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新ブランドの立ち上げ⑥



 アインさんに紅茶の試供品を渡して宣伝をお願いしたあとは、続いてアインさんと同じく紅茶好きであるジュティアさんを訪ねることにした。

 以前はリグフォレシア付近の精霊の森からジュティアさんの転移魔法で移動したが、実際のジュティアさんの家は他の七姫と同じく魔界の中央大森林にあるとのことで、一度ユグフレシスに向かうことにした。


 ジュティアさんの家の場所を転移魔法具に登録していたなら話は早かったのだが、行きも帰りも転移魔法で家の中からの直接の移動だったので、まさか家の中を登録するわけにもいかないし、登録はできていない。

 なのでハミングバードで連絡してジュティアさんに迎えに来てもらうような形になった。

 ユグフレシアに付いて少し待つと、すぐにジュティアさんがやってきた。


「お待たせ、お待たせ、迎えに来たぜぃ」

「ありがとうございます、ジュティアさん。急にすみません」

「ううん、ううん。気にしないで、カイトならいつでも大歓迎だぜぃ。それじゃあ、それじゃあ、ここだと注目を集めちゃうし、さっそくボクの家に移動しようか?」

「はい。よろしくお願いします」


 俺の返答を聞いて頷いたジュティアさんが軽く俺に触れると、直後に景色が切り替わり見覚えのある木造りのお洒落な喫茶店のような室内……ジュティアさんの家に到着した。


「ようこそ、ようこそ、来てくれてボクはとっても嬉しいぜぃ。それにそれに、えっと……あ~いや……」

「うん? どうしました?」

「あっ、ごめんよ、ごめんよ、はしたないとは思うんだけどちょっと気が急いちゃってね。えっとね、えっとね……その、ボクも噂というか、カイトが紅茶ブランドを作ってるって話は聞いてるんだよ。それでね、それでね、カイトは優しいからもしかして前みたいに新作を持って来てくれたんじゃって……いや、カイトの方から言い出したならともかく、ボクがこうやって言い出すのは駄目だと思うし、それとは関係なくカイトが遊びに来てくれたのが嬉しいのは本当なんだけどね。でもでも、つい期待しちゃうというか……欲深くてごめんよぉ」


 若干様子がおかしかったジュティアさんに尋ねてみると、ジュティアさんは本当に申し訳なさそうな表情で新作の紅茶に期待していることを告げた。

 いや、なんというか……即突撃してきたアインさんと比べてマトモすぎてビックリするレベルである。たぶんジュティアさんもアインさんと同じく早い段階から紅茶ブランドの立ち上げに関しては知っていたのだろう。

 だけど、ここまでジュティアさんからその手の話題を振られることは無かったし、ハミングバードでのやり取りでも聞いてくることは無かった。

 様子が少しおかしくなるほど興味があって期待していたにもかかわらず、俺が尋ねなければ自制していたであろうジュティアさんは本当に大人というべきか、人が出来ている。


「ふふ、ジュティアさんの期待通り今日は茶葉と角砂糖の試供品をもって尋ねてきました。合わせて協力してほしいこともあるんですが、もったいぶっても仕方ないので先に渡しますね」

「ありがとう! いや、本当に催促しちゃったみたいになってごめんね。でもね、でもね、すごく嬉しいぜぃ」

「喜んでもらえたならよかったです。ああ、一緒にネピュラが書いたメモが入ってるのでそれを確認してください」

「分かったよ、分かったよ。じゃあ、カイトはそこの椅子に座っててもらえるかな? すぐにこの茶葉を使って紅茶を淹れるよ」

「ありがとうございます」


 心の底から喜んでいる様子のジュティアさんは、その体躯も相まってなんだかとても可愛らしかった。それを見てなんだか微笑ましい気持ちになりつつ、俺は椅子に座ってジュティアさんの淹れてくれる紅茶を待つことにした。




シリアス先輩「そういえば、前に尋ねた時に言ってた認識阻害のアクセサリーはまだもらってないのか?」

???「アレはシャローヴァナル様と温泉旅行した際に渡すって話でしたし、まだなのでは? 前回のは別カウントみたいですしね……カイトさん的には、むしろ建国記念祭の時に欲しかったでしょうが……」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔界を統べる王の最高幹部達に気軽に連絡入れてすぐ会えちゃうのって改めて考えるとヤバイよね。まぁその上の王にもすぐ会えちゃうヤツなんだけどさ。
[一言]  ジュティアさんの家には登録してなかったんだね。言われてみれば、たしかにジュティアさんの転移魔法で行き来していたから登録を忘れるのも無理はない。  あっ、ジュティアさんも噂程度には知ってい…
[良い点] 楽しくて和む精霊ジュティアさん。さすが、どこかの突撃メイドとは違うようだ。 [一言] 欲を言えば六王祭あたりからトンデモない認識が出回ってるからその頃から欲しかったんじゃないかとさえ思える…
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