月明かりの差し込むコテージで⑨
ご報告です。
新紀元社様の通販サイトで、勇者召喚に巻き込まれたけど異世界は平和でしたのアクリルスマホスタンドが発売されます。よろしければ見て見てください。今日は時間がないので明日か明後日にでも活動報告に記事を作ります。
あと、なかなか報告できなかったのですが、書籍版最新刊は12月発売を予定して進行しておりますので、もう少しすると詳しい情報も出せるかと思います。
とりあえず服を脱ぎ終えて体にしっかりとタオルを巻いたアリスと共に浴室へ向かう。なぜかなんとなく、どちらからともなく手を繋いでしまったのだが、会話はほぼ無く変な緊張感が漂っている。
やはり一緒に着替えたせいか、俺まで緊張している変な空気になってしまっているが、ここはなんとか心を落ち着かせなければいけない。なにせ、アリスの方は現在の表情は無だが……それは決して冷静だからではなく、むしろその逆本当にギリギリで保っているというか、あと一押しあったらパニックになりそうなところで踏みとどまっている状態だ。
なのでここで俺まで緊張して固くなってしまうと、最悪ふたりして硬直したまま時間だけが過ぎるというような事態にもなりかねないので、俺の方がしっかり気合を入れてリードしなければならない。
「……おぉ、なんか風呂場も南国風というか独特な感じだな。花とか浮いてるし」
「そ、そうっすね。エスニックな感じがしますね。いや~こういう雰囲気もいいもんっすね」
コテージの風呂場は木造りの外見から和風な感じを想像していたが、南国感ある赤やオレンジの花が浮いたお洒落なお風呂だった。
ちょっと浅めの造りであり、足を延ばして寝転がるように入浴して丁度いいぐらいの深さだ。あまり広くはないのだが、ふたり入って足を延ばすには十分なサイズ……いや、待て? 感覚がおかしいぞ、ふたり並んで入浴して足を延ばせるサイズのお風呂はむしろ大きい。
家の風呂が大きすぎるせいで、どうも微妙に間隔が狂ってしまっている気がする。
「とりあえず、体は各自で洗って入浴しようか……透明度の高い風呂だし、タオルは巻いたままで」
「う、うす、了解です……」
風呂場で背中を流し合うというのも定番ではあるのだが、現在のアリスの精神状態で行うのは難しく。また、背中を流すというのはアリスにとってはトラウマを想起させる危険もあるので体は各自で洗って、ちゃんとタオルを巻いたままで浴槽に入る。
「あ、ほのかに花の香りがしていいな」
「そうっすね。湯の温度は少し温めで、じっくり浸かるのに適してますね」
「そうだなぁ、まぁ、のんびりしよう。なんだかんだで、一日しっかり歩いたりしたわけだしな」
「あっ、えっと……そ、それでいいんすか?」
「え? うん? なんか要望が?」
「……い、いや、要望とかはないっすよ。ただ、ほら、恋人同士てここ、混浴しているわけですし、そうなるとイチャイチャだとか、ラブラブだとかそういう展開があってもいい筈ではないかと……そんな風に思うわけですよ」
少し前に、混浴にはトラウマがどうとか言ってた奴が即座に手のひらを返してきやがった。いや、たぶん精神的に少し余裕が出てきた証拠だろう。タオルを巻いたまま入浴しているということもあって、安心感があって、それが心に余裕が出る要因になっているのだろう。
「ある程度具体的に言ってほしいも……の……」
「うん? カイトさん?」
「あ、い、いや、なんでもない!?」
「ううん?」
アリスの方を振り向いて驚愕したというか……あれ? タオル……透けてない? いや、タオルを巻いていることは間違いないのだが、なんか妙に透けているというか肌色がよく見えるというか……その、無防備な胸の突起的な部分も不意打ちで見てしまったというか……。
ど、どうなってる? 結構しっかりしたタオルだったはずだし、あそこまで透けるはずが……そういう素材なのか? ともかく不意打ちでバッチリ見てしまったせいで、顔が赤くなっているのを強く感じた。
「……はて? さっきのカイトさんの視線……」
「あ、待て、アリス!」
「………………はぇ?」
不思議そうなアリスの声に反応して咄嗟に制止しようとしたが間に合わず、アリスは視線を下げ……直後に固まった。タオルが透けまくっているという状況に気付いたみたいで、顔がものすごい勢いで赤くなっていく。
「ひぃやぁぁぁぁ!? な、ななな、なんでこんなに透け……これ、もも、ほぼ裸……」
「お、落ち着け……その、最初不意打ちでちょっと見ちゃったけど、その後は目線は下げてないし、いまも見てないから……ああ、いや、そうじゃなくて、とりあえず冷静に……」
悲鳴と共に叫びながら手で大事なところを隠すアリスに、俺は視線を下げないように顔を逸らせながら告げるが、俺の方も動揺していてどうも妙なことを言ってしまっている気がした。
「というか、カイトさんの方は透けてないんすけど!?」
「え? あっ、本当だ……え? それぞれでこんなに透け方に差があるとか、あり得るのか?」
アリスに言われて自分の状態を確認すると、俺が腰に巻いているタオルはまったく透けていない。いや、湯に浸かったことで多少体に張り付いてこそいるが、それだけだ。
同じコテージの備え付けのタオルを使って、ここまで透け方に差が出ることなんてあるのだろうかとそんな疑問を浮かべていると、アリスがハッとなにかに気付いた様子で憤怒の表情を浮かべた。
「……あ、あのくそアマ……私の方のタオルだけ別の物にすり替え……ぜ、絶対あとでぶっ飛ばす……」
よくはわからないが、どうにも犯人に心当たりがあるようでアリスは恥ずかしさではなく憤怒で顔を赤くしていた。
もしかしたら、アリスがたまに話す別世界の神である親友がなにかをしたのかもしれない。そのぐらいのレベルじゃないと、アリスに気付かれずにすり替えなんて不可能だろうし……。
マキナ「恋にハプニングはつきものだからね!! だって恋愛漫画でそういう見たもん!! というわけで、ナイスアシストだね………‥後が怖いけど……本当に怖いけど……」
シリアス先輩「あぐっ……よ、余計なアシストを……くそ、糖度が……」




