もっとベビーカステラの可能性を求めて⑦
次回から神界移行へため、今回は短めです。
さて、アイシスさんのところも回り終え、一度転移魔法でクロの家に移動したあとで今後について相談することになった。
「それで、クロ。これからどうする? 魔界にはまだ、俺やクロの知り合いは結構いるけど、そっちを回るか?」
「うん。それもいいね。けど、その前に六王を一通り済ませちゃおうか」
「……うん?」
なんかおかしいこと言い出したな。もうすでに六王は一通り回り終えているはずだ。リリウッドさん、マグナウェルさん、メギドさん、アイシスさん……うん。全部回ってる。
だが、クロのこの言い方にはなんとなく嫌な予感がする。そして、俺以上に嫌な予感がしているであろう存在が、姿を現しつつクロに声をかけた。
「……いや、終わってますよ。六王はもう全部回ったじゃないっすか?」
「いや、まだシャルティアが残ってるから……」
「いやいや!? 私3回目なんすけど! 1回ですら答えるのが億劫なほど興味がない話題に、なにが楽しくて3回も意見を出さなくちゃいけないんすか!? 私の負担が大きすぎません?」
「うん。そうだね。確かに、シャルティアにはいろいろ力になってもらってて、本当に感謝してるよ……それで、なにか意見無いかな?」
「……悪魔っすか、貴女。いまの流れで、よく平然とした顔で断行できましたね!?」
ベビーカステラの悪魔であることは間違いないと思う。しかし、本当にアリスに聞く回数が多い。まぁ、クロもアリスと仲が良いこともあって、おふざけ半分で聞いているのだろうが……なんだかんだで、アリスも律儀だから相手をしちゃうんだよなぁ。
「……はぁ、なんかスープとかに浸けて食べればいいんじゃねぇっすか」
「それはちょっと安直じゃないかな? たしかに、スープやソースを別に用意すれば味を変えることはできるだろうけど、それは果たしてベビーカステラの可能性を広げたって言えるのかな? 外付けの味変に逃げるんじゃなく、根本を変えていこうって気概が欲しいところだね」
「なんで私には厳しいんすか!? さっきまで、割と適当な意見でも大体『なるほど~』とかいってたじゃねぇっすか!!」
たしかにここまでで初めてのダメ出しである。相手がアリスだからいった感じではあるが……。
「……なんとなく、かな?」
「……クロさん、ふと思ったんすけど……最近私にベビーカステラ没収されることが多かったから、この機会に逆襲しようとか思ってません?」
「…………あ~シャルティア、いい意見をありがとう! じゃあ、カイトくん、次に行こうか!」
「図星ですね!! なんかしら理由つけて、まだ、何回かやるつもりだったでしょ、貴女!!」
分かりやすいほどわざとらしく目を逸らして、次に行こうと言い始めたクロにアリスが猛然とツッコミを入れる。
ただ、ふたりとも表情は苦笑を浮かべており、単にじゃれているような印象で、以前にクロが言っていた通り本当に二人は仲が良いのだと伝わって来て、なんだか微笑ましく思えた。
シリアス先輩「確かに仲が良い感じがする。クロが素に近い感じで接してるし……」