魅惑のリラックスルーム④
今日は時間が無くて少し短めです
至福とも言えるマッサージが終わり、続いては岩盤浴のある部屋に移動した。岩盤浴は初めてだが、室内は少し暗めながら落ち着いた高級感のあるデザインに纏まっており、岩盤浴も同時に複数人ができるようになっているみたいだった。
「……岩盤浴って初めてなんですけど、サウナのように暑くはないんですね」
「そうですねぇ。岩盤浴は~45度程度が主流ですのでぇ、サウナと比べれば温度は低めですぅ。じっくりと~体を芯から温めるためのぉ、温度ですよぉ」
「なるほど、このいい匂いは?」
「今回は疲労回復目的ということもありましてぇ、リラックス効果のあるアロマを焚いていますぅ」
なんともお洒落な空間である。上品でリラックスできる香りだし、これはなんとなく楽しみだ。そんな風に期待しつつ、岩盤プレートのところに移動すると、イルネスさんが大きなタオルのようなものを敷きつつ説明をしてくれる。
「必ずそうしなければならないというわけではありませんがぁ、最初はうつ伏せで寝転ぶのが一般的ですぅ。そうすることでぇ、内臓を温めてデトックス効果が高まりますぅ」
「なるほど……えっと、こんな感じですか?」
「はいぃ。ですがぁ、少しだけ~肩に力が入っていますねぇ」
そう言って優しく微笑みながら、イルネスさんは俺の肩に手を置いて軽く揉み解すような動きをする。
「肩から力を抜いて~リラックスしてくださいねぇ」
「あ、はい」
優しく響くイルネスさんの声と心地よい感触に自然と肩から力が抜けた。そうすると岩盤プレートから伝わってくるじんわりと温かい感触が心地よい。
なんというか、体の中に熱がしみ込んでくるような感じがする。じんわりと全身が温かくて気持ちがいい。サウナとはまた違った感覚である。
「5分から~10分ほど寝転んだあとはぁ、仰向けに寝転んでぇ、15分ほど~ゆっくりと汗をかくのが効果的ですねぇ」
「これは、かなり気持ちいですね。汗もサラッとしているというか、不快感が無くて長くこうしていたい気分です」
「ですがぁ、あまり長時間行うのは逆効果ですぅ。仰向けになって15分ほど経ったら~休憩して水分補給を行いましょうねぇ。隣に~休憩室がありますのでぇ」
「分かりました。確かに汗を結構かきますし、水分補給は大事ですねぇ」
「はいぃ。そして~休憩の後で同じように岩盤浴を行ってぇ、それを3度ほど繰り返すのがいいですねぇ」
分かりやすく説明してくれたおかげで、なんとなく岩盤浴の楽しみ方というのが分かってきた気分である。ただ、まぁ、それはそれとして、ひとりだけこうして寝転がっているのはそれはそれで少し落ち着かないというか……。
「あ~イルネスさん。もしよければ、一緒にいかがですか? その、岩盤プレートはたくさんありますし」
「おやぁ? 誘われてしまいましたかぁ、それでは~せっかくなのでぇ、お言葉に甘えて~お隣に失礼しますねぇ」
俺が誘うとイルネスさんはそこか嬉しそうに微笑んだあとで、俺の隣の岩盤プレートにタオルを敷いてうつ伏せに寝転がる。
なんか、イルネスさんが寝転がっている姿って新鮮な感じがするなぁと視線を向けていると、その視線に気づいたイルネスさんが俺の方を見て優しく微笑んだ。
全てを包み込むかのようなその微笑みは、なんともイルネスさんらしく……岩盤浴の効果かどうかは分からないが、少し体が先ほどまでより熱くなったような気がした。
シリアス先輩「空気感がキツイ。なんか普通に話してるだけでもいちゃついてるみたいな気がする」




