シャローヴァナルとの建国記念祭夜⑧
シロさんに背中を流してもらったあとは、俺もシロさんの背中を流してから一緒に温泉に入る。一番初めのバックハグで、シロさん的には満足したみたいでそれ以上ハプニング等を行うことは無かったのでスムーズだった。
本当に絶景というほど雄大で大きく見える富士山を見ながら湯船につかる。熱い湯が体を温めくるような心地良い感覚で、やっぱり温泉はいいなぁと実感する。
「ああ、夕日は止まってるわけではなく動いてるんですね」
「その辺りの演出は地球神に任せています。温泉に適したいい雰囲気になる絶景でと言ってあります」
「……そもそも、よくエデンさんがそんな要望に素直に従ってますよね。その契約違反ギリギリのグレーってのはエデンさんにとって結構後ろめたいことだったんですかね?」
「快人さん絡みなのと、この件が終わった後はいままでは隠蔽していた記憶の継承も認めると伝えています。なので快人さんもあとで意味が分かるかと思います」
「ふむ……うん? ということは、俺絡みなんですね」
「はい。地球神が契約違反ギリギリを攻めるなど、快人さんが絡まなければありえませんからね」
「なるほど……」
言われてみれば、シロさんとエデンさんの意見が対立するのは基本俺に関わる事態の時だけだ。そうでない場合は、いろいろ契約を結んでそれを厳守しているからかもめているようなことは無い。
隠蔽していた記憶、あとになれば分かるということは、俺もその内容は知っているが記憶は消えているとかそういうことだろうか? まぁ、エデンさんも全能の神なわけだし、そのぐらいのことができても驚かないし、あとになってわかるならいまは置いておいていいだろう。
「それにしても、やっぱ温泉はいいですね」
「快人さんは本当に温泉が好きですね」
「言われてみれば……いや、昔からそうとかではないんですけど、なんででしょう? う~ん。別に元の世界帰りたいとかそういうわけではないですが、異世界で元居た場所に似たところがあるとちょっと嬉しい感じになるからかもしれませんね。ほら、温泉ってやっぱり日本のものと雰囲気似てますしね」
こちらの世界に来るまでは別に特別温泉が好きで旅行したりとか、そういうことは無かった。この世界に来て最初に目にした温泉と言えば、アイシスさんの居城にあった温泉だ。
アイシスさんの居城を作ったのはアリスらしく、そこは流石と言うべきが和風テイストの露天風呂で、日本的な雰囲気があってどことなく安心したような覚えがある。
その次に神域で入った温泉も、これでもかというほど日本的な雰囲気で、紅葉なんかもあって綺麗だったし……ホームシックとは言わないものの、そういう日本的な雰囲気を味わえる場所として好きになったのかもしれない。
風呂自体は元々好きだったので、それも合わさってといった感じだろうか?
「あ~あと、図らずも温泉に入る時は恋人の誰かと一緒に入ることが多かったってのも要因かもしれません。いまもこうしてシロさんと一緒に入ってますし、好きな相手と好きなものを共有できる一時というか、なんだかんだでそういう雰囲気が好きなのかもしれませんね」
「なるほど、ではいまのこの状態も……快人さんにとっては、『大好きな』私と好きなものを共有できている一時というわけですね」
「……ふっ、あはは、そうですね。たしかにその通りです」
大好きの部分に結構力が籠っていたのがなんともシロさんらしくて、思わず苦笑してしまったが実際にシロさんの言う通り、いまの時間は大好きな恋人と幸せな気持ちを共有できている時間であり、雄大で豪華な景色以上に……この上なく贅沢なもののように感じられた。
シリアス先輩「ぐぅっ、ふっ、こ、これは不味いぞ……快人の方も、数々の混浴を乗り越えて若干心に余裕がある。いちゃつく……こいつら絶対いちゃつく……く、くそがっ……」




