リリアへの報酬⑦
リリアさんに誘われてやってきたのは、エデンさんがリリアさんに贈ったという異世界だった。世界といっても広さは人界ぐらいなので、世界というよりは星を1つプレゼントしたようなもの……いやいや、十分すぎるほどスケールはデカいが……。
「綺麗ですけどなにも無いですね。大草原?」
「最初の設定だとこういう風になっているようです。こうして操作を行うことでいろいろ変更できると……」
そう言ってリリアさんが手を動かすと、空中にSFチックな操作パネルが出てくる。コレはまた面白いというか、いわゆる世界の持ち主であるリリアさんが行える一種の権能のようなものって感じかな?
ちょっと形式は違うけど、俺の家にあるVRの操作パネルに似ているのでリリアさんも割と操作は慣れたものである。
「そして、この世界にはエデン様が用意してくださった。別世界の竜種の模型が存在するみたいです。まだ、私もゆっくりは見ていないのですが、非常に多くの未知のドラゴンが居る素晴らしい場所です!」
「へぇ、異世界の竜種ですか、それは面白そうというかどんなのが居るのか興味がありますね」
「カイトさんならそう言ってくださると思いました。心を休めるには好きなものを見るのと……す……すす……」
「す?」
「……好きな……その……人とデートしたりとか……そ、そういうのが有効だと思いますので……よ、よろしくお願いします」
「なるほど、それはたしかに……俺もなんだかんだで結構長時間で疲れてるので、心休まりそうです」
少し恥ずかしそうに、好きな人と一緒に好きなものを見る時間が心休まると告げるリリアさんを見て、その可愛らしさに思わず笑顔になる。
前に一緒にドラゴンカーニバルに行った際にもかなりはしゃいでいたし、リリアさんとしてはドラゴン好きというのがもう俺にはバレている以上、一緒に楽しみたいという感じに思考が変化したのだろう。それは俺としてもとても喜ばしいことである。
「じゃあ、さっそく行ってみましょう」
「あ、はい。行きましょう!」
「ああ、そうだ。リリアさん、せっかくですし手を繋いでもいいですか?」
「え? あ、はい。どうぞ……」
俺が提案すると少しだけ恥ずかしそうに手を差し出してきたので、その手を指を絡めるような恋人繋ぎで握り、リリアさんの操作によって発動する特殊な転移で移動した。
移動して辿り着くた場所はなんと言うか、今日巨大な建物という感じだった。見た目は倉庫みたいな感じで飾り気はまったく無いが、サイズがとんでもなかった。高さは最低でも100メートルは越えてそうで、横の広さはちょっと目算ではどのぐらいかは分からなかった。
「……凄い大きさですね」
「やはり異世界でも竜種は巨大な種が多いようです。エデン様の説明では、このような保管庫形式のものが数百存在しているらしいです」
「え? このサイズのが数百個? そりゃまた凄い……ああ、でも、複数の世界の竜種全部の等身大模型となると、そのぐらいは必要かもしれませんね」
シロさんの作った世界トリニィアは、世界としてはかなり小さいサイズという話だ。逆にエデンさんの世界は宇宙も含め凄まじく広大であり、そこの竜種に該当する生物を全部集めるだけでもかなりの数だろう。そういった感じに世界ごとに広さもかなり違うので、相当の数の模型が存在しているのではないかと思う。
そんなことを考えつつ、リリアさんと一緒に建物の入り口に近付くと、入り口の横に説明書きのようなものがあった。
「……なになに、この保管庫の中には機械と生物が融合し発展してきた星に生息する生物で、竜種に該当するものが集められており……へぇ、ロボットのドラゴンのような感じですかね?」
「キカイというと、以前仮想空間で見たクルマなどがそうですよね? それと融合した竜種ですか……鉄の竜?」
「まぁ、入ってみましょう」
「ですね。行きましょう」
俺の言葉に嬉しそうにリリアさんが頷いて扉に触れると、巨大な扉が音も無くスライドして中に入ることができた。
中に入ると室内はかなり明るい。どういう仕組みになっているのか分からないが、そもそもこの世界自体神様パワーによる謎仕様が多いので気にしないことにする。
「はわわわ……す、凄い! カッコいぃ……」
保管庫の中には、説明にあった通り機会を融合して進化した。どこかメカメカしいドラゴンがずらりと並んでいた。
全身が機械で出来ているものも居れば、体の一部だけ機械になっているのもいる。そして、巨大な模型の前にはそれぞれ説明書きがあり、そのドラゴンの詳細が書かれているようだった。
それを見る限りなんと、最新のドラゴンたちだけではなく機械と共に進化していく過程のドラゴンも模型として置いてあるらしく、ここにはひとつの星の竜種の歴史が丸ごと詰まっているような感じだった。
さすがエデンさんというべきか、やることのスケールがでかい。そして、リリアさんには本当に参考のプレゼントだったみたいで、幼い子供のように目を輝かせているのがなんとも印象的で、愛らしかった。
シリアス先輩「お、落ち着け……分水嶺だぞ、快人……いいか、そのまま別世界の竜種の解説多目で観光スタイルに移行するんだ。間違っても竜種そっちのけでデートメインに移行するんじゃないぞ……いいな!」




