表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1377/2413

メイドオリンピア本戦⑥



 メイドオリンピア本戦トーナメントにて、フラウさんは……まぁ、予想通りスーパーメイドのエミリーさんに敗北した。

 体のスーパーメイドたるスタミナ云々は関係なく、対戦内容は食材の目利きであり、希少でなかなか取り扱わない食材を10種目利きする勝負において完敗だったみたいだ。


 そして快進撃だったルナさんも残念ながら、準々決勝でベアトリーチェさんに敗れることとなった。こちらは修繕勝負で、同じように破れているエプロンドレスをどちらが先に修復できるかというスピードを競うもので、もろに技術差が出た感じで大差で負けてしまっていた。


「ルナもフラウさんもお疲れさまでした」

「おふたりとも、残念でしたね」

「さすがに、スーパーメイド相手は厳しかったか?」


 観客席に戻ってきたふたりに声をかけると、ふたりはそれほど落ち込んだ感じではなく苦笑を浮かべた。フラウさんの方は少し悔しそうではあったが……。


「いや、私としては満足過ぎる結果でした。私はまだメイド歴も浅いので、ベスト8入りが確定しているだけでも本当に嬉しいです」

「ルナマリアさんは、まだこの後4位以下の順位決定戦がありますね。上手くいけば最高5位まで狙えますね……対して私は3期連続で2回戦負けですよ……3回戦が遠いです」

「さすがに相手が悪かったですね。私の方は組み合わせの運もありましたし」

「ただ、やはり地力もルナマリアさんはかなり高いかと……私も、あのイルネス様という方の指導を賜りたいものですよ」


 メイド歴がかなり長い……3期連続と言っているので、最低でも12年以上はメイドをしているフラウさんに対し、ルナさんのメイド歴は6年ほど……半分以下である。

 元々ルナさん自体が器用というのもあるだろうが、イルネスさんの指導力が高いのも事実だろう。なにせ、最初は酷かったイータやシータも、いつの間にか普通どころか優秀と言っていいレベルになっていたので、よくよく考えれば相当凄いと思う。


 その後行われた4位以下決定戦では、ルナさんは頑張って第6位という初参加としては快挙と言っていい順位を獲得した。


『今回初参加のルナマリア選手は非常に素晴らしかったですね。新しい有力選手が出てくるのは喜ばしいことです』

『ええ、メイド歴10年に満たない彼女は、まだメイドとして開花を待つつぼみと言えます。メイドリックオーラの方向性も完全には固まっていない。これがしっかりと固まり、メイドとして一歩上のステージに上ったなら、メイド界に吹く新たな風となるかもしれませんね』


 アインさんもルナさんを大絶賛である。ただ、メイド界に吹く新たな風というのは、誉め言葉で言ってるんだろうし、会場の多くの者も賞賛として受け取っているだろう。この場においては、メイド界の新風とかなんか嫌だなと思ってる俺の方がおかしいのである……世界の違いを感じる。

 ともかくルナさんとフラウさんの戦いはひとまず終わり、ふたりを加えて5人でこの先を観戦することになる。


 そして同時に、会場のボルテージがさらに上がったように感じたのは錯覚ではないだろう。なにせこの先、準決勝に残っているのは四人……全員がスーパーメイドであり、ここから先はスーパーメイド同士の戦いとなる。


「これは燃えてきますね! スーパーメイドが四人集合しているのが貴重ですし、スーパーメイド四人の実力はかなり拮抗しているので、熱い戦いが期待できます」

「準決勝の組み合わせとして、ベアトリーチェ様とカミリア様、アレキサンドラ様とエミリー様が戦うことになりますね」

「私としては、カミリア様を応援したいですね。ファンなので……」

「う~ん、私はやはり先輩ということもあってベアトリーチェ様を応援したいところです」


 俺やリリアさんや茜さんも、それなりに楽しんではいるが……やはりメイドであるふたりの興奮具合はかなり違う。

 そして先ほどまでは俺たちへの解説は交代で行いつつ、ひとりは会場に行っていたのだが……両方とも敗退したので、ここから先は観客として楽しむみたいで、かなり盛り上がっていた。


「茜さんは誰が勝つと思いますか? 私は拮抗した実力同士がぶつかり合うなら、スタミナの多さで疲労をものともしないエミリーさんが強い気がします」

「ウチですか? う~ん、ウチとしては……アレキサンドラさんが一番メイド力が高いんやったら、順当にアレキサンドラさんやないかなぁと思いますが……」


 リリアさんの言葉に、茜さんが考えるような表情を浮かべて答える。面白いもので、偶然にも四人の予想がバラける形になった。

 フラウさんはカミリアさん、ルナさんはベアトリーチェさん、リリアさんはエミリーさん、茜さんはアレキサンドラさんという予想だ。


「カイトさんはどう思います?」

「俺ですか? う~ん、根拠は無いですが、なんとなくベアトリーチェさんが勝ちそうな気がしますね」

「……なんか、お前が言うとマジで当たりそうな気がするな」

「いや、本当に適当に言っただけですよ?」


 別に未来を予知したとかでもなんでもなく、ただ単になんとなくの予想であるが……そういえば、モンスターレースでもなんとなくの予想は一度も外れなかった気が……。




シリアス先輩「なるほど、ベアトリーチェが優勝するのか」

???「ベアトリーチェさんの優勝がほぼ確定っすかね。なにせカイトさんが予想しちゃったので……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 次回予告並みの信頼
[一言] 更新お疲れ様です!連続で読みました! 4人のスーパーメイドが競う所まで来ましたがみんな誰が勝つのかと予想したなか快人さんがベアトリーチェさんを予想する…もし賭け事になっていたらアリスさんが全…
[良い点] メイドオリンピアには賭け事はないのかな? まぁ神聖な大会だしないか()
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