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メイドオリンピア本戦④



 引き続き熱い? 戦いが繰り広げられるメイドオリンピアだが……なんと、ルナさんが2回戦も見事勝ち抜いてベスト8入りを決めてしまった。

 というのも、1回戦と違って相手は組み合わせに恵まれて上がってきた感じで、ルナさんよりメイド力も低く、総合的にルナさんの方が上回っており、順当に勝利した感じだ。


「ルナさん、凄いじゃないですか! ベスト8ですよ。ベスト8に入ると、たしか次の大会も予選が免除なんですよね?」

「いい調子ですね。ルナが活躍していて、私も自分のことのように嬉しいです」


 メイドオリンピアは訳が分からない部分も多いが、ルナさんが活躍しているのは素直に嬉しく、客席に戻ってきた際に、リリアさんと共にお祝いの言葉を伝えた。

 ルナさんは少し照れた様子で頭をかきつつ、軽く苦笑しながら口を開く。


「ありがとうございます。私は運が良かったですね。今回は予選もバトルロイヤルだったので、私が勝ち抜きやすかったですし」

「……今回は? 予選って、毎回内容が違うんですか?」

「それはもちろん。予選の内容も本選進出人数も違います。バトルロイヤルの他にも、メイド学のペーパーテストの回もありましたし、減点式でメイドの基本動作を審査するパターンなどもあります。本戦トーナメントの対決内容も、人数が多いときは早めに決着が着くものが多くなりますね。今年は30人以下なので、私の菓子作りみたいに、時間がかかる勝負もありますが……」

「なるほど……」


 まぁ、言われてみれば確かに毎回バトルロイヤルであれば、技術は高くとも戦闘が不得意なメイドとかは本戦に出るチャンスが無くなるわけだし、その辺は開催ごとに変わっているんだろう。

 ルナさんの口ぶりだと本戦の対決内容ももっとたくさん種類があるみたいで、予習とか対策がしにくく、自力で競うようになっている感じがする。


「メイドオリンピアの競技は多岐に渡るので、本当にあらゆるメイドとしての技能が必要なのです。なので、カミリア様のように、あらゆる分野で安定して高い能力を持つ方が有利とも言えますね」

「なるほどな。もちろんある程度のレベルはいるんやろうが、得手不得手があるより万能寄りの方がトーナメントでは強いってわけか……」


 ルナさんの説明をフラウさんが補足して、茜さんも納得した様子で頷く。カミリアさんが最多優勝というのも、そういった万能さ故なのかもしれない。

 けど……カミリアさんもメイド学とか分かるってことなのかな? なんか、アインさんに言われて断り切れずに勉強してる気がする。


「……ただ、私の快進撃も次で終わりっぽいですが……」

「さすがに、ベアトリーチェ相手は厳しいですか?」

「そりゃ、いずれならともかく……いまはまだ勝ち目が無いですよ」


 そう2回戦を勝ったルナさんは、次の準々決勝にてベアトリーチェさんと当たる。ルナさんにとっては、同じくイルネスさんの指導を受けた姉弟子のような存在で、メイドとしてのあらゆる技能で負けているらしい。


「……あれ? 戦闘でも勝ち目が無いんですか?」

「ベアトリーチェ様は男爵級高位魔族なので、いまの私では地力がまったく足りませんね」

「ちなみに、他のスーパーメイドに関しても、アレキサンドラ様も爵位級相当と言われていますし、エミリー様はかつてはラグナ陛下のライバルとも言われた方で、子爵級高位魔族です。そして、カミリア様は言わずもがなですね」


 戦闘なら元最上位冒険者のルナさんなら行けるのではと思ったが、さすがスーパーメイドは戦闘力もスーパーなようだった。

 ルナさんとフラウさんの説明に頷きつつも、ふと気になった単語があったので尋ねてみることにした。


「……なんで、アレキサンドラさんだけ、爵位級『相当』なんですか?」

「アレキサンドラ様は、本人曰く魔族とのハーフらしいんですが……アレキサンドラ様がメイドとなった当時のアルクレシア帝国の皇族に、魔族が居たという情報がなく、更には皇族を抜ける際に己に関する情報を全て抹消してしまっており、謎の多い方なのですよ。ただ、皇族の血筋であることだけは、当時の皇帝などの発言から間違いはないらしいのですが……」


 俺の質問にフラウさんは自信なさげな様子で答える。なるほど、自己申告だけで種族がいまいち不明なままなので、相当という言い方をしたのか、確かに仮に魔族とのハーフなら人族と魔族、どちらにカウントするかも悩むところではある。

 そんなことを考えていると、ルナさんがふと思い出したように呟いた。


「……そういえば、アレキサンドラ様に関しては、実はアルクレシア帝国を建国した初代皇帝なのではないかという噂もありましたね」

「そうなんですか?」

「ええ、アルクレシア帝国の首都の名前が初代皇帝の名前から付けられたという説があるのと、アルクレシア帝国は800年前に大規模な内乱があって、その際に初代から3代目までの資料等が紛失していて、初代から3代目までの皇帝の情報が不明となっているので、そんな噂が流れたみたいですね」

「へぇ……」


 そういえば、アルクレシア帝国は人界の三国の中でも一番歴史が古い国と聞くし、そういう様々な説がまことしやかに囁かれているのだろう。




シリアス先輩「……で、実際のところはどうなの? 情報に詳しい奴」

???「初代皇帝本人ですよ。しかも、ハーフというのは嘘で実際は魔族です。事故で魔界から人界に流れ着いた魔族で、様々な縁からアルクレシア帝国を建国して初代皇帝となりましたが、やはり国の長は人族がなるべきだと、信頼する部下に皇帝の座を譲ってしばらくは相談役として国を支えていましたが、魔王の件もひと段落して、いい加減帝国は己の手を離れるべきと、当時の皇帝と話し合った結果政治からは離れたって、そんな感じですね」

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― 新着の感想 ―
感想返し失礼します。 セリフの件ですが、上はリリア、下がルナマリアだと推測できます。 スーパーメイドで王城のメイド長だが、あくまでメイド。元王族のリリアなら立場的に呼び捨てでも違和感がないと思います。…
[気になる点] 「さすがに、ベアトリーチェ相手は厳しいですか?」 「そりゃ、いずれならともかく……いまはまだ勝ち目が無いですよ」 この2つのセリフって、それぞれ誰の発言なのかな? 上は誰かしらの発…
[一言] あとがき。 そんな選択肢があったにも関わらず、時期を逃したせいで、もはや伴侶探ししか無くなってしまったマーメイド族がいるんですね、分かります。
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