シャローヴァナルとの建国祭昼③
不思議な力によって順番を待つことなくゴンドラに乗り込む。いや、ゴンドラという名称かどうかは知らないが、ゴンドラっぽいのでその呼び方でいいだろう。
ゴンドラに入る際にチラリと横を見ると看板があって「身長制限3m以下」と書かれていた。この世界には様々な身長の種族が居るので、こういうのは納得ではあるが……普段街中であまりそこまで巨大な人を見かけることは無い。
というのも、その手の3mを超えるような体格なのはほぼ魔族の人であり、魔族は連度の違いこそあれど皆魔法が使える。
体の大きい種族は幼いころに親や同族から、体のサイズを変える魔法ないし人化の魔法を教わるらしい。一種のマナーのようなものであり、メギドさんが人界の街とかに来る時は基本人化しているのもそのためである。
「中はシンプルな感じですね。ふたりなら余裕ですけど、四人とかだとちょっと狭いかもしれませんね」
ゴンドラに入って席に座る。やはり観覧車のゴンドラに似ている感じで、ふたりだと向かい合わせに座るのが丁度いい感じだ。
……丁度いい感じ……なのだが、シロさんは当たり前のような顔をして俺の隣に座ってきた。
「……あのシロさん? この感じだと、向かい合わせで座る方が自然じゃないですか?」
「そうですね。ですが、私が快人さんの隣に座りたかったので、隣に座りました」
「そ、そう言われると、もうなにも文句は言えないです。じゃあ、このままでいきましょうか」
安定のストロングスタイルであり、俺としても別にシロさんが隣に座るのが嫌なわけでもないので、まったく問題はない。
そしてほどなくして、ゴンドラがゆっくりと宙に浮かび始めた。係員の説明によると20分ほどかけてゆっくり首都上空を周るらしい。
「おぉ、なんか凄いですね。これだけ大きいものが宙に浮かんでると……」
「実際は術式で描いた軌道をなぞるように動いています。この箱自体には浮遊する術式しかなく、他の魔法具で引っ張っている形ですね」
「なるほど……」
「さて快人さん、大事な事実を確認しておきましょう」
「はい?」
空に浮かぶゴンドラからの景色、多くの人で賑わう首都を見下ろせるのはかなりのいい景色だ。特に建国記念祭という場もあって、空から見ていても賑やかで楽しい。
そう思っていたのだが、シロさんがなにか……口角を上げながら告げてきた。
「……ふたりきりになりましたね」
「………………」
脳裏によみがえるのは、少し前の自分の発言……シロさんが言った「確約」という台詞。そしてそのあと、なんとも都合よく「偶然」に発見したこのアトラクション。い、
ま、まさか、シロさん……この展開を狙っていたのか? い、いや、待て落ち着け、その約束があったのはアトラクションを発見してからだ……だが、たしかにふたりきりだし、雰囲気もいい状態といっても過言ではない。
「20分、時間はそれなりにありますし、楽しみですね」
「……そ、そうですね」
なんとも清々しいまでのシロさんの微笑みが、印象的だった。これは、長い20分になりそうである。
……本当に20分で終わるんだよね? 時間操作とかそういうのあったりしないよね?
シリアス先輩「あ、ヤバそう……」




