挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

168/525

100万PV記念・IF番外編~アイシス・レムナント~

100万PVに到達し、大変嬉しかったので、特別番外編としてヒロイン達が現代にやってきた話を掲載します。
全部で五話、順番はクロムエイナ⇒アイシス⇒ジークリンデ⇒リリア⇒アリスです。
今回はアイシス編です。


この番外編の補足事項

・快人とアイシスは恋人同士。
・快人は1年の後元の世界に戻り、アイシスも付いてきた。
・アイシスはデレてる。物凄くデレてる……元からデレてた。
・IFなのでその状況になったら確実に付いてくるであろうキャラ等は居ない。
・ただいちゃいちゃしてるだけ、砂糖吐く位甘い。

 朝特有の緩い眠気を感じる体を優しく揺らされる。
 ゆっくりとしたゆりかごのような揺れを感じ、緩やかに覚醒していく意識の中、完全に目が覚める直前に頬へ柔らかい感触を感じた。

「……カイト……朝……」
「んん……アイシスさん? おはようございます」

 頬にキスをされ、幸せな感触を感じつつ目を開くと、穏やかな微笑みを浮かべるアイシスさんの顔が見えた。

「……おはよう……ご飯……出来てる」
「ありがとうございます。今、起きますね」
「……うん」

 甘く優しい声を聞きながら、体を起してアイシスさんを見る。
 アイシスさんは長い髪をポニーテールにして、白いフリルのついたエプロンを身に付けており、普段の可愛らしさに家庭的な雰囲気が加わっていて、いつも以上に魅力的だ。

 起こしてくれたアイシスさんにお礼を言った後、洗面所で顔を洗ってから台所へ向かう。
 するとアイシスさんは俺が来るのに合わせて用意してくれていて、食卓にはシンプルながらとても美味しそうな朝食が並んでいた。

 食卓についていただきますと告げてから料理を食べ始めると、寝起きの体に優しい味付けの料理がじんわりと染み込んでくる。
 こちらの世界に来て既に半年、アイシスさんの料理の腕はどんどん上達していて、最近は本当に食事が楽しみだ。

「あ、そうだ。アイシスさん。今日は一緒に遊園地に行きませんか?」
「……遊園地?」
「はい。えっと、なんて言えば良いのか……遊具がいっぱいある所ですね」
「……それは……楽しそう……だけど……」

 食事をしながら告げた俺の言葉を聞き、アイシスさんは迷うような表情を浮かべ、チラリと視線を動かす。
 アイシスさんが動かした視線の先、リビングにあるテレビに映っているのは、真面目なニュース等では無く少しオカルトちっくな番組であり、都市の七不思議みたいな感じの内容が流れていた。
 そして番組の帯には『怪奇! 静寂のスクランブル交差点!』とタイトルが付いている。

 その番組の内容は二ヶ月前に実際に起こった事件……大勢の人で賑わうスクランブル交差点から、昼間にもかかわらず人が消えたという内容。
 ちなみに、その場にいた人達は皆こう語っているらしい「何故だか分からないけど、そこにいると死ぬ気がした」と……

 うん。実はこれ……アイシスさんが原因だ。
 二ヶ月前、俺とアイシスさんは服を買いに出かけ、そのスクランブル交差点を通りがかった。
 アイシスさんの死の魔力は、こちらの世界でもあちらと同様の効果を発揮しているが……アイシスさんの機嫌が良ければ、その威力は弱まる。
 具体的にいうと、アイシスさんが心から幸せを感じていれば、少し離れた相手が怯える程度まで弱くなる。

 なので最初は全く問題無かった。信号待ちをしている時等も、少し距離をとって並ぶ事で違和感が無い程度には出来ていた……んだけど、アイシスさんの死の魔力が弱まっていたからこそ、それが起ってしまった。
 アイシスさんはとんでもない美少女であり、当然のことながら人目を引く……死の魔力の影響が届かない位置にいた人達が、アイシスさんに目を奪われるのはある意味必然だった。

 そしてその内のちょっと不良っぽいグループが、アイシスさんと手を繋ぐ俺の事を「冴えない奴」と評した。
 アイシスさんの美貌に比べて俺が冴えないのは自覚しているし、俺の方は特に気にしていなかったのだが……俺を馬鹿にされたと認識したアイシスさんが、怒ってしまい、死の魔力が強烈に広がった……そして、その瞬間周囲一帯の人間は、蜘蛛の子を散らすように逃げ始めた。

 すぐにそれに気付き、俺もアイシスさんの手を引いて逃げる人達に混じってその場から離れたので、アイシスさんが原因というのには気付かれていないが……アイシスさんは俺に迷惑をかけてしまったと、その時の事を凄く気にしている。

「……また……カイトに迷惑……かけちゃう」
「迷惑なんて思ってませんよ。アイシスさんとデートできる幸せに比べたら、そんな苦労なんでもないです」
「……カイト」
「それにほら、アイシスさんが幸せなら死の魔力は弱くなる……ようは俺がアイシスさんを、一日中幸せにしてあげられれば、何も問題はない筈です」
「……うん」

 俺が微笑みながら心からの言葉を伝えると、アイシスさんは嬉しそうに微笑みを浮かべる。
 それにそもそも迷惑どころか……こうしてアイシスさんと二人きりで生活できているのも、実はアイシスさんがこの世界に持ってきた宝石のお陰だし、むしろお世話になってばかりな気がする。














