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出店の準備⑥



 快人がシンフォニア王国建国記念祭にて出店を出すという情報は、快人を知る者たちにはかなり早い段階で知れ渡った。

 魔界の死の大地にある死王アイシスの居城では、アイシスが悩むような表情を浮かべていた。


「……カイトの出店……私も食べたいけど……行くのは……難しい」


 アイシスには死の魔力があり、最近ではアイシス自身が非常に幸せであるため、他者に与える威圧感はある程度和らいではいるが……爵位級に満たない者は、数メートル以内にはやはり近づくのは不可能と言っていい。

 祭りという人の多い場において、アイシスがあられれば大パニックになってしまうのは分かり切っているので、アイシスが直接向かうのは難しかった。


「それやったら……ウチが代わりに買ってきますよ?」

「……スピカが?」

「はいな~ウチは全然有名とちゃうし、問題なく買ってこれると思いますよ。それに、カイトさんとはまだ会ったこと無かったし、丁度いいですわ。アイシス様は、セレモニー会場で待っといてくれたら、ウチが持っていきますよ」

「……それじゃあ……お願いして……いいかな?」

「はいな~お任せを~」

「キュッ!」

「おっ、ウルも手伝ってくれるんか? それやったら、一緒に行こか?」


 アイシスの代わりにスピカが快人の出店に買いに行くということで話は纏まり、ひとまずアイシスは建国記念のセレモニーへの参加の旨を書いた手紙をシンフォニア王国へと送った。









 また、魔界の別の都市では戦王メギドが、配下よりアイシスが聞いたのと同じ話を聞いていた。


「ほぅ、カイトが店か……面白そうじゃねぇか……おいっ、バッカス!」

「はっ!」

「シンフォニア王国の建国記念祭、俺も参加するって伝えとけ」

「畏まりました」


 カイトが出店を行うという話に興味を抱いたメギドは、シンフォニア王国の建国記念祭……そのセレモニーへの参加を決め、バッカスに先方に伝えておくように指示を出した。

 なお、建国記念セレモニーには基本的にメギド本人が行くことは無く、普段は代理としてバッカスかアグニが参加することが多いので、今回の参加はかなり異例ではあった。







 ほぼ同時刻、魔界南部の山脈地帯ではマグナウェルが同様の話題について話をしていた。


『……面白そうじゃな。ちょうど、ワシもよい分体を手に入れて、シンフォニア王都などといった場所にも足を運びやすくなったからのぅ』


 マグナウェルはその凄まじい巨体もあって、それこそ位置が悪ければ王都がマグナウェルの巨体で影になってしまうほどであり、過去の建国祭には参加しておらず、代理を立てていた。

 しかし、今回はアリスとの取引によって手に入れた特殊な分体があるため、人型の姿で参加することが可能である。


『どれ、ここはひとつ建国記念セレモニーに参加して、途中でミヤマカイトの様子でも見に行くかのぅ』








 そうした六王たちの動きを、世界中の情報を得ている幻王……アリスが把握していない筈もなく、当然の如く六王たちの動きは情報として入ってきていた。


「……う~ん。どうしますかねぇ。大半は問題ないでしょうが、クソゴリラとかが変な行動する可能性もありますし……ライズさんは大変でしょうが、私も分体を参加させて変な行動を起こさないように見ておきますかね」


 元々シンフォニア王国と繋がりが深いリリウッドは毎年必ず参加しているので、アリスが参加を決めたことで、今回のシンフォニア王国建国記念祭には六王が集結することが決定した。

 尤も、アリスはあくまで分体での参加であり、本体は快人の店を手伝う気満々ではあったが……とりあえず、快人が出店を楽しめるように、考えなしに行動しそうなメギドを抑えつつ他の六王の動きも注意するつもりである。


「……最高神はどうなりますかね。シャローヴァナル様の動き次第ですが……とりあえず、シャローヴァナル様は現地に向かう気は無いので、動く可能性は低いですね。フェイトさんが、進んで人の多い祭に参加することは……まぁ、無いですね。あとで別にカイトさんにベビーカステラ作ってもらうだけでしょう。クロノアさんは、リリアさんとの繋がりもありますし、参加する可能性もありますね。ライフさんはシャローヴァナル様が動かなければ、まず参加することはないでしょう……となると、あとはあっちの神の方ですね」


 ある程度要注意人物の動きを想定したアリスは、先んじて暴走する可能性が高いマキナを事前に牽制しておこうと考え、特殊な歯車を使用して、マキナのいる場所へと向かった。








 そして、会場となるシンフォニア王国の首都にある王城では、ライズが例年通りの様子で祭りに備えていた。建国記念祭は勇者祭のある年以外は必ず行われているので、国王であるライズにとっては慣れたものであり、今年は王太子であるアマリエを指導しつつゆっくり準備を行っていた。


「……陛下! 大変です!!」

「うん? どうした?

「今回の建国記念セレモニーに対し、すでに参加を表明されている界王様の他……冥王様、死王様、戦王様、竜王様、幻王様……全員本人が参加すると連絡が届きました!!」

「…………………………え?」


 いつも通りの建国記念祭が、シンフォニア王国史上初めて六王全員が参加する建国記念祭へと変貌した瞬間であった。





【冥王】ベビーカステラと聞いて!

【死王】快人が店を出すと聞いて……

【界王】そもそも毎年参加している

【戦王】なんか面白そうだから

【竜王】分体で動き回れるようになって、おじいちゃんはちょっとはしゃいでいる

【幻王】クロやメギド、マグナウェルのストッパーを務めるつもりで参加。相変わらず陰に日向に快人を支える献身的な恋人である



【機械仕掛けの神】……まだ何もしてないのに、なぜかアリスに先んじて叱られた

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― 新着の感想 ―
[良い点] 胃痛さんの親族が胃痛にw
[一言] アリスから事前に警告されるのではなく、すでに叱られてる母が偉大過ぎる。
[良い点] ウルがかわいくて仕方ない [一言] 現在の「キュッ」もいいが、ちょっと言葉遣いが下手な人化したウルとカイトの絡みが見たいですね。
2022/09/29 09:21 退会済み
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