リリアへの報酬⑪
時間が無くて今日は少し短めです。
しばらくリリアさんを抱きしめたあとは、休憩を終えて再び模型巡りとなった。とはいえ、さすがはいくつもの世界の竜種を集めただけあって、数が凄まじく多いというかいくら見ても終わる気がしない。
そもそも、一体一体の模型に説明があり、リリアさんはかなり熱心に見ているので時間は当然かかる。少なくとも今日中に回りきることは無理だろう。
ただ、ひとつの倉庫にはひとつの惑星の竜種が集められているようなので、割と似通った形も多い。リリアさんとしてはじっくり見たいのだろうが、俺に気を使っていくつかの倉庫を順番に回る形になっている。
そうして倉庫から出て次の倉庫にというタイミングで、ふとあることを思い付いてリリアさんに尋ねてみた。
「……あれ? ふと思ったんですが、この世界って天候とかはどうなってるんですか?」
「ああ、それも操作できるみたいですよ。例えばこうして操作すると……」
「おぉ、夜になりましたね」
天候がずっと昼間だったのが気になって尋ねてみると、リリアさんは端末を操作して夜に切り替えた。それだけではなく夜空には満天の星空が輝いており、かなり綺麗である。
天候まで自在に操れるとなると、本当にこの世界に関してはリリアさんは神様のようなことができるというわけだ。
「凄い星空ですね。圧倒されます」
「ええ、試しに設定してみたのですが……凄いですね。これだけ綺麗な星空はなかなか見られません」
「せっかくですし、少しこのまま星を眺めませんか?」
「いいですね。そうしましょう……あの辺りに丘を作って……」
「おぉ、なんか創造の力があるみたいに見えますね」
「ふふ、確かに世界創造の力がある様な雰囲気ですね。まぁ、あくまでこの端末で操作しているだけですが……ともかく、せっかくですし夜の草原の丘で星を見ましょう」
苦笑しながら告げるリリアさんに同意して、一緒に丘に移動する。これはかなりいい雰囲気というか並んで座って星を眺めているのがいい。
「綺麗ですし、なんか静かでいいですね」
「ええ、星を見るには最高の環境かもしれませんね……こ、この雰囲気なら……」
「うん?」
「あ、いえ……えっと、あっ、ああ、ほら見てくださいカイトさんあの辺りの星とか素晴らしいですよ!」
えぇぇぇ……リ、リリアさん……相変わらず嘘が付けない人というか、なんとかして俺をそっちの方向に向かせたいというのが伝わってくるような感じだった。
なにをしようとしているのかは分からないが、とりあえずは乗ってみようかと思いリリアさんの指差す方向に視線を向ける。
「……えっと、あの辺ですかね」
「そ、そうですね。もう少し上の……」
「上……ふむ。あの辺――」
「ちゅっ」
「――へ?」
不意打ち気味に頬に感じた柔らかな感触に、驚きながら振り返る。リリアさんがなにかをしようとしているのは気付いていたが、まさか突然キスをされるとは思わなかった。
筋金入りの恥ずかしがり屋であるリリアさんがまさかと思っていると、リリアさんは顔を真っ赤にしてだらだらと汗を流しながら口を開く。
「ふ、ゆ、ゆゆ、油断大敵でしたね……」
「落ち着きましょう、リリアさん。余裕ある顔できてないです。いまにも気を失いそうですから……深呼吸を……」
リリアさん的には年上の余裕たっぷりに告げているつもりなのだろうが、テンパりまくっているのが伝わってくる顔である。
とりあえず、俺はしばしリリアさんを落ち着かせるために奮闘することになった。
シリアス先輩「ぐあぁぁあぁぁ……し、しかも、まだ続くだと……」




