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三人での遊園地デート⑨



 課題として指定があった浜辺での追いかけっこ。ご丁寧に海には夕日が差しており、このシチュエーションで追いかけっこをすればいいみたいだ。

 とりあえず事前にクロには、ある程度距離を保って逃げて、適度なところで捕まってくれと言っておいた。


「ところでカイトくん?」

「うん?」

「言われたとおりにやってるわけだけど……これ、なにが面白いのかな?」

「いや、まぁ、いわゆるいちゃつく手段のうちのひとつってわけで、そもそも指示されてやるようなことでもないからなぁ」


 クロの疑問はもっともだと思う。いや、だって、そもそも浜辺の追いかけっこってなんとなくそんな空気になって、はしゃぎながらいちゃつくみたいなイメージであり、指示されて行うものではない。

 ましてや身体能力の差で、クロは適度なところでわざと捕まるという手加減状態であり、なにが面白いのかという疑問が湧いてもおかしくはない。


「……まぁ、じゃあ、そろそろ終わりにしようか」

「おっと」

「え? なんで避けた?」


 クロの言葉を聞いて、そろそろ終わりにしようと告げて手を伸ばしたのだが、なぜかひょいっという感じに回避されてしまった。


「その捕まえ方は駄目だよ。こう、もっとガバっと来てくれなきゃ」

「……え? 後ろから抱き着けって?」

「他じゃ、捕まえられないんじゃないかなぁ~」

「他だと捕まる気が無いぞコイツ」

「あはは」


 肩を掴もうとしたのがクロ的には駄目らしく、要求してきたのは背後から抱き着くような確保である。足る速度はちゃんと落としてくれているので速度的には問題ないが、流石に少し恥ずかしさはある。

 まぁ、この感じだと他の方法では捕まってくれなさそうなので、覚悟を決めて追いかけて背後からクロを抱きしめる。

 当たり前ではあるがクロは水着であり、俺も水着であるため肌が密着してそのスベスベとした柔らかな感触にドキッとするし、身長差もあって後ろから抱きしめると丁度腕がクロの胸付近に当たるので、その感触もなんとも言えない恥ずかしさがあった。


「えへへ、捕まっちゃった」


 後ろから抱きしめるとクロは嬉しそうな笑顔を浮かべて、その無邪気な仕草に思わずドキッとしてしまう。

 ともあれ、これで浜辺で追いかけっこに関してはクリアであり、続いて座って夕日を見ることになるのだが……。


「さて、カイトくん。ここっ、ここだよ!」

「え?」


 楽し気な笑顔を浮かべたクロが、先に座って自分の腿を叩いており、それが膝枕のサインであることは分かった。分かったのだが……。


「え? 座って、夕日を見るって指示にあったような?」

「ああ、あれなんだけど、術式を解析してみたところ、どっちか片方座ってれば大丈夫みたいだったんだよね」

「あっ、そうなんだ」

「うん。だから、ボクがこうやって座って、カイトくんはボクの腿に寝ころぶ……それでOKだね!」


 あの時に考えるような表情を浮かべていたのは、扉の術式を解析していたのか……それで、扉が開く条件にふたりとも座るということが含まれていないのに気づき、膝枕をすることを思いついたというわけか。それで、いたずらっぽい笑みを浮かべてたのか……。


「条件は分かったとして……なぜ膝枕を?」

「ボクがしたいからだね!」

「ぐっ、そう言われてしまうと反応の余地がない」


 ストレートにクロの希望と言われてしまうと、拒否するのも困難である。いや、もともと拒否する気は無いのだが……それでも普段と比べて、水着の状態での膝枕というのは直接肌の上に寝ころぶわけで、結構な恥ずかしさがあるのだが……。


「……じゃ、じゃあ、失礼して」

「うんうん。どうぞ~」


 覚悟を決めてゆっくりクロの腿に頭を降ろす。海で泳いだりしたわけでは無いので、体が濡れていたりということはない。しかし、だからこそクロの体の温もりをハッキリと感じる。

 寝転がった瞬間に感じる柔らかな感触と、心地よい匂い。視線を上げれば楽しそうな表情を浮かべている水着姿のクロ……控えめに言っても最高ではあるのだが、やはり気恥しさはあるもので顔が熱くなるのを感じた。


「……なんというか、クロは楽しそうだね」

「うん。こうやってカイトくんを膝枕するのって好きだしね。なんかほら、一緒に居るんだ~って感じしない?」

「ま、まぁ、確かに……傍に居るって感覚はあるかな?」

「ね? ……そういえばさ、時間の指定も無かったよね?」

「え? ああ、確かになかったけど……」

「じゃ、もうしばらくこうしていたいな……駄目?」

「いや、駄目じゃない」


 そんな風に言われて駄目などを返せるわけもない。俺の言葉を聞いたクロは、嬉しそうに笑ったあとで俺の頭を軽く撫で、そのまま身を屈めてきた。

 クロの意図はすぐに分かり、近づいてくるクロに身を任せる様に目を閉じると……直後に唇に柔らかな温もりを感じた。





シリアス先輩「かっ……」

マキナ「あっ、砂糖化した……削って、混ぜて……よし、割り下完成! さっ、すき焼き作ろ」

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― 新着の感想 ―
本編じゃなくて、後書きですき焼き作りが進行してる。先輩入りすき焼き?
[良い点] シリアスパイセンは可食 [気になる点] シリアスパイセンの味
[一言] 他作品の石化なんかは、体の一部が崩れるだけで相当な絶望感があるけど、ことシリアス先輩においては何の心配もいらないの草。
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