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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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戦争とか始まるの?

 神界にある最高神の神殿。その内の一つ、生命神・ライフの神殿へクロノアが脇に『荷物』を抱えて入ってくる。

「生命神、いるな? 話を……」
「ねぇ、時空神……」
「なんだ?」
「何で、私担がれてるの? てか帰って良い?」
「駄目だ」

 クロノアの脇に抱えられていたフェイトが抗議の声をあげるが、クロノアはそれをバッサリと切り捨て、ライフの元に歩み寄りながら言葉を続ける。

「極めて、重大な任務がある」
「うへぇ、やめてよ……私、任務とか業務とか、そういう単語聞くと熱出るんだよ。あ~めんどぅ」
「ふざけた事を言っていないで真面目に聞け! 生命神も……」
「……すぅ……」
「起きろっ!!」

 フェイトの言葉に苛立ちを感じつつクロノアはライフの方を向くが……当のライフは、眠っていた。
 クロノアの怒声が部屋の中に響くが。それでもライフが起きる気配はない。

「……無理だって、時空神。一度寝た生命神が、簡単に起きる訳ないよ……って事で、帰ろ? 私はこれから、お土産持って、カイちゃんの所に遊びに行くって決めてるんだよ」
「……仕事はどうした?」
「……やってると思ってるの?」
「偉そうにするなっ!?」

 ライフもフェイトもいつも通りの様子であり、クロノアは頭を抱えたくなるのを必死に抑える。
 そして少し考えた後、一度首を振ってフェイトを降ろす。

「まぁ、良い。直ぐにやる気を出すだろう……生命神も話を聞けば起きる」
「……うん? どういう事?」
「言ったであろう、極めて重要な任務だと……良いな、心して聞け。木の月、6日目……シャローヴァナル様が人界に向かわれる」
「「ッ!?」」

 クロノアが真剣な表情で告げた言葉に空気が凍りついた。

「……故に、それぞれに……」
「詳細な情報が必要です! 場所は? 時刻は? 目的は? それによってとれる対策も変わってきます!!」
「う、うむ、そ、そうだな」

 クロノアの言葉通り、ライフは一瞬で目が覚め、物凄い勢いでクロノアに詰め寄る。
 普段は常に半開きの目も開かれ、正しく異常事態と言った雰囲気だった。

「……シャローヴァナル様となると、私達だけじゃ手が足りない。生命神、話が終わったら各神を招集して……その間の穴埋めは、私の能力でする」
「分かりました。迅速に行います……さあ、時空神。話の続きを……」
「貴様等、豹変しすぎであろう」
「そんな事より早く話!」
「ええ、僅かな遅れが致命的になります!」

 明らかに先程までとは様子が変わったフェイトとライフを見て、クロノアが額に青筋を浮かべながら呟くが、フェイトとライフにとってそれは些細な問題であり、全く気にしていない。
 そして両者の熱意に押されるような形で、クロノアは一歩後ずさる。

「それで、時空神。シャローヴァナル様は、一体何の目的で人界へ?」
「……そ、それは……その…………だ」
「え? なんですか?」
「……デートだ」
「「……はい?」」

 クロノアの告げた言葉に、二方は訳が分からないと言いたげな表情を浮かべて硬直する。
 なんとも重い沈黙が周囲に流れ……表情を驚愕に染めたライフが口を開く。

「あ、あの……時空神? 私の聞き間違いだと思うので確認しますが、今、デートと言いましたか?」
「……ああ、言った」
「あ、貴女も、冗談を言う事があるのですね……シャローヴァナル様が、で、デートなど……」
「……冗談であれば、どれだけ良かったか……」
「……」

 驚愕しながら尋ねるライフに対し、クロノアは悲哀すら感じる表情で呟く。
 それによりクロノアの言葉が事実であると理解したのか、ライフが大きく口を開いて固まった。

「……ねぇ、時空神。それってもしかして、カイちゃん?」
「……うむ」
「流石だよ、カイちゃん。シャローヴァナル様とデートとか、前代未聞だよ……」
「……わ、私の、記憶違いでなければ……その方は確か、先日クロノアが救出した?」

 フェイトが告げたカイちゃんという言葉で、快人の事を思い出したライフは、信じられないといった表情のままで尋ね、それにクロノアが頷き、フェイトが何故か頬を微かに染める。

「うむ。シャローヴァナル様が興味を持たれ、祝福を授けた異世界人だ」
「そんでもって、私の『将来の旦那様』だね!」
「……貴様、まだ諦めていなかったのか?」
「あったり前だよ! 私は絶対、カイちゃんに養ってもらうからね! その為に、今日だって……お土産用意したのに……そんな場合じゃ無くなっちゃった」
「土産? ああ、そう言えば、先程もそう言っていたな……何を用意したのだ?」

