ハイドラ王国建国記念祭⑥
アリスの提案もあってノインさんとハプティさんを加えて4人で行動することになった。まぁ、厳密にいうとメンバーの半分はアリスなんだが……。
「快人さんとアリス様はどちらに行く予定だったんですか?」
「ブラブラしつつ、海竜行進を見に行く予定でした」
「なるほど、いいですね。海竜行進はどことなく獅子舞を思わせる内容で見ていて楽しいですよ」
「ノインさんは見たことがあるんですか?」
あまり祭りに参加するようなイメージはないが、よくよく考えればノインさんも千歳を超えているわけだし、ハイドラ王国の国王であるラグナさんとは親友同士とあれば、何度も見に来ていてもおかしくないかもしれない。
「何度か見たことがありますね。今回もラグナからチケットは貰っていますので、ハプティと一緒に見に行こうかと……」
「国王が友達だとこの手のイベントは席が確保しやすくていいよね。というか、ちょっと話は変わるけどセレモニーの参列者のリスト見たらさ、フォルスの名前もあったからフォルスも来てるっぽいよね」
「フォルスが? それは……果たして辿り着けているのでしょうか?」
「ああ、それに関しては先日送り届けました」
やはりというか、ふたりもフォルスさんの方向音痴っぷりはよく知っているみたいで、心配そうな表情を浮かべていたので、先日の一件を簡単に説明した。
迷っていたフォルスさんを偶然見つけてラグナさんの元に送り届けたという話をすると、ノインさんもハプティさんも苦笑を浮かべる。
「なんというか、フォルスも相変わらずですね。六王祭の時も迷ってて快人さんに助けられてましたね」
「ですね。あれ? そういえば、ふと思い出したんですが……あの時、ノインさんってフォルスさんの姿を見て驚いてましたよね?」
「ええ、前に会った時と見た目が変わっていたので……」
「あ、いや、少し気になっただけでぶしつけな質問ですが……15年以上あってなかったんですか?」
「うっ……そっ、それは、そのぉ……」
それは本当に単純にふと思いついた疑問だった。ノインさんは勇者パーティのメンバーと仲が良いし、実際によく一緒にいるところを見かけるが、六王祭では15年ほど前に姿が変わったフォルスさんに驚いていたので、顔を合わせたのは少なくとも15年ぶりということだったのだろう。
それが改めて考えてみると少し違和感があるなぁと思って尋ねると、ノインさんは気まずそうに視線を泳がせて言い淀む。
そして、アリスが苦笑を浮かべつつ説明をしてくれた。
「あ~カイトさん。それは長命種というか、長く生きてる人は結構な確率で経験してるやつです。なんというか、時間の感覚がマヒしてくるんすよ。最初の100年辺りは結構知り合いにマメに連絡を取ったり……まぁ、いまのカイトさんと似たような感覚なわけです。それが300~500年ぐらい経ってくると知り合いも多くなって、数年単位で会ってない相手とかも多くなって、数年振りぐらいではあまり久々に感じなくなるんですよ」
「そう、そうなんです。もっと長く会ってない知り合いとかも居て、数年振りぐらいだと大して期間が空いた気がしなくなるんですよ。私も昔は長命種のフォルスやラグナの時間間隔は大雑把すぎて、私とは全然違うなぁとか思ってたんですが、長く生きてると……意識してないと、そういう時間間隔になってしまうんですよ」
「な、なるほど……」
100年ぐらいまでは、長く会ってない相手といっても数年とか、多くても数十年とかなのが、長く生きてると数十年や場合によっては数百年会ってない相手とかもできはじめて、感覚がズレてくるって感じか……そういえば、同じ長命種でも30代のジークさんは普通に人間と同じような時間間隔だが、レイさんやフィアさんは数年を久しぶりと思わない大雑把な時間間隔である。
「これは本当に長く生きてると一度は経験するやつだよ。気づかないうちに感覚がズレてて、ある時不意におや? って感じに気付く……カイトも500年ぐらい生きたら分かってくるんじゃないかな」
「ええ、快人さんこれ、本当にそうなるので気を付けてくださいね。結構意識しておかないと、百年以上連絡してない相手とかも出始めてくるので……」
「き、気を付けます」
アリスやハプティさんの言葉にノインさんも力強く同意しており……どうも本当に時間間隔のズレというのは、長く生きてると経験しやすいものらしい。
俺も不老なわけだし、後々そういうことにならないように気を付けないと……。
マキナ「あ~分かるなぁ。私も他の世界の創造主の知り合いとかだと、130億年ぐらい連絡してない相手とかもいるしなぁ。ついつい、忘れちゃうんだよね」
シリアス先輩「お前はまたなんか、ひとつレベルが違いそうな気がする」




