ハイドラ王国建国記念祭⑨
議院を貸し切るという殆ど反則みたいな方法で、俺たちは室内で座ってセレモニーを見ることができるようになった。
注目を集めたりしないかが気になったが、そもそも議院の窓は俺たちの世界で言うところのマジックミラーのような仕組みになっており、中を見ることはできないようになっているとのことで、俺たちが変に注目される心配もない。
広場はやはり超満員という感じの賑わいであり、ともかく人がパンパンに詰め込まれているみたいで、今回の注目度の高さを感じられた。
「あ、見てくださいカイトさん。ゴリラがいますよ」
「うん? ああ、確かにメギドさんが……というか、目立つなぁメギドさん」
「そもそもサイズがデカいっすからね」
ハイドラ王国と交流の深いメギドさん、そして六王を代表してリリウッドさんが参列しているという話は事前に聞いていたが、十メートル越えの世間からよく認知された戦王としての姿で参列しているメギドさんはすぐに発見することができた。
そしてメギドさんがいるということは、その辺りが貴賓席なのだろうと思って見てみると……リリウッドさんや、パンドラさん、イリスさん、フレアさん、ゼクスさんといった顔見知りも参列していた。
「あ、イリスさんとかゼクスさんも居るんだ」
「シンフォニア王国の時が特殊だっただけで、だいたいはああして六王本人の代わりに幹部が参列しますね。うちもほら、パンドラがいるでしょ?」
「ああ、そっか、考えてみれば当然か……」
「まっ、いちおう人界三国のそれぞれ建国を祝う祭りなわけだし、友好的な関係を築いている以上は各六王の関係者は参列するよね」
「幹部とはいっても、七姫や戦王五将といった最高幹部級ではなく、普通の幹部が参列することもありますけどね」
アリスの説明に頷く俺に、ハプティさんとノエルさんが補足してくれる。確かに言われてみればその通りというべきか、よほどの事情がない限り陣営からひとりも参列させないというのは無いのだろう。
アイシスさんなどは最近まで配下が居なかったので本人が参列するか、そうじゃない時は誰も来ないという形だったが、いまは問題なく参列者を出せるので、今回もイリスさんが参列しているのだろう。
よくよく見ると、神官っぽい服装の人も居たりするので、神族の関係者もちゃんと参列しているっぽい感じだ。
あとは、ライズさんやクリスさんといった他国の王に、フォルスさんなどの有名人がチラホラといった感じかな?
「まぁ、アレだよね。国としてはカイトも参列者として呼びたいだろうねぇ」
「それは確実にそうでしょうね。仮に参列していても、一般人には誰か六王の関係者ではないかと認識されて注目度はそれほど高くないでしょうが、貴族や立場の高い相手には快人さんの名はよく知られてますからね」
一般人相手にはそれほど有名ではないが、貴族や六王幹部など各陣営の高い立場にいる人たちには認知されているらしい俺は、確かに参列者として招待したいような相手かもしれない。
まぁ、今回はシンフォニア王国とアルクレシア帝国では出店してたし……なんというか、あまり堅苦しいのも苦手なので、招待されてもあまり参加はしたくないという気持ちもある。
でも、う~ん。仮にライズさんやクリスさん、ラグナさんから参列を頼まれたら……日頃お世話になっていることもあって、首を縦に振ってしまいそうな気はする。
「ちなみにそういうやつは、アリスちゃんとか……他の奴がしっかり牽制してるので、招待されることはねぇっすよ。いや、まぁ、あくまで牽制しているのは招待する方なので……カイトさんから参列したいって言えば、相手は諸手を上げて喜ぶでしょうけどね」
「う~ん。いや、あの貴賓席に座るのはちょっと……だから、むしろそういうのを防いでくれて嬉しいというか、本当に助かる。ちなみに、アリス以外に……他の奴って?」
「人界の貴族の多くにトラウマを刻み込んだヤベェ神っすね。むしろ、アリスちゃんの牽制以上にそっちに怯えまくってるので、カイトさんのところに変な招待とか来ないんすよ」
「……あぁ」
たしかに、あの人はヤバいな……うん。本当に、忠告に従わなかった場合にアリス以上に容赦は無さそうだし、そもそも忠告の段階で相当怖がらせてそうである。
でも、そのおかげで変な招待とかが控えられていると考えると、ありがたい部分もあるのであんまり強く非難もできないが……多少は手心を加えてあげて欲し……無理だろうなぁ。
マキナ「やっぱり愛しい我が子は優しいなぁ。慈悲の化身みたいなものだよ。うん。愛しい我が子の願いとあっては私も配慮したくなるなぁ……もう、全貴族におどしかけたあとだけど……」




