迷子のハイエルフ④
急な勤務変更で泊まり勤務になったので、短めです。
フォルスさんとカフェでしばし雑談をしたあと、改めて外に出て転移ゲートを目指して移動する。転移魔法は使えないので、徒歩での移動になるがここから転移ゲートまではそれほど遠くも無いので、さほど時間はかからないだろう。
「というか、ラグナさんに連絡はしておかなくていいんですか?」
「ああ、そうだね。ハミングバードでも飛ばしておこうか……ふむ、こんな感じかな」
「なんて書いたんですか?」
空に向かって飛びあがっていくハミングバードを見ながらフォルスさんに尋ねると、フォルスさんはなんの気ないような感じで口を開く。
「ありのままの状況を伝えたよ。先んじてラグナの元を目指そうとして家を出て、現在はシンフォニア王国首都にいて、これから転移ゲートを利用してハイドラに向かうとね」
「正しいんですけど……ハミングバード見たラグナさんが首傾げてそうですね」
リグフォレシアからハイドラ王国に行くにあたって、シンフォニア王国の首都を経由することは無い。転移での移動でも、海上を船で移動しても……唯一陸路で大回りしつつ、更に道を逸れた場合にだけ首都に辿り着く。
まぁ、ラグナさんはフォルスさんとも付き合いが長いし、おそらく迷っていることは察しているだろう。
そう思っていると、ハミングバードが帰ってきた。かなり早いので、相当慌てて返してきたようだった。
『どこにおるんじゃ! 場所を書け、そしてその場から一歩も動くな!!』
短いながら凄い熱量を感じる一文である。普段からフォルスさんの方向音痴に苦労していることがヒシヒシと伝わってくる。
とりあえずラグナさんに心配させないように、俺が一緒であることをハミングバードにかいて送っておいた。
すると少しして、俺宛てにハミングバードが飛んできた。
『そうか、カイト迷惑をかけるな……忠告しておくが、目を離さぬように……出来れば紐かなにかで括っておいた方がいいぞ。いっそ、あるなら首輪でも付けておいた方がいいぞ』
すげぇこと書いてるな。本当にどれだけ苦労しているのやら……思わず苦笑しつつ、視線を動かすと……先ほどまで隣に居たはずのフォルスさんが消えていた。
は? え? いつの間に!?
慌てて周囲を見渡すと、少し離れた場所にある露店を興味深そうにのぞき込んでいた。
「ほほぅ、これは研究に使えそうだ。やはり、リグフォレシアから出ると珍しいものがあるので興味がそそられるね。ついでに、いくつかの研究材料を買ってしまうのもいいかもしれないな。そういえば、向こうにも面白そうな露店が……」
……うん。どうも、マジでこの人は目を離しては駄目な人っぽい感じである。
シリアス先輩「研究が絡んだ瞬間に、他のことを一切頭から消しちゃうタイプか……」




