リリアへの報酬⑩
いくつかのドラゴンの模型を見たあとは少し休憩でもという話になった。この世界に関してはリリアさんが端末を用いてかなり自由にできるので、草原に移動してベンチを出してそこに並んで座る形で休憩をする。
「そもそも、俺とリリアさんだけなので当たり前と言えば当たり前ですが、静かでのんびりできますね」
「そうですね。他に人が居ないというのはかなり気の休まる部分があります。私は特に、なんだかんだで普段はアルベルト公爵家を背負っているので、特に外に出かける際などは見え方なども気にする必要がありますからね」
この世界にはリリアさん本人とリリアさんが招いた者しか入れないので、休むという点においては本当にこれ以上なく最高の場所かもしれない。
実際リリアさんも普段以上にはしゃいでる様子で楽しめている感じだった。
「そう考えると、リリアさんにとっては本当に最高のプレゼントかもしれませんね」
「確かに、初めは驚きましたし胃が痛かったですが、エデン様に感謝ですね」
貴族であるリリアさんにとって、周囲を気にせず羽を伸ばせる場所というのはかなり貴重だろう。いや、本当に以外ではあるがエデンさんのプレゼントはよく考えられているというか、リリアさんに非常に合ったものだ。
そういえば、リリアさんの話では胃薬をくれたこともあったらしく、なんだかんだでエデンさんもリリアさんのことは評価しているのだろう。
「実際、今日のリリアさんは楽しそうでなんだか普段より可愛らしい感じがしましたね」
「え? あ、ありがとうございます……そう言ってもらえるのは嬉しいですが……う~ん」
「どうしましか? なんか微妙そうな顔をしてますけど……」
「いえ、私はカイトさんより年上なわけです。元は1歳上でしたが、カイトさんが異世界に戻っている間にズレたので現在は2歳上と言っていい状態です」
「そうですね」
「どちらかというと、こう……年上感といいますか、お姉さん感があってもいい気がするんですが……私にはやっぱりそういうのは無いでしょうか?」
文句や不満というわけではなく単純に疑問という感じでの質問だった。リリアさんは家族構成の中ではライズさんを兄に持つ末っ子ではあるが、アマリエさんたちが生まれた時期的な影響もあって姉様と呼ばれていたりする。
「どうでしょう? いや、もちろんリリアさんが年上なのは間違いないですが……そもそも俺の恋人の方々って、アニマ以外全員年上ですし、アニマも魔物時代を合わせると年上になっちゃうんですよね。なので、年上感に関しては、いまいちよく分からないかもしれないです」
「言われてみれば……というか、アニマさんを除けば私が恋人の中で一番年下ですもんね」
いや、この場合におけるリリアさんの言う年上感だとかお姉さん感というのが単純な年齢を指していないことは理解できる。
だが、その手の話だとジークさんとかフィーア先生が該当するので、その両者と比較するとちょっと難しいところではないかとは思う。
ただリリアさんもそんなに深刻に聞いてきたわけではなく、俺の返答を聞いて苦笑を浮かべていた。
「う~ん。年上の頼れる大人の女性路線は難しそうですね」
「リリアさんは十分頼りにはなると思いますが……むしろ、一番俺と年が近いって印象が大きい気がします。いや、リリアさんの方が年上なんですが同年代って感じがあって、そういう意味では話しやすいですね」
「……なるほど」
「リリアさん?」
「あ、いえ、その、思ったよりその……嬉しかったので……いえ、本当に単純に生まれたタイミングというのは理解していますが、それでも……一番歳が近いというのは、なんかえっと……嬉しいですね」
そう言ってはにかむ様に笑うリリアさんはなんというか、驚くほどに可愛らしかった。特になにかアドバンテージがあったりするわけではないことは理解しつつも、自分が一番年齢が近いのが嬉しいと、その喜び方は非常に可愛らしく衝動的に抱きしめたくなった。
ただ、リリアさんはかなり恥ずかしがり屋なので急に抱きしめると驚いてしまう可能性も高いので、ここは先に断りを入れた方がいいだろう。
「……えっと、リリアさん。凄く唐突なんですが、その、リリアさんが可愛くて……抱きしめてもいいですか?」
「はえ? あっ、えっと……はい。その……よ、よろしくお願いします」
俺の言葉にビックリした様子のリリアさんだったが、顔を赤くしつつも俺の言葉を受け入れてくれ、そっと両手を広げてハグ待ちの姿勢になる。
リリアさんは言うまでも無く美人であり、本当に可愛い恋人だと思っている。そんな相手が、少し恥ずかしがりつつも手を広げて受け入れる姿勢になってくれているのは……なんと言うか、破壊力が凄かった。
まるで吸い寄せられるように近づいてそっと抱きしめると、リリアさんも俺の背に手を回してすっぽりと胸に収まる様な形になる。
ふんわりとした柔らかい感触に、心地よい香り。強く抱きしめているわけではないが、リリアさんの体温を感じられるこの一時は、なんとも言えない幸福感に満ちていた。
シリアス先輩「かはっ……シンプルに甘さがキツイ……正統派の糖分によるダメージが……」
ドクターM「大丈夫? 我が子の話する?」
シリアス先輩「ナチュラルに追い打ちかけようとするな!?」




