シャローヴァナルとの建国祭午後④
時間が無くて少し短めです。
唐突にシロさんが手を振ったかと思うと、俺はどこかの廊下に居た。いや、マジで謎の廊下であり、右を見ても左を見てもただひたすら廊下が続いているだけだ。
あ~なるほど、壁ドンに合ったシチュエーションといえばたしかにその通り……そこまで壁ドンして欲しかったの!?
「はい」
「……断言しますね」
「いろいろと学ぶ中で、世の中にはギャップ萌えというものが存在すると知りました。普段は比較的受動的な快人さんが、強引にこちらをリードするのはギャップ萌えです」
もの凄い真顔でギャップ萌えとか言うので、違和感が凄まじいが……まぁ、シロさんの表情がほぼ変わらないのはいつも通りである。
とりあえずシロさんは俺の方から強引にくるシチュエーションが楽しみらしい。いや、別に壁ドンイコール強引というわけでもないかもしれないが……。
「えっと、じゃあ、やりましょうか?」
「はい。指示をお願いします」
「指示ぃ!?」
仕切れと? そもそも事前に壁ドンしますって分かり切った状態で壁ドンするのが結構恥ずかしいのに、その上、指示を出せと……。
え、いや、とはいえ指示といってもシロさんに壁を背に立ってもらって……う~ん。
「いま思ったんですけど、俺とシロさんの身長って同じぐらいですよね?」
「ピッタリ同じですね」
「ハイヒールっぽい靴の分、むしろ若干シロさんの方が高いぐらいですよね。なら壁ドンを綺麗にするなら少ししゃがんでもらったほうがいいですかね」
「なるほど、では今だけ少し快人さんより低くなります」
そういうが早いか、シロさんの身長が10㎝ほど縮む……違うそうじゃない。いや、まぁ、結果としてはしゃがむのと変わらないのだが、目の前でいきなり縮まれると、ビックリする。
なんか、シロさんを見下ろすのって新鮮である。シロさんは普段ハイヒールっぽい靴を履いているので、そこ含めると俺よりやや高い感じであり、こういう見下ろす雰囲気は本当に新鮮だ。
っと、それはともかくとして壁ドン……別に勢いよく手を突く必要は無いよな、痛いし。よ、よし、やるぞ……タイミングとかは確認する必要はない。シロさんはちょっと強引に来てほしいという希望したわけだし、こちらの準備が出来たらすぐに実行だ。
そして、知識にある壁ドンの姿を思い浮かべながら、右手をシロさんの顔を横を通過するようにして壁につく。これ、漫画とかで見る時は大抵横のアングルだけど、実際にやると結構顔が近い……いい匂いもするし、あんまり慣れないことやってるので緊張はする。
「……」
期待を込めるような目でこちらを見上げてくるシロさん。身長を低くしている関係上必然的に上目遣いになるので、その迫力はかなりのものだ。
いや、でも、それはそれとして…………あの……壁ドンってどういう形になったらゴールなの!? いちおう姿勢は上手くできたと思うけど、こっから何すればいいの? 正直キスぐらいしかなくない? でも、キスして終わりだと別に壁ドンじゃなくてもいいような……分からない!?
マキナ「まぁ、愛しい我が子は強引にグイグイ行くタイプじゃないから、結構戸惑うよね」
???「……いや、あの人、わた……アリスちゃんに対しては、結構攻撃力高いんですけど? 攻めてくるタイプなんすけど……」
マキナ「いや、それは愛しい我が子の攻撃力が高いんじゃなくて、アリスの防御力が脆すぎて、結果的にそうなってるだけじゃ……」
???「まぁ、それはその通りなんですけど! アリスちゃんが恋愛クソ雑魚なのは否定できねぇっすけど!!」
マキナ「変に堂々としてるんだよなぁ……」




