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胃痛なる建国記念祭③



 メギドさんは最終的にネピュラの作った花瓶を買って行った。皿やカップはメギドさんが普段の戦王としての姿で使うには不向きなので、花を入れて部屋に飾るらしい。

 その話を聞いた時、また微妙な顔をしてしまったが……致し方ないとは思う。


「しかし、やはり盟友の交友関係は広いね。強い輝きを持つ星には、やはり煌めく星が集うものなのだろうか?」

「どうでしょうね? ただ、意外と知り合いと会うものですよね……って、花火の音?」

「ああ、そろそろ式典が始まるのさ。今頃中央広場には集いし者たちが溢れ、混沌を極めていることだろうね」

「実質メインイベントみたいなもんですもんね。まぁ、この辺りにはあまり関係ないですね」


 中央広場は賑わうのだろうが、離れているこの場所はあまり関係ない。それよりもそろそろお昼時なので客の少ないタイミングで食べておきたいところだ。

 そう考えると、いまは丁度いいタイミングかもしれない。


「アメルさん、式典が始まったってことは、いままでよりも客足は減りそうですし、いまのうちにお昼でも食べに行きません?」

「賛成だ。だが方法はどうする? 時をズラし単独で相まみえるか、あるいは一時闇の遺品を狭間に封印するか……」

「う~ん、まぁ一度店をしまってふたりで食べに行きましょう。マジックボックスにしまうだけですし、昼休憩中とでも立札をしておけば大丈夫ですよ」

「うん、そうだね。ボクも盟友と一緒にご飯がいい――んんっ、話は決まった共に赴くとしよう」


 別に商売目的というわけでもないので、店は一度閉めてふたりで近場の出店に向かって昼ご飯を食べることにした。

 せっかくだしなんか祭りらしいものが食べたいところである。











 快人とアメルが店を一時閉じて、昼食に向かっていた頃。中央広場には香織と茜の姿があった。


「うわっ、やっぱ人が凄いね……」

「いや、これは例年以上やろ。今回は最高神様が全員来てるし、一目見ようと押しかけとる奴らが多いんやろ……しかし、これは、近付けんな」

「うん。せめて話せないまでもクリスさんを一目見れたらと思ってきたけど……これ以上中央広場に近付くのは無理そうだね」


 ふたりは式典を見に来たというよりは、香織が知り合いであるクリスの姿を見たいと考えたことで軽く見学する程度の軽い気持ちで中央広場にやってきていた。

 だが、最高神が全員参列と事前に判明している式典の見学者は非常に多く、クリスを一目見るどころか中央広場にすらまったく近付けない状態だった。

 あまりの人の多さ……もはや人の壁といえる光景を見て、香織と茜は中央広場に向かうのを諦めて引き返すことにした。


 そしてある程度離れて混雑がマシになった場所で、疲れた表情を浮かべながら言葉を交わす。


「……人多すぎ」

「ホンマにな、これぞ祭りって感じやな……今日は首都の広域に転移阻害結界があるから、うちも転移魔法が全然使えんし、移動は不便やなぁ。まぁ、なんにせよ、式典見るんは無理やな」

「そうだね、残念だけど諦めよう」

「……うん? おお、カオリとアカネだったか? また会ったな!」

「「戦王様!?」」


 ふたりが言葉を交わしていると聞き覚えのある大きな声が聞こえて、慌てて振り返るとメギドが歩いてきていた。

 メギドは認識阻害や情報隠蔽の魔法を一切使わないので、人化した姿の情報なども多くの者が知っており、戦王であるということはバレており、周囲がざわつく。

 だが、気性が荒い……もとい気に入らないやつが己の邪魔をしたら容赦なく殺すというメギドの性格も広く知られているので、迂闊に話しかけたり進路を邪魔したりはせず、周囲の人たちはサッと道を開ける。


 そうなると、取り残される香織と茜は注目の的であり、両者ともダラダラと大量の汗をかいていたが、そんな細かいことを気にするメギドではないので、気楽な様子で話しかける。


「それで、テメェらはここでなにしてたんだ?」

「あ、えっと、その、中央広場にクリスさんを一目見に行こうと思ったんですけど、人が多かったので……」

「え、ええ、それで引き返して休憩してたところです」

「クリス? なんだ、お前らアルクレシアの皇帝と知り合いなのか? って、そうか、過去の勇者役だったな……アルクレシアが召喚国だった感じか?」

「あっ、はい。私も茜さんもアルクレシアが召喚国です」


 普通にしていても威圧感があるメギドに若干怯えつつも、それでも快人が言っていた「不機嫌なわけではない」という前情報のおかげで、ある程度は会話ができた。

 ふたりの話を聞いたメギドは少し考えたあとで、ポンッと手を叩く。


「よし、なら連れて行ってやるぜ!」

「「……はい?」」

「俺も丁度、リリウッドとマグナウェルの面見に行く途中だったしな。うしっ、そうと決まれば行くか!」

「はえ? あ、あの、戦王様!?」

「なんで、なんでこんなことに……お腹痛いよ……この先のことを考えたくないよ……」


 いい考えだとばかりに告げたメギドは、絶望したような表情を浮かべる茜と香織をひょいっと肩に抱え上げると、そのまま人混みを避けるように跳躍して空中を蹴った。




シリアス先輩「そういえばこのゴリラ、シンフォニア王国にいきなり巨大な火柱あげてながら出現したりって感じの天上天下唯我独尊的なやつだった!?」

???「さすが魔界のトラブルメーカー、これ完全に式典中に来るパターンすね……さらにメギドさんを止められるであろうカイトさんは、中央広場に近付く気もなく店を閉めて昼食に……胃痛大連鎖が開始されますね」

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― 新着の感想 ―
[一言] ストッパーがいなーい!
[一言] 更新お疲れ様です!連続で読みました!メギドさんがしっかりと目利きしてるのが何とも言えない感じになるなぁ 快人さんが思うのもわかってしまうな そして香織さん達はメギドさんに再び会いそのままクリ…
[一言] カイトもこれを想定しろと言われても無理な話だw
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