 朝食を食べてからすぐに車で出発し、遊園地には開園間際に到着する事が出来た。
 今日は平日の筈だが、意外と人は多いものでそれなりに賑わっている印象がある。

 アイシスさんと指を絡めて……いわゆる恋人繋ぎで手を繋ぎ、チケットを買ってから園内に入る。

「……凄い……おっきい」
「ええ、そこ遊園地はかなり有名ですからね……さっ、アイシスさん。何処から行きましょうか?」
「……えっと」

 初めて見る遊園地に驚いている様子のアイシスさんの前でパンフレットを広げ、どこから回るか相談を行う。
 例によって周囲1メートル位に人は寄ってこないが、それなりに人が多いとはいえ平日……違和感がある光景にはなっていない。

「……おい、あの子すげぇ可愛いぞ」
「ホントだ~お人形さんみたい!」
「外国人かな? 隣の奴は彼氏か? あっちは何かパッとしな――ッ!?」

 男女数人のグループが俺達に気付き、そんな会話が聞こえてきた瞬間……アイシスさんの機嫌が少し悪くなるのを感じ取った。
 不味いっと思った瞬間、俺はアイシスさんの手を強く引き、華奢な体を抱きしめながら唇を奪った。

「んっ!?」

 柔らかく甘いアイシスさんの唇の感触、驚いたように綺麗な赤い目を見開きながらも、すぐにそれを閉じて俺に身を預けてくるアイシスさん。
 世界から二人だけ切り取られたかのように、幸せな数秒間を堪能した後で、唇を離す。

「……あっ……カイト?」
「アイシスさん、周りの事は気にしないで下さい……今日は、今は、他の事なんて考えず……俺だけを見てください! 俺のことだけ考えてください!」

 正直言って大変恥ずかしい、明らかに注目を集めているし、きゃあっと黄色い声を上がっている。
 しかしアイシスさんと今日のデートを楽しむためには、アイシスさんに今日一日ずっと幸せでいてもらうためには……この程度の恥は安いものだ。

 真っ直ぐに目を見つめながら告げる俺の言葉を聞き、アイシスさんは瞳を潤ませ、頬を染めながら頷く。

「……うん……カイトの事だけ……見る」

 可愛らしく告げるアイシスさんの体を強く抱きしめ、先程以上に体を密着させつつその場を離れ、アトラクションの方へ向かう事にした。












 やはり平日を選んで正解だったみたいで、どのアトラクションも大して並ぶ必要など無く、スムーズに楽しむ事が出来た。
 コーヒーカップ、メリーゴーランド、ジェットコースターと定番のアトラクションを回る間、アイシスさんは本当に幸せそうな笑顔を浮かべており、俺の腕に強く抱きついていた。

「……カイト……凄く……楽しい……凄く……幸せ」
「俺も、アイシスさんが一緒にいてくれるおかげで、楽しくて幸せです」
「……うん!」

 元々カップルや家族連れの多い遊園地という事もあって、最初の件以降背筋が冷たくなるような事態には発展していない。
 勿論アイシスさんの容姿は目を引くものではあるが、たっぷりいちゃついてる事もあって、俺を馬鹿にするような声は聞こえてこなかった。

 ぐるりとアトラクションを順番に回り、時刻は夕方に差し掛かり園内が茜色に染まり始めたタイミングで、アイシスさんと一緒に観覧車に乗る事にした。
 有名な遊園地だけあって非常に大きな観覧車……そのゴンドラにアイシスさんと入り、隣に座る。

「……凄く……綺麗」
「本当に、この辺りが一望できますね」

 観覧車から見える美しい景色に感嘆の言葉を溢すアイシスさんを見て、俺も微笑みを浮かべる。
 アイシスさんは少しの間景色をキラキラした目で見つめた後、ゆっくりと俺にもたれかかってくる。

「……カイト……ありがとう……こんなに幸せなの……初めて」
「……アイシスさん」

 もたれかかってきたアイシスさんの小さな肩を抱きしめ、幸せそうに笑うアイシスさんと見つめ合う。
 赤く美しい瞳には俺の姿だけが映り、それから自然な動きで目が閉じられ、引き寄せられるように俺とアイシスさんの影が重なる。

「……んっ……ちゅっ……んぁ……っちゅぅ……カイト……んっ……好き……大好き」
「……アイシスさん、俺も、好きです」
「……カイト……ずっと……一緒にいて」
「はい。ずっと、いつまでも一緒です」

 互いに確かめ合うように、確かな存在だと魂に刻みつけるように、俺とアイシスさんは隙間なく体を密着させ、温もりを交わす。
 このゴンドラが元の位置に戻るまで、後どれだけの時間があるかは分からないけど……それまでは、愛しいアイシスさんの事だけを考えていたい。

「……カイト……好き……今までより……ずっと……怖いぐらい……カイトの事が……好き……終わりなんてないぐらい……カイトを……もっと……ずっと……好きになる」
「……アイシスさん。それは俺も一緒です。昨日までよりずっとアイシスさんの事が好きで……愛しています」
「……私も……愛してる」

 アイシスさんと出会えた事は、本当に、あり得ない程幸福な奇跡だ。
 死の魔力、それが他者を遠ざける性質を持つものだとしても……俺はアイシスさんを決して離しはしない。
 今、この腕の中にある小さな温もりこそが、幸せなんだと心から確信できるから……そして、アイシスさんと一緒に歩んでいく未来も、幸せなものになると……確信できる。


シリアス先輩、おかえりなさい……死ね。

シリアス先輩「どぉぉぉしてぇぇそんな事するのぉぉぉ! 鬼、悪魔!」

クロムエイナ編が始まると、数話は入れるタイミングが無いのでここで入れました。
いつの間にか1000万PVだった……
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