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メイドオリンピア本戦③



 メイドバーストだとかメイドヴィジョンだとか、訳の分からない展開にはなっていたが……とりあえず、勝負に関してはルナさんが勝ったみたいだった。

 ただ一度観客席に戻ってきたルナさんはかなり疲労している様子だった。


「……無理もありません。メイドバーストの消耗は非常に大きい。いまはとりあえず、メイドリックオーラの回復に専念することです。ただ、それでも、2回戦までに半分回復すればいいところでしょうが……」

「そうですね。思っていた以上の消耗です」

「仕方ないでしょう。メイドバースト中は、一説では最大で3倍近くメイド力が上昇すると言われています。いまのルナマリアさんの力を圧倒的に越えたメイド力を使うのは、激しい消耗が必然です」

「……これは、厳しい戦いになりそうですね」


 とりあえず、分かったのは……あの技はなんか、短時間のパワーアップ技で、本来の実力差を覆す要因になるえるものではあるが、反面消耗が大きいということだ。

 ……お菓子作りしてたんだよね? 明らかに説明がバトル漫画とかのそれなんだけど……。


 そんなことを考えつつ、俺はマジックボックスからドリンクを取り出してルナさんに渡す。


「……どうぞ」

「え? ありがとうございます。いただきますね」


 一度首を傾げつつも素直に飲み始めるルナさんに対し、そのドリンクの正体を知っているリリアさんは、呆れたような表情を浮かべていた。

 まぁ、ほら、消耗されたままというのも、いちおう応援している身としてはアレだし……。


「これは……メイドリックオーラが回復している!?」

「あ、もしかしたらと思ったら、回復するんですね」

「ミ、ミヤマ様!? この飲み物はいったい……」

「世界樹の果実のドリンクです」

「ぶっ!? ごほっ……ごほっ……」


 もしかしたらと思って飲ましてみたのだが、メイドリックオーラとやらも魔力と同じように回復するみたいだった。

 とりあえず、これでルナさんも2回戦を全力で戦えるだろうとそう思っていると……茜さんにポンッと肩を叩かれる。


「……快人、お前もやっぱり割とそっちの世界寄りやと思うわ」

「やめてください。異常だとするにしても、別方向にしてください。メイド界には組み込まれたくないので……」


 世界樹の果実のドリンクを出したことによる反応だというのは分かるが、メイドと同じように扱うのは名誉棄損も甚だしいので、本当にやめて欲しいところである。







 ルナさんの戦いに触発されたのか、フラウさんも見事な戦いを繰り広げて無事に2回戦へ進んだ。そして始まる2回戦、ここからはスーパーメイドたちも加わってくるので、より激戦が見込まれる。

 トーナメント表を見る限り、スーパーメイドの中で最初に戦うのは……カミリアさんっぽい感じだ。


『さて、それでは2回戦最初の戦いは……バランスのスーパーメイド、カミリア選手の登場です!』


 なんとも言えない表情を浮かべたカミリアさんが会場に現れると、大きな歓声が聞こえてきた。対戦相手も1回戦を勝ち抜いたメイド的に言えば強者ではあるのだが、さすがにスーパーメイド相手となると緊張が見て取れる様子だった。

 そうして、戦いが始まると思われたタイミングで、カミリアさんの対戦相手が突如両膝を付いて祈りの視線になった。


『でました! 恒例と言っていい祈りのポーズです! 彼女の運が試されます』

「……うん? なんや? なんで、いきなり祈り始めたんや?」


 茜さんも俺たちも首を傾げるが、実況の言葉を聞く限り恒例らしい……なんでだろう? と、そう思っているとここでもやはりフラウさんが解説をしてくれる。


「カミリア様と対戦する時には、必ずと言っていいほど見られる光景です」

「……なんで?」

「理由としては、祈るしかないからなんですよ。メイドオリンピア本戦の対戦形式は、毎回魔法具によってランダムで決定されます。コレは非常に種類が多いのですが……カミリア様相手の場合にだけ、ジョーカーとなりうるものがあるので……」

「ジョーカー?」


 茜さんが再び首を傾げた直後、魔法具によって対戦形式が決定した。


『出ました! そして終わりました……対戦形式は《戦闘》です!! おっと、崩れ落ちた!!』

「……あ、ああ、そういうことか……めっちゃ納得したわ」

「ええ、メイドも皆戦闘力には優れているのですが、さすがに六王配下幹部であるカミリア様に戦闘で敵う者はアイン会長を除いて存在しないので……戦闘が選ばれるイコール敗北が決定するのですよ。対戦形式の種類数的に確率は高くないのですが……過去にも、決勝戦でカミリア様相手に戦闘を引いて相手がギブアップするという事もありました」


 これはたしかに、茜さんと同じく納得できた。そりゃそうだ。それに関しては、勝てるわけがない相手である。なるほど、だから祈っていたのか……戦闘以外の形式が選ばれますようにって……なんというか、対戦相手が少し哀れである。




シリアス先輩「そりゃそうだ。いくらメイドが化け物だらけとはいえ、界王配下最強に勝てるわけがない……カミリア相手だけ、低確率で引いたら即負けカードがあるってことか……」

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― 新着の感想 ―
[一言] 公爵級高位魔族相手に《戦闘》で勝たなければならないという絶望的な状態。 仮にメイド界隈で勝つことができるのはメイド級高位魔族であるアインか、メイドオリンピアに一度も出ていないイルネスくらいか…
[一言] メイドには運もひつよう
[一言] 戦闘が選ばれたときの対カミリアさんのためにもアインはイルネスさんをなんとしてでも勧誘すべきですよね。
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