リリアへの報酬⑥
休憩を挟んだあとは、俺のメモリーズのバフも含めて検証をすることもあったので、俺も時々参加しつつ検証は進んでいった。
とはいえ、俺が手伝う機会はそれほど多くなく基本的には本を読んだりしてのんびりと過ごしていたのだが、リリアさんの疲労度はかなりのもので、終わった頃には珍しくぐったりとしていた。
「やっぱり環境を変えると見えてくることも変わりますね。大抵のバフは効果なしですけど、ネピュラさんの世界樹の果実とカイトさんのメモリーズのバフだけは例外で、能力にさらに上乗せされる。さらに二つのバフは重ね掛けも可能と……これは、ネピュラさんの世界樹の果実と、カイトさんのメモリーズのバフが特殊な影響でしょうね」
「……確かに、私もいろいろ勉強になりました。しかし、予想はしていましたが強力な反面扱いにくさもある能力ですね」
「そうですね。最大の欠点としてオートクレールの能力は必ず理論上最大の威力で放たれるので、加減することができないというのが問題ですね。さらにあくまで相手に与えられるダメージで判定しているのではなく、リリアさんの放つ攻撃が最大の力を発揮できるようになっているので、リリアさんが攻撃の構えを取った瞬間、その構えから放てる最適かつ最高率の攻撃を瞬時に読み取れば先読みも可能です。まぁ、それができるレベルになると、そもそも素の実力が準全能級とかそのクラスですが……」
リリアさんのオートクレールは極めて強力な能力ではあるが、攻撃特化の性能で性質上加減して放つということができないので、使いどころは選ぶ能力のようだった。
この加減できないというのは結構な制約だと思う。使い状況とかによっては周辺に大きな被害が出る可能性もある。ただ一撃必殺の切り札としてはこれ以上ない性能だとも思える。まさに必殺の一撃って感じだ。
「ただ、オークレールの能力で自動的に最大となるのはあくまで威力のみで、付与する術式や追加効果なんかは割と自由にカスタムできるようなので、状況さえ選べば強力ですね。能力の説明だけ見ると、才能の上限まで鍛え上げている私が使っても効果は無いと思いましたが、理想的な軌道で斬撃などを放てるという利点はありますね。ここは、カイトさんのオートパイロットとかに近いかもしれませんね」
「ああ、言われてみればちょっと似てるかも……調整しにくいところも含めて」
まぁ、総評としてはリリアさんのオートクレールは強力な心具であることは間違いないのだが、使いこなすのはやや難し目といった感じである。まぁ、リリアさんならうまく使いこなしそうな気もするが……。
検証を終えてリリアさんの屋敷に戻ると、長い時間が経過……していなかった。あの亜空間は時間の流れを弄っているみたいで、かなり長く居たはずなのにほとんど時間は経過していなかったみたいだった。
そしてアリスが追加の検証はまた後程と言って姿を消し、それを死んだ魚のような目で見送っていたリリアさんは、ふとなにかを思い出したような表情を浮かべた。
「あ、そういえば、カイトさん」
「はい?」
「実は、エデン様からもうひとつ贈り物を貰いまして……非常に疲れたので、私はそこに行って心を癒そうと思うのですが、よろしければ一緒にいかがですか?」
「え? ええ、それは構いませんけど……贈り物?」
「はい。私専用の世界らしいです」
「…………そうですか」
とんでもないこと言い出したなと思ったが、エデンさんならそれも可能かと思い直して頷いた。けど、明らかに胃を痛めそうなプレゼントの割にリリアさんはソワソワと楽しそうであり、早くその世界に行きたいという雰囲気だった。
心を癒すとも言っていたし、リリアさんにとっては心休まる世界なのか? う~ん……じゃあ、たぶん、ドラゴン関連の何かがある世界だな。うん、間違いない。
シリアス先輩「……風向き……変わりそうだな……(絶望)」




