティースプーンで茶葉を掬って皿の上にスプーンごとおいてみる。
「おやぁ?」
「ふむ……」
すると、イルネスさんとネピュラがほぼ同時に反応を見せたので、気になってそちらの方を向く。
「え? なんか間違えました?」
「いえ、逆ですよ。主様が掬った茶葉の配分がかなり良かったので……妾たちがブレンドするとしても、そのふたつを組み合わせるならそのぐらいのバランスにするだろうという絶妙な量です。主様はセンスがありますね」
「ですねぇ。ほとんど手直しはいらないぐらいですねぇ。あとは~ネピュラの作った雑味を加える茶葉を調整すればぁ、美味しいブレンドになると思いますよぉ」
どうやら俺のチョイスが変だったわけではなく、感覚でやったものが思った以上にいい感じだったので感心してくれていたみたいだった。
賞賛してくれるふたりの言葉に少しくすぐったい感覚を覚えつつ、ふたりに最終調整をして味を調えてもらう。
「これで、最初の試作品は完成ですね。さっそく淹れて飲んでみましょう! そのあとでまた調整をしたり、別のパターンを作ってみたりして完成に近付けていく形ですね」
「なるほど、けど自分でブレンドした紅茶がどんな味になるか、ちょっとワクワクするな」
「それが~オリジナルブレンドの魅力かもしれませんねぇ。では~さっそく淹れてきますねぇ」
「よろしくお願いします」
こうやって味見したり調整しながら、自分好みの味に近付けていくわけか……もちろんひとりでやると結構大変なんだろうが、イルネスさんとネピュラという紅茶に詳しいふたりが居てサポートしてくれるおかげで、素人の俺でも結構楽しくやれている。
この調子でいいブレンドが出来上がるといいんだけど……なんにせ、最初の試飲が楽しみである。
シリアス先輩「ほのぼのしてやがる。後の胃痛を考えなければまったりしたシーンだ……のちの胃痛を考えなければ……」
 




