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メイドの挑戦⑩



 メイドオリンピア予選となる、グループでのバトルロワイヤルが開始された。各グループから2名ずつが上がり、そこにスーパーメイドと全大会ベスト8を加えてトーナメントとなるらしい。

 そして、ルナさんは割り振られた2組で傍目に見ても圧倒的な強さを見せていた。


『おっと、初参加のルナマリア選手、素晴らしい強さです。明らかにこのグループでは頭一つ抜けています! 解説のアイン会長から見て、ルナマリア選手はいかがでしょう?』

『よいメイドですね。彼女はまだメイド歴は浅く10年に満たないですが、それでもメイド力50000を越える数値に達しているのは、ひとえにその才能ゆえでしょう。将来が楽しみなメイドですね』


 メイドたちが入り乱れて戦うなかなか異質なバトルロワイヤルだが、ルナさんは元最上位冒険者である。冒険者はその性質上少数での行動が多く、一体多数の戦いにも長けているらしいので、まさにルナさんの独壇場と言っていい強さだ。


「圧倒的ですね、ルナさん」

「ええ、見る限り同じ組にルナに敵うような相手は居ないので、油断せずに戦えば問題なく予選突破できるでしょう」


 なんだかんだで親友が活躍しているのは嬉しいのか、リリアさんは少し明るめの表情を浮かべていた。


「……さすがは、ルナマリアさん。素晴らしい……好敵手と呼ぶに相応しい強さです。私も血が滾りますね」

「いや、なにお前は以前からのライバルみたいなツラしてるんや……さっき初めて会ったばっかりやろうが!」


 そんなことを話しながら観戦しているうちに、ルナさんは見事各ブロック2人の代表に残り、本戦出場を決めた。

 なんだかんだで、ルナさんが勝ち残ってくれたのは嬉しくもある。


「……私も負けていられませんね。それでは、私も待機室に向かいます」

「おう、まぁ、お前もほどほどに頑張りや」

「ええ、見せて差し上げますよ。私のメイドスピリッツを!」

「……やっぱ負けてええわ、はよ帰ろ?」


 ルナさんの戦いを見て熱くなった様子のフラウさんが立ち上がり、闘志を宿して待機室へと向かっていった。

 そうしてしばらくの後始まった6組の戦いでは、フラウさんが流石というべき活躍をしていた。


「……フラウさんの使ってる武器ってなんですか?」

「う~ん、ウチも詳しくはよく知らんのよ。なんか蛇腹剣っぽくもあるけど、いまいちよう分からんわ」

「アレはトリックソードと言われる武器ですね。魔力を流すことで硬化する材質で作った剣で、普段は魔力を流さずリボンなどのように着用もできる暗器の一種です」


 フラウさんが鞭のような、それでいて剣のように周囲を切り裂いている謎の武器を使っていたので不思議に思っていると、リリアさんが知っているみたいで軽く解説をしてくれた。


「恐らくですが、フラウさんは魔界西部の出身では?」

「あ~そういえば、なんやそんなこと言ってたような気がしますわ。砂漠地帯に住む部族出身やとか」

「あのトリックソードは、幻惑の民とも言われる民族が主に使う武器ですからね。とはいえ、私も昔知り合いに聞いただけで、そこまで詳しいわけでは無いですが……」


 そういう部族の秘伝みたいなのってなんかカッコいいな。たしかにアレはかなりトリッキーな武器であり、戦っているフラウさんはまるで新体操のリボン競技のような動きで、次々とライバルを倒していく。

 そうしてフラウさんも危なげなく本戦出場を決めることとなった。


『6組の戦いを振り返っていかがでしたか? アイン会長』

『代表となった彼女は、過去にも出場経験があり毎回よい戦いを見せてくれていますね。メイド力は中堅レベルではありますが、おそらくメイド歴はかなり長いのでしょう、経験から来る巧みさがあります』


 アインさんの感想も終わり、ルナさんとフラウさんが本戦前にいちど俺たちの場所に戻ってきた。


「おふたり共、本戦出場おめでとうございます」

「ありがとうございます。なんとか、本戦にホッとしていますよ。お嬢様やミヤマ様に応援に来てもらっておいて、予選落ちでは格好がつきませんので……」

「しかし、ルナマリアさんは本戦の組み合わせがよくないですね……いや、まぁ、私もですが」


 フラウさんが本戦の組み合わせ表を見ながら呟き、俺たちの視線がフラウさんに集まる。


「そうなんか?」

「ええ、ルナマリアさんの相手は全大会で6位に入賞した実力者で、メイド力も80000を越える強者です。かなり厳しい戦いになるでしょうね」

「なるほど、格上相手は大変やな……フラウの方は?」

「初戦の相手はパッとしないのですが……勝ち上がると2戦目で、エミリー様とぶつかるんですよ。2回戦でスーパーメイドが相手とは……」


 ちなみに今回の本戦トーナメントは計28人で争われるみたいで、スーパーメイドはそれぞれシード枠で2回戦からの参戦となるので、ひとつ勝てばベスト16、ふたつ勝てばベスト8となり、次回のメイドオリンピアの予選免除が確定するみたいだ。

 ふたりとしてはせめて2回勝ちたいところだろうが、ルナさんは初戦が格上、フラウさんは2回戦がスーパーメイドと……なかなか厳しい戦いになりそうだった。




シリアス先輩「なんだろうこれ、バトルものにお約束のトーナメント展開のはずなのに……メイド同士の戦いと思うと、どうもシュールさが勝つ……」

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― 新着の感想 ―
[一言] メイド服でやりあってるんだろうがイメージがむずかしい
[良い点] ルナさんの勝利 さすが過去トップクラス冒険者だっただけはあるね [一言] メイドのお話なのに・・・なんで「この作品少数のバトル展開」なんだろ・・・
[一言] お、お〜なんか珍しくカイトの影が薄いからなんか違和感w
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