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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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幻王って暇なんじゃないだろうか?

本日は二話更新です。これは二話目なのでご注意を。
 勇者祭以外の場で人界を訪れる事は殆ど無い最高神、それが三体全て揃うというのは正しく異常事態。
 膨大な魔力が空の雲を割り、大地を震わせる中……生命神・ライフが静かに地面に触れる。

「……数多の生命よ。私の瞳に、私の耳に……」

 神界の最高神は、創造神・シャローヴァナルより、それぞれ一つずつ他を超越した能力を与えられている。
 ライフの持つ生命を司る力は、世界を見通す叡智。
 人間、動物、昆虫、草木、大地……ライフは、この世界に存在するあらゆる生命体より情報を集める事が出来る。

 雪崩の様に流れ込んでくる情報の奔流の中から、ライフは連れ去られた快人の行方を捜す。
 鳥一羽、虫一匹でも快人を見ていれば、その行方を探る事は可能……しかし、その桁外れの量の情報の中から、快人のみを探し出すには時間がかかってしまう。

 だが、それを補う力を持つ神が存在する。
 運命神・フェイト……彼女に与えられた能力は、運命を確定させる権限。
 彼女は未来に起こり得る可能性を、絶対の運命として確定させる事が出来る。

「……生命神は、カイちゃんを『早急に発見出来る』」
「……ッ!? 見つけました。時空神……情報を伝達します」
「うむ」

 フェイトが運命を確定させた事により、ライフは一瞬で快人の行方を発見し、クロノアに情報を伝達させる。

「……クロノア様……」
「案ずるな、リリア……この世界に、シャローヴァナル様を除き、我より速い者など……存在せん!」

 その言葉と共に、クロノアの姿が消える。
 時空神クロノアに与えられているのは、強大な力……時を司り、時間を自在に操れるクロノアのスピードは、他を隔絶する。
 クロノアの姿が消えた、そうリリア達が認識した時には……既に彼女は快人の元へ辿り着いている。





















 アリスによって倒されたローブの人物達は、別に死んでいるという訳では無いみたいで、アリスがどこからともなく取り出したロープで縛ってしまった。

「……コイツ等は、どうする?」
「別に放っておけば良いんじゃないすか? 後で適当に騎士団辺りに連絡しとけばいいで――へ?」
「……え?」

 直ぐに目覚める事はないみたいで、アリスは縛ったままここに放置して行こうと提案し、俺もそれに頷きかけた次の瞬間……何故かアリスが、遠く離れた場所に居た。
 いや、違う。ローブ姿の人物達はアリスのすぐ近くにいるってことは、俺の方が移動した?

「……大事ないな、ミヤマ」
「クロノアさん!?」
「へ? と、時の女神様!?」

 聞き覚えのある声が聞こえ、ようやく今自分が抱えられている事を理解した。
 まさか最高神であるクロノアさんが現れるとは予想していなかった。俺は勿論の事、その突然の出現にアリスも驚愕した様な声をあげる。

「……ど、どうして、ここに?」
「リリアより事情を聞き、急行した。まったく、心配をさせよって……」
「……あ、あの、えっと……」
「……貴様がミヤマを誘拐した者だな? 覚悟は、出来ているだろうな……」
「ひぃっ!?」

 クロノアさんが静かに呟いて拳を握ると、凄まじい魔力が放たれ石造りの部屋に亀裂が走る。
 圧倒的な実力者であるクロノアさんの怒りに触れ、アリスはまるで蛇に睨まれた蛙の様に怯え、深く後ずさる。

「ま、待ってください! クロノアさん!?」
「ミヤマ!?」
「その、何て言うか……アリスは、えっと、俺を助けてくれたんです!」
「……なに?」

 今にもアリスに殴りかかりそうだったクロノアさんを慌てて止める。
 俺の言葉を聞いて怪訝そうな表情を浮かべるクロノアさんに対し、俺は必死にアリスの弁明をした。

 俺もかなり慌てていたせいか、上手く説明できた気はしないが……しばらく説明をすると、クロノアさんは納得した様に頷いて握っていた拳を解く。

「……成程な。概ね理解はした。そう言う事であれば、ここで貴様を叩き潰す訳にも行かぬか……」
「ひゃ、ひゃい!?」
「……まぁ、良い。その誘拐犯共は我の方で手を打とう。リリアが、心配している……戻るぞ」
「あ、はい」
「無論、貴様も来い」
「……わ、分かりました」

 流石は出来るイケメン女神であるクロノアさん、テキパキと話を進め、アリスにも有無を言わさず了承させてしまう……てか、クロノアさん? いつまで俺抱えてるんですか? クロノアさん背が高いので、この体勢結構怖いんですけど?
 そんな俺の心の声を知ってか知らずか、クロノアさんは素早くアリスの事も抱え、一瞬で景色が変わる。

 転移魔法の様に景色が切り替わる様な感じでは無く、クロノアさんの移動はそれこそ気が付いたら別の場所にいる感じだ。
 場所は見慣れたリリアさんの屋敷の庭で、そこにはリリアさんを初め多くの方が集まっていた。

