競技後の打ち上げ②
打ち上げの準備もほぼ完了した。提灯っぽい照明器具や、大きな木のテーブルなど本当に地方の宴会みたいなイメージがして、なんだかいい雰囲気だ。
まぁ、とはいえフライングボードの参加者はそれなりの数だったので、結構人が多いのだが……。
「日も沈んできて、お祭りっぽさがでてきたね」
「ですね。私こういう雰囲気好きですよ。なんていうか、盆踊りみたいな?」
「なんとなくわかる気がするわね」
お祭り好きの陽菜ちゃんは楽し気な様子だし、葵ちゃんもどこかワクワクしているような感じだ。優勝していることもあって、結構上機嫌というのもあるだろう。
そんなことを考えていると、スカーレットブルーの人たちが近づいてきた。
「そろそろ始まりますわよ」
「あっ、そうなんですね。そういえば、気になってたんですが……この打ち上げって、決勝レース参加者のみしか出れないんですか?」
「いえ、決勝出場者は無料で飲み食いできますが、予選参加者も参加費を払えば参加できますわ」
なるほど、決勝出場者と予選参加者の違いは金銭の有無という感じか、参加費がどの程度かはわからないがコレは致し方ないだろう。
予選参加者にまで無料で飲み食い自由にしてしまうと、数百人規模になるわけだしな。
しかし、そうなるとイエローパイプとかも打ち上げに参加してきそうな気もするが、アレだけ目立つ三人の姿は見えない。
まぁ、確実に参加するわけでもないとは思うが……。
「なるほど、予選参加者も参加できるんですね。それなら、イエローパイプの人とかも来そうですね」
どうやら陽菜ちゃんも同じことを思ったようで、イエローパイプの人たちについて口にしていた。するとスカーレットブルーのリーダーらしき女性が、軽く頷いたあとで陽菜ちゃんに声をかける。
「ああ、彼らは来ませんよ。提供側ですから……」
「え? 提供側?」
「ええ、イエローパイプの三人はここが地元でして、意外かもしれませんがあの見た目で料理人なので、決勝で上位入選しない限りは、調理を担当していてこちらにはほぼ来ません」
「そ、そうなんですね」
まさかの事実である。いや、地元の参加者が居るのは驚かない。それなりに賑わっている競技なわけだし、地元の人も参加したりするのは必然だろう。
だが、料理人というのにはちょっと驚いた。アレだけムキムキのマッチョなのに、料理人なのか……見た目とのギャップが凄い。
「ああ、こちらにいらっしゃったんですね。スカーレットブルーの皆さんも……もうすぐ開始ですし、上位入賞者の我々は、中央付近に移動しましょう」
「……え? うん?」
そう言って声をかけてきたのは、灰色の髪に青白い肌でエルフ族とは形の違う三角の耳をしたやや小柄な可愛らしい女性だった。
かなり目を引く容姿ではあるのだが、こんな特徴的な相手のはずだが今日のレースでは見た覚えがない。うん? ということはまさかこの人って……。
「ああ、失礼。私はブラックマスカットのリーダーです」
「あっ、やっぱりそうなんですね」
「ええ、日も沈んでローブの必要が無くなったので、あとローブを被った状態だとキャラとかありますし……」
「なるほど、ちなみに失礼でなければ種族とかお伺いしてもいいですか? 初めて見たので」
やっぱり、ブラックマスカットの人だったみたいだ。レース中はローブを被っていたので見覚えが無いのも必然だ。そして、確かに日の光に弱くてローブを被っていたのだし、日が沈めば問題ないというのも理解できる。
ただ、初めて見る種族だったので失礼かとは思ったが、好奇心に負けて種族を聞いてみた。
「我々はクルーエルと呼ばれる種族で、基本的に地下で生活する種族ですので、あまり街中で見かけたりすることはないでしょうね。そもそも日の光に弱いので、日中では肌を隠してますし」
「なるほど、教えていただいてありがとうございます」
「いえいえ、それでは行きましょう」
相変わらず滅茶苦茶いい人である。クルーエルという種族は言ってみれば地底人のような感じかもしれない。地下を活動拠点としているため、日にまったく焼けていない青白い肌なのだろう。
リーダー以外のブラックマスカットの方々も同じ種族のようで、見た目も身長もほぼ同じ……種族的にやや小柄なのかもしれない。
なんというか、こういう普段は会う機会のない人たちと会えるというのも貴重なものであり、この後の打ち上げでも親睦を深められれば嬉しい。
地下にクルーエルの街などが存在したりするなら、一度行ってみたいとも思った。
シリアス先輩「そういえば、ドラゴンとか有翼族とか、天空花とか標高の高い場所を住みかにしている存在は居たけど、地下に住むキャラってのは初かな?」




