月明かりの差し込むコテージで①
時間が全然なくて短めです
実質的にアリスから渡されたようなものではあるが、海辺のコテージのペア宿泊券に関してはひとまず考えないことにする。
いや、これを意識し過ぎると俺もぎくしゃくしてしまいそうだし、あまり考えないことにして建国記念祭に意識を戻した。
「……というか、いつの間にか結構日も落ちてきたな」
「はひっ!? そそ、そうっすね。もう、月が出てもおかしくないじじ、時間ですね」
「いや、落ち着け、とりあえずその手の話は一旦忘れておいて、いまは祭りに集中しよう」
「あ、はい……ふぅぅぅ……よし、OKです!」
アリスはもう傍目に見ても分かりやすいぐらいに意識しまくりだったので、そこは一旦落ち着かせる。建国記念祭も、花火が上がるまでは見ていく予定なのでまだそこそこ時間がある。
ずっとこの調子では困るので落ち着くように促すと、アリスもその辺りは分かっているのか大きく深呼吸をしたあとで表情を戻した。
「花火が上がるのって夜の8時だっけ?」
「ええ、あと1時間半ぐらいってところですね」
「じゃあ、軽く夕食を食べるのもいいか」
「お、いいっすね。行きましょう!」
調子を取り戻したというか、あとのことを考えないようにしたおかげでいつものテンションに戻ったアリスは、夕食と聞いて目を輝かせる。
ただなにを食べるかは若干迷うところである。屋台グルメは昼も含めて朝から結構堪能しているし、少し違う感じのものが食べたい。
「屋台グルメもいいけど、なんかしっかりした感じのものも食べたいな」
「ふむ……カイトさんがそういうと思って、いくつか高級レストランの席を押さえてますが?」
「え? 今日もやってるところ?」
「ええ、出店のエリアからは外れた場所で、そこそこ静かですよ。あと、花火が見れる位置にあるレストランも予約していますので、そこで花火を見るのもいいかもしれませんね」
流石というべきかなんと言うか、あらゆる意味で準備がいいなコイツ。しかも俺の行動を読んでいるというか、屋台グルメ以外を食べたくなるというのを察して準備しているあたり、流石の頭の回転だ。
強いて問題点を挙げるなら、その頭の回転が恋愛関連にはまったく生かされないことか……いや、まぁ、デートの夕食と考えると、生かせてはいるのか?
「じゃあ、そこで夕食を食べるか……花火が見えるレストランとか、結構アリスが好きそうなシチュエーションだよな」
「んなっ!? い、いや、まぁ……好きですけど……窓際の席で乾杯したいですけど……」
「てことは、窓際の席を用意してるのか……」
「……あ、まぁ……か、貸し切りです……その、ちょっとくらい、いちゃいちゃとか……し、したかったっすし……」
そう言って恥ずかしそうに顔を逸らすアリスはなんとも可愛らしく、思わず笑みがこぼれた。
シリアス先輩「ひぃ、タイトル……」




