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三人での遊園地デート④



 アリスと共にトリックハウスを進んでいく。やはり基本的にはシロさんと行ったトリックハウスが元になっているみたいで、肉体的な接触が多い課題などは撤廃されている感じだった。

 その代わりに、アリスらしいコテコテのカップル的な課題が加えられていた。中には相合傘を行うなどというものもあり、思春期の学生かと思うような微笑ましさもあった。


 そんな課題をこなしつつ進んできたトリックハウスだが、シロさんの時と同じぐらいの規模と考えるなら、あとひとつかふたつで終わりそうな印象だ。


「シロさんの時と同じ感じだと、そろそろ出口かな?」

「あと2部屋っすね」

「ふむ」

「……カイトさん、提案なんすけど……そこに非常口があるのでそこから出ませんか?」

「お前、残りの2部屋になんの課題を用意したんだ」

「…………最後の方ぐらい、ちょっとはっちゃけてもいいかなぁって……」


 どうやら最後の2部屋には、アリスの願望がかなり詰め込まれたカップル的な行動が用意されているみたいだ。既に顔が赤くなっており、先ほども非常口から逃げようとしていたことを考慮すると、かなり恥ずかしいものなのだろうか?

 そう思いつつ部屋に辿り着くと、大きな字で課題が書かれており、その下に絵のようなものもあった。


『右の壁にある円の中で、下の図のポーズを最低5分とること』


 そして図には、壁を背に立つ彼女の対し彼氏が手を伸ばし迫るような絵が描かれていた。


「……これ、いわゆる『壁ドン』だよな? したかったのか?」

「……その……わりと……憧れのシチュエーションだったといいますか……本当に、恥ずかしくて泣きそうなんすけど……なんすかこの羞恥プレイ」

「完全に自爆なんだけどなぁ」


 これはまたなんともコテコテのシチュエーションである。本当にアリスらしいというか、恋愛漫画とか小説から仕入れた知識って感じがする。

 けど、まぁ、考えてみれば俺も壁ドンとかはやったことがない。いや、創作物はともかくとして、普通はこういうシチュエーションになることなんてないしな。


「……これドンッて強めにしたほうがいいの?」

「あ、いえ、普通に手を付いて姿勢だけで大丈夫です」

「じゃあ、アリスそこに立って……よし、行くぞ」

「は、はい!」

「……あっ、待った。せっかくだし仮面外そう」

「なんでっすか? 私を恥ずかしさで殺す気ですか? あっ、ちょっ――あわわわ」


 どうせなら仮面を外した状態がいいと思って、サッとアリスの仮面を外す。するとアリスはわかりやすいほどに顔を真っ赤にするが……仮面を取り返そうとしたりはしなかった。

 その反応に思わず苦笑しつつ、要望通りに壁に片手をついてアリスを見下ろす。小柄なこともあってか、必然的にアリスはこちらを見上げる……上目遣いの形になるわけだが、う~ん、可愛い。

 いや、普段自分でよくふざけて超絶美少女とか言ってるけど、実際アリスは紛れもない美少女であり、こうして近くで素顔を見るとこちらもドキッとする。


「……こ、これは……想像以上にくるというか……凄く恥ずかし――え? あ、あの、カイトさん? なんで、私の顎に手を? あの、顎クイは指示に入ってないんすけど……」

「いや、なんか可愛くてつい……せっかくだし」

「ちょ、ちょちょ、この流れ完全に……ま、まだ心の準備がっ……」


 あんまりにも可愛らしかったので、アリスの顎に手を当てて少し顔を上げさせて顔を近づける。俺がキスをしようとしているのを察してアリスは慌てた様子を浮かべていたが、それでもやはり逃げたりすることは無く俺の顔が近づくと目を閉じてキスを受け入れた。

 そのまましばしの時間唇を重ねてから、ゆっくりと顔を離すとアリスはりんごの様に赤い顔で抗議してきた。


「……酷い不意打ちですよ。滅茶苦茶恥ずかしかったじゃないっすか!?」

「でも、抵抗とかはしなかったよな」

「舐めないでくださいよ! 恋愛クソ雑魚の私が、恋人にキメ顔で迫られて逃げれるわけないでしょうが!!」

「いや、だから、堂々と宣言するようなことじゃないんだけどなぁ‥‥…」

「あとこれ、フライングですからね!!」

「う、うん?」


 照れているアリスの姿はとても微笑ましく、温かい気持ちになったが……最後の言葉の意味だけは分からなかった。

 しかし、果たしてアリスが告げた言葉の意味は、その後に辿り着いた最後の部屋で分かることになった。


『恋人同士の熱いキスを行うこと』


 でかでかと書かれた課題を見て、少し前のアリスの台詞に完全に合点がいった。


「……なるほど、確かにフライングだった」

「でしょ?」

「というか、お前……はっちゃけた結果がこの課題? 何度もしてるだろ、キス」

「何度しようが恥ずかしいものは恥ずかしいんですよ!! 言っときますけどね、毎回キスするときに思考加速させてそこそこの時間かけて覚悟決めてるんすからね!!」

「え? そんなことしてたのか……いや、まぁ、アリスらしいか」


 これは、海辺のコテージに行くのはまだまだ先になりそうだ……強引に連れて行ったらどんな反応をするのかも気になるが……まぁ、その辺は追々考えよう。




シリアス先輩(砂糖化)「…………」

マキナ「えいっ」

シリアス先輩「あ、あれ? 治った?」

マキナ「うん。まだ、この後クロムエイナとの話があるのにアレじゃ見えないだろうと思って元に戻したよ!」

シリアス先輩「……慈悲は……慈悲はないんですか?」

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― 新着の感想 ―
[一言] 溜まったので読み始め〜 アリスっていつまでも初心だのぉ…… これで、カイトの自室ではクロと致してるときは屋根で、その他と致してるときはその近辺で待機してるんだからそろそろ若干耐性あっても良さ…
[一言] お母さんマジ天使!
2023/02/06 18:44 退会済み
管理
[一言] てっきりセッ(ノクターン)しないと出られない部屋かと思った…
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