「カイトさん!? 大丈夫ですか!? 怪我は? 気分が悪いとか、どこが痛むとか!?」
「へ? あ、いや……」
「落ち着けリリア。そのように捲し立てては、ミヤマも答えれんだろう」
「あ、は、はい……すみません」
「ミヤマに大事は無い」
「そうですか……良かったです。本当に……」

 俺の姿を見ると、リリアさんは文字通り血相を変えて俺に怪我が無いかを確認し、クロノアさんの言葉を聞いて心底ホッとした様子で息を吐く。
 本当に俺の事を心配してくれていたみたいで、少し不謹慎かもしれないが嬉しかった。
 と言うか、フェイトさんまで居る……うん? あの緑の髪の方は誰だろう? なんか、立ったまま寝てるんだけど……

「……あ、あの~」
「え? っ!? 貴女は!!」
「ひえっ!? ちょ、ちょっと待ってください!? カイトさん、ヘルプ!? ヘルプウゥゥゥ!?」

 恐る恐ると言った感じでアリスが口を開くと、リリアさんは急に鋭い表情に変わり、剣を抜く。
 それはリリアさんだけでなく、ルナマリアさんやジークさんも同様で、アリスに対し鋭い殺気を込めた視線を向けていた。

「あ、あの……状況が見えないんですけど……」
「ああ、どうもリリア達は、そこの奇天烈な輩と一戦交えたらしい」

 奇天烈な輩って……いや、まぁ実際その通りではあるけど……
 どうやらもう一度説明をしなければならないみたいで、俺は一瞬アリスの事だから死にはしないだろうし、放っておこうかとも思ったが……結局リリアさん達にも説明をした。

 しばらく警戒していたリリアさん達も、俺の説明を聞いて納得してくれたみたいで、それぞれ武器を納める。
 それで終わりでも良かったのだが、流石にこのままではいくら納得したとはいえ、アリスに対する認識が悪くなってしまう。
 俺を助けてくれたわけではあるが、得体のしれない存在である事と、一戦交えてる事もあってか感応魔法で感じる皆の感情からは警戒が消えていない。

「……アリス、前に一つ俺の言う事を聞いてくれるって言ったの覚えてるか?」
「へ? ええ、覚えてますけど?」
「……なら、調べて欲しい事がある」
「調べて欲しい事、ですか?」

 そこで俺は昨日幻王から渡された資料の事を思い出した。
 この資料にはリリアさんの師団を罠にはめた存在の情報が載っているらしく、裏の人間に見せれば証拠を掴めるかもしれないと言っていた。
 アリスは裏の便利屋と自称していたし、今までの感じから情報収集にも長けていそうな気がするし、ある意味適任と言える。

「……この資料にある人物を調べて欲しいんだ。4年前にあった騎士団の事件に関わってるらしいんだけど……」
「「「ッ!?」」」

 俺が資料を出しながら告げた言葉を聞き、リリアさん、ルナマリアさん、ジークさんの三人が大きく目を見開く。

「か、カイトさん!? そ、それは……一体……」
「すみません。リリアさん、本当は昨日話すつもりだったんですけど、バタバタして忘れてました……この資料は、幻王から渡されたもので、4年前の騎士団の事件に関わりのある人物が記されているらしいんです」
「なっ!?」
「……ほぅ、確かに幻王であれば、情報を握っていてもおかしくはないな……だが、調べろという事は、それ単体では意味を成さないという事か?」
「ええ、幻王が言うにはこれだけでは証拠にはならないそうです。ただ、裏の人間に調べてもらえば、何か分かるかもと……」

 クロノアさんも幻王の情報把握能力は高く評価しているみたいで、幻王が用意したのであれば間違いないだろうといった感じだった。

「……それなら、我からも頼みたいところだ。リリアより事情は聞いているが、我は人界の問題に関わる事は、シャローヴァナル様より制限されており、調べる事が出来ん……頼めるか? 仮面の女」
「へ? あ、はい。勿論です」
「ありがとう、アリス。それじゃあ、この資料――「その必要はない」――っ!?」

 これで上手くアリスが調べてくれれば、リリアさん達側からの印象も回復するだろうと思い、俺は手に持っていた資料をアリスに渡そうとした。
 しかしそのタイミングで、聞き覚えのある甲高い声が聞こえて来た。

「貴方が望むなら、四つ目の試練を乗り越えた褒美として、私が証拠を用意しても良い」
「……幻王……」
「えぇぇ!? こ、今度は幻王様? カイトさんの知り合いって、本当にどうなってるんですか……」

 周囲の視線を集めながら、悠然と黒いローブの存在……幻王が屋敷の庭に降り立つ。
 四つ目の試練をクリアしたと、腹立たしい台詞を告げながら……

 拝啓、母さん、父さん――とりあえず誘拐の件もこれで一段落し、アリスに頼めばリリアさんの欲しがっている情報も掴めるかと、そう思ったんだけど……そのタイミングで、またしても現れる幻王。っていうか――幻王って暇なんじゃないだろうか?



















作中ない時間では……昨日会った! 今日も会いに来た!! 幻王まさかの通い妻疑惑。
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