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魅惑のすき焼き②



 すき焼きの材料と考えて最初に思いつくのは牛肉だろう。他には長ネギやシイタケなどの野菜類、しらたきや豆腐、後は春菊や卵かな?

 とりあえず、この中で最重要なのはやはり牛肉だろうということで、最初は牛肉を手に入れることにした。


「牛肉ならボクのオススメは、シンフォニア王国西部の交易都市にある肉屋かな。質もいいし値段も手頃だからね」

「ふむふむ……てっきり、なんか凄い化け物みたいな牛を狩りに行くような流れかと思った」

「もちろんそういう手もあるよ。肉の美味しい牛型の魔物とかもいるしね。けど、それは今回の趣旨に合わないと思うんだよね。今回は、別に世界一美味しいすき焼きを作ろうとかそういうわけじゃないしね」

「まぁ、確かに……仮にそんな凄い肉を手に入れても、持て余すな。今回は自分で調理するつもりだし……」

「だから、基本的には店で買えるものがいいと思うよ」


 確かにクロの言う通り、超高級すき焼きを作りたいわけでは無い。仮に作りたいなら、それに関してはアリスに白金貨でも渡したほうが手っ取り早いと思う。

 俺が自分で作ると考えると、むしろ調理しやすい食材がいいだろう。その辺も考えて店を選んでくれるあたり、クロは本当に頼りになる。


 そして、俺たちはクロの転移魔法によって交易都市に移動して、目的の肉屋に辿り着いた。そこは本当にザ・肉屋という感じで、スーパーマーケットとかとは違う、ショーケースに並べられた肉を選んで量り売りしてもらうような感じの店だった。


「う~ん、どの部位がいいんだろう?」

「ボクもそこまで詳しくは……あっ、そうだ。シャルティア~教えて」

「すき焼きでしたら、オススメなのはモモ肉、肩肉、肩ロース、リブロースあたりですね」


 クロが呼びかけるとアリスが姿を現して説明をしてくれる。こういう時に料理が得意なアリスが居てくれるのは非常に心強い。


「まずモモ肉は赤身ですからヘルシーですが、硬くなりやすいので少し調理が難しいですね。肩肉は触感と旨味が両立したいい部位ですね。ただし、味がやや濃いのと霜は少なめです。肩ロースは蕩ける霜降りで、風味が抜群ですね。高級なすき焼きには主にこの肩ロースが使われることが多いです。リブロースは霜降り特化で、蕩けるような柔らかさです……まぁ、いろいろ言いましたが、個人的には肩ロースあたりが無難でいいかと思いますよ」

「なるほど、参考になった。ありがとう」

「私の分も用意してくださいよね?」

「……了解」


 非常に分かりやすいアドバイスだったし、すき焼きなら数人で囲むのもいいだろうし問題ない。ただ、アリスが食べるとなると相当の量が必要である。


「……むしろ、アリスが食べるなら4種類の肉全部買ってもいいと思うんだけど、クロはどう思う?」

「それがいいかもね。ボクたちも食べ比べが出来ていいし、シャルティアは一杯食べられて嬉しいしで、どちらにも得だしね」

「じゃあ、さっきアリスが教えてくれた肉は全部買うか……」


 クロの言う通り、全種類買うというのは俺たちにも食べ比べができるという得がある。話を聞く限り、それぞれに良さがあるみたいだし、それを味わえるのはいい。


「というか、シャルティアも別に引っ込まずに一緒に行こうよ。いろいろアドバイスもらえたらありがたいし」

「う~ん、まぁ、クロさんがそれでいいなら……」

「実際俺もクロもすき焼きに関してはザックリとしか知らないし、なんかこれは買った方がいいってのはあるか?」


 クロの呼びかけを聞いてアリスが再び姿を現す。そりゃ、最終的に一緒に鍋を囲むのであればこの段階から手伝ってもらったほうがいい。

 俺もクロも料理はそこまで得意というわけでは無いので、アリスの参戦はむしろ歓迎である。


「そうっすね。ザラメは買っといたほうがいいっすよ」

「ザラメ? 綿菓子とかの?」

「ええ、茶色い中双糖と呼ばれる種類のものです。これは製作の仮定で加熱によって発生したカラメルで色が付いているんですが、そのカラメルが割りしたを作る際にいいコクを生みます。すき焼きは割りしたが味の決め手ですからね」

「なるほど、参考になる」


 ザラメか、それはたしかに意図して買わないとマジックボックスの中には無い。こういう知識を教えてもらえるのもなんというか、非常に頼りになる存在である。


「それで、次はなにを買うんすか?」

「野菜かなぁ、ボクはアルクレシア帝国の野菜がいいと思うんだけど……」

「いいですね。基本農作物といえばシンフォニア王国ですが、アルクレシア辺境の都市にある野菜だけは別格ですからね。人界に絞るなら、ですが……」

「今回は人界で集めれる材料でいいんじゃないかな? それこそ、魔界とかも含めるとラズの畑の野菜でいいじゃんってなるしね」

「まぁ、それはたしかに……」


 クロとアリスは元々仲がいいので、いい感じに話は進んでおり、俺が口を挟む余裕はない。まぁ、買う場所は詳しいふたりに任せて、俺は調理を頑張ろう……なんか、会話の雰囲気的にアリスは調理する気なさそうだし……。





シリアス先輩「効率でいえば、アリスが調理するのが一番だよな?」

???「浅いですね。効率だけに縛られるべきではないですよ」

シリアス先輩「……快人の手料理食べたいだけじゃねぇの?」

???「…………」

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― 新着の感想 ―
[一言] 両手に花デート
[一言] 更新お疲れ様です! 3話続けて読みました! 最初はアメルさんの回でしたがテンションが上がるにつれて反応も可愛い! 快人さんがダンジョンの内容で凄いことになってるな そして快人さん達はすき焼き…
[一言] 多分クロが呼び掛けなくても、店員側で然り気無い(さりげある)食材のサポートしたんだろうなぁ
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