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魅惑のリラックスルーム①



 楽しかったフライングボードの打ち上げも終わり、仲良くなった何人かの人とハミングバードの連絡先を交換したりした。そろそろハミングバードの連絡先も多くなってきて、保存限界に達しそうなので新しいハミングバードの魔法具を購入するのもいいかもしれない。


「楽しかったですね~。また来年も出たいですね~」

「あはは、終わったばかりなのでもう来年の話って、陽菜ちゃんだいぶフライングボードにハマったみたいだね」

「やっぱり団体競技はいいですよ! それに、快人先輩と一緒に遊べるのもいいですね」

「戦闘力とか身体能力とかがあんまり関係ない競技だしね」


 ニコニコと笑顔で告げる陽菜ちゃんの言葉通り、確かにフライングボードはなんだかんだで本当にいい競技だった。

 個人の戦闘力や身体強化魔法込みでの身体能力において、陽菜ちゃんと葵ちゃんのふたりに大きく劣る俺でも問題なく同じレベルで協力し合えるというのは結構貴重である。


「ふふ、でも陽菜ちゃんのいう通り楽しかったです。いっそ、2連覇狙っちゃいますか?」

「まぁ、確かに熱中する人も結構いるってのが分かる競技だったね。それに打ち上げとかで結構仲良くなった人とかもいるし、またこうして打ち上げに出たくもなるね」

「あ~分かります。いい人が多いんですよね! ワイワイ楽しむ競技って感じで、勝負が終わった後も爽やかでよかったです」


 打ち上げも本当に楽しかった。俺もアンさんやグリンさんと結構会話が弾んで盛り上がったし、なんというかあの大き目の村祭りみたいな打ち上げの雰囲気も好きだ。

 葵ちゃんのいう通り、また来年も都合が合えば出れればいいなぁとそう思う程度には結構ハマってしまった。


 俺たち三人は今日のことを楽しく話しつつ帰路についた。








 家に戻って、葵ちゃんと陽菜ちゃんはリリアさんの屋敷に部屋を借りているので玄関で別れる形となって部屋に戻った。

 しかし、楽しかったのは楽しかったが、予選から打ち上げまで考えると丸一日だし結構疲れもある。お風呂に入ってゆっくりしたいところだが、その前に軽く紅茶でも飲みたかったのでイルネスさんに紅茶をお願いした。ちなみにこういう場合に連絡するのはハミングバードが手っ取り早い。


 いちおう映画とか漫画で見る呼び出しのハンドベルみたいなのもあるし、イルネスさんは屋敷のどこに居てもベルの音は聞こえるらしいのだが……来てもらって用件を伝えて~と二度手間になることも多いので、内容をそのまま伝えられるハミングバードは重宝している。


 少しすると規則正しいノックの音が聞こえて、返事をするとカートを押してイルネスさんが入って来た。


「紅茶を~お持ちしましたよぉ」

「ありがとうございます」

「少しぃ、お疲れみたいですねぇ」

「なんだかんだで結構疲れましたね」


 優し気に微笑みながら紅茶を淹れてくれるイルネスさんにお礼を言いつつ、今日のことを簡単に話す。フライングボードの大会に出て優勝したことなどを……。

 イルネスさんは優しく微笑んだままで、時折相槌を打ちながら俺の話を聞いてくれた。相変わらず優しく包容力のある方である。


「……なるほどぉ、それはお疲れでしょうねぇ。でしたら~今日はぁ、『リラックスルーム』をご用意いたしましょうかぁ?」

「……リラックスルーム?」

「脱衣所の隠し扉から入れるリラックスルームですぅ」

「なにそれ知らない」

「おやぁ?」


 完全に初耳である。というか、脱衣所に隠し扉とかあるの? 本当にこの屋敷には、俺の知らない仕掛けがどれだけ存在してるんだ。

 というか、俺が知らなくてイルネスさんが知っているのはなぜ?


「……アリス様からぁ、屋敷の説明を受けた際に~教えていただきましたがぁ?」

「そ、そうなんですか?」

「はいぃ。いままで一度も使われていなかったのは~ご存じなかったからなんですねぇ」

「え、ええ、ちなみにどういう場所なんですか?」

「サウナや~岩盤風呂などがありましてぇ、体の疲れを癒すのが主目的の場所ですねぇ。アリス様のお話ではぁ、異世界のジャグジー? というものもあるらしいですよぉ」

「……完全に初耳です。えっと、すぐ使えるものなんですか?」

「少しだけ~準備の時間を頂きますがぁ、30分あればぁ、ご用意できますよぉ」


 なんか普通によさそうな場所なんだけど……え? 自宅で岩盤浴とかジャグジーとか行けるの? なんで隠してたんだアリス……。


「えっと、じゃあ、お願いしていいですか?」

「かしこまりましたぁ。それではぁ、準備が出来たら~お呼びいたしますねぇ」

「あ、はい」


 とりあえずイルネスさんに準備をお願いしたあと、イルネスさんが部屋から出て言ったタイミングでアリスに尋ねる。


「……アリス、なんでそんな部屋を隠してたんだ?」

「ふむ、これには深い事情があるんです。怒らないで聞いてください」

「うん?」

「……いや~地下の部屋を早く紹介したくて、ついうっかり忘れてた上に、説明した気になってました! つまりシンプルに、忘れてただけです! てへぺろ――あいたっ!?」

「深い事情ゼロじゃねぇか!?」


 普通に説明を忘れてただけだったらしい。そもそも入り口を隠し扉にする意味は? ロマンか言い出しそうだなコイツ……。


シリアス先輩「……岩盤風呂とかそういうのってさ、慣れてる人はともかく素人は教えてくれる人が必要だよね?」

???「パンデモニウムが居るじゃねぇっすか」

シリアス先輩「……やっぱさ……そういう展開になるよね……帰っていい?」

???「駄目」

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― 新着の感想 ―
[一言] イルネスさんアリス呼び⁈ 普通に幻王様じゃないのか・・・
[良い点] そろそろイルネスさんとの関係が進んでもいいんじゃないかぁ!? まぁイルネスさんも自分の気持ちに気付き始めたしきっといい感じになる!はず!
[良い点] シリアス先輩が帰る場所がここな事
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