同郷の家を訪ねて③
今日は花粉症が辛いので短めです。滅びろ杉。
重信さんにレイさんやフィアさんの過去の話を聞いたあとは、この世界に居る異世界人についての話に移行した。
やはり、共通の話題ともいえるものが盛り上がりやすいのは考えるまでもないことである。
「ほぅ、その光永って子は貴族をやってんのか、それはそれで大変なことだな」
「ええ、忙しそうにはしてましたが、充実してるみたいですよ」
現在は正義くんの話題である。余談ではあるが以前は光永くんと呼んでいたが、結婚式以降は正義くんと呼び方を変えた。
理由としては貴族となったことで、正義くんにはシンフォニア王国より貴族としての家名が与えられており、ファミリーネームが変わっているのだ。
ちなみに与えられた家名はネバーライトであり、現状の彼の正しい名前は正義・M・ネバーライト子爵である。ミドルネームにMと付くのは、元の苗字である光永からで、詳細に書くなら正義・光永・ネバーライト子爵ではあるが発音しにくかったりでMとしているらしい。
まぁ、家名自体は爵位を貰った時点で付いているので、呼び方を変えるのは遅かったともいえるが、丁度いい区切りだったので結婚式から変更した。正義くんと話し合って、互いに名前で呼ぶことにして俺も「正義くん」と呼ぶようになったし、正義くん側も俺を「快人さん」と呼ぶようになった。
「あとは、三雲茜さんという方もいますね」
「ほぅ、その子も過去の勇者役か?」
「そうですよ。三雲商会の会長で世界中を飛び回って商売している方ですね」
「関西弁の面白い人ですよ。前会った時に飴くれました」
俺の言葉に続くように葵ちゃんと陽菜ちゃんが茜さんについて説明する。茜さんはふたりとも会っており、その持ち前の性格で仲良くなっていたし、飴をあげていた。
その際に「そうやねん。こういう子たちでええんよ! 快人みたいなバケモンとちごうて、癒されるわ~」と言っていた。解せぬ……。
「そういえば、茜さんが以前にこっちの世界に移住している異世界人で集まりたい的なことを言ってましたね」
「同郷の集いって感じか? それは面白そうだな。私もその機会にはぜひ参加してぇな」
ここでふと、俺の両親意外にもうひとりの同郷からの移住者ともいえるノインさんの存在が頭に浮かぶが、ノインさんは俺の両親以上に扱いが難しい。
伝説の初代勇者であることもそうだが、魔族に転生していることもあるし、さらに言えば一般的には死んだと思われている存在だ。
……まぁ、実はノインさんは神界との戦いで初代勇者の頃の姿で戦ったことで、多くの人に姿を見られていて、現在はまことしやかに「初代勇者生存説」というのが生まれているらしい。
ただ、その際には甲冑姿ではなくフィーア先生を巡る戦いで見せた大正の女性のような姿で戦っていたので、ノインさんとの因果関係は気付かれていないみたいだった。
ラグナさんやフォルスさんも知らぬ存ぜぬで通しているようなので、俺もこれまで以上にノインさんの情報に関しては注意して取り扱う必要がある。
初代勇者の知名度は高すぎるし、勇者教などといった初代勇者を称える団体とかも居るみたいなので、気付かれると大変なのだろう。
ただ初代勇者生存説に関しても、目撃者が多いわりにゴシップ程度の情報しか出回っていないのは……どこかの情報に強い六王が動いてそうな気がする。
シリアス先輩「ああ、初代勇者の件が大騒ぎになってないのはやっぱりアリスが動いたのか……」
 