 絶句して言葉を失ったライフを尻目に、クロノアはフェイトの土産という言葉が気にかかり尋ねる。
 するとフェイトはどこからともなく、小さめの包みを取り出す。

「男は胃袋から掴めっていうじゃん? で、シャルたんにカイちゃんの好みを教えてもらった」
「……仲が良いな貴様と幻王は」
「うん。シャルたんもソウルフレンドだからね。まぁ、ともかく、それでカイちゃんの好物を用意したんだよ!」
「貴様が作ったのか?」
「私が料理なんて面倒なことすると思う?」
「思わんな」

 どうやらフェイトは快人の好物を聞いて用意してきたみたいだが、そこはやはり面倒臭がる事にかけては定評のあるフェイト……勿論自分で作った訳では無かった。

「最高神権限で、豊穣神に作らせ――痛いっ!?」
「職権を乱用するな、馬鹿者!!」

 最高神の権限を使い、下級神に料理を作らせたと告げたフェイトの頭に、クロノアの拳が振り下ろされる。
 そのままクロノアは頭を抱え、そこでようやくライフが硬直から立ち直り……戦慄した表情で呟く。

「……え? シャローヴァナル様の祝福? 運命神の未来の旦那? ……化け物?」
「……否定はせん」
「ちなみに、六王全員と知り合い。死王とも仲が良いよ?」
「……あの、『死神』と?」

 アイシスの名前が出ると、ライフは明らかに嫌そうな表情で呟く。
 フェイトとシャルティアは非常に仲が良く、時折一緒に愚痴を聞きあっているが……ライフとアイシスは犬猿の仲、互いに互いが天敵同士であり、互いに『死神』、『駄肉』と呼び合う程仲が悪い。

「……貴様は貴様で、相変わらず死王と仲が悪いな」
「貴方とアインも似た様なものですがね……」
「……さて、無駄話はここまでだ。木の月、6日目までに、可能な限りの準備を行うぞ! よいな!」
「「了解!!」」
























 木の月、6日目。早めに起床した俺は、手早く朝食を食べ終え、身支度を行う。
 今日は以前約束したシロさんとのデートの日で、シロさんを待たせる訳にもいかないので早めに出ようと思っている。

 しかし、あのシロさんとデート……何かクロの時とは別の意味で、物凄く不安だ。
 何か大変な事になりそうな気もするけど、出来れば気のせいであって欲しい。

 そんな事を考えながら玄関まで移動し、その扉を開いて……すぐ閉じた。
 あれ? 何か今、物凄い光景が広がってた気がする。具体的には、リリアさんの庭にとんでもない数の人がいた様な……
 アレだ。たぶんドアの開け方が悪かったんだ……今度はもっとゆっくり……

「良いな! 今回、我等には一部の油断も許されん!! シャローヴァナル様の歩く道に、埃の一つすら存在してはならん!!」
「……」

 なんで、リリアさんの庭でクロノアさんが演説みたいなことしてるんだ?
 そしてずらっと並ぶ法衣の方々……アレひょっとして、全部神族? なんで?

「良い? 街の周辺には私が結界を張って、無意識に近寄り辛くするけど……絶対じゃ無い。紛れ込むのが居るかもしれないから……何か紛れ込んだら『即殺して』」
「……」

 え? あれ、フェイトさんだよね? 何か滅茶苦茶物騒な事言ってるんだけど!? 紛れ込んだら即殺せ!? え? なにここ、戦場?
 後並んでる方々、本当に神? 殺戮部隊みたいな目してるんだけど!?

「躊躇する事はありません。私が後で生き返らせますから……侵入者の意図や行動は、一切考慮せず、即座に殺してください」
「……」

 え? 何言ってんの? あの緑髪の方……後で生き返らせるから殺して良いって、何その超理論!?
 た、たぶん立ち位置から考えて……あの方が、最後の最高神。生命神なんだと思うけど、何か修羅みたいな顔してるんだけど……

「時空神様! 各員、配置に着きました! 街の商店、屋台、全て我等神族で固めました!!」
「うむ、シンフォニア国王には後で我から礼を伝えておく……皆の者! 準備はすべて整った。今より一切の甘えを捨てろ! 万が一にでも、シャローヴァナル様に不快な思いをさせれば、ここにいる者全員の首を並べても足りぬと思え!!」
「……」

 ちょっと、確認しておきたいんだけど……俺、これからデートに行くんだよね? 紛争地帯に放り投げられるとか、爆心地に投下されるとか、そう言う事じゃないよね?
 ちょっと、待って……一体、どうなってるんだ!?

 拝啓、母さん、父さん――いよいよシロさんとデートする事になり、期待半分不安半分で出かけようとしたんだけど、玄関を開くと何故か神族が集まっていて、物凄く物騒なことばっかり言ってたんだけど。え? 何これ? えっと――戦争とか始まるの?













シロが勇者祭以外で人界へ行く……前代未聞
シロが人間とデートする……前代未聞
クロノアの胃痛……いつもの事
リリアの胃痛……ネタバレ:犯人は快人
+注意+
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