表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした  作者: 灯台


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1249/2608

ナイトマーケット⑪



 イルネスさんに膝枕をしてもらって眠ること15分、最初に宣言した通りイルネスさんは優しく俺の体をゆすって起こしてくれた。

 その後は部屋に戻ったのだが、短時間とはいえ眠ったので少し目が冴えてしまったので、すぐに寝る気にはならなかった。

 だからと言って時間的にも結構遅いし、いまからなにかをするというのも微妙である。


 強いて挙げるなら、もう少しイルネスさんと雑談をしていてもよかった気がするが、風呂上がりの状態で長々と話すわけにもいかなかったので、そこは少し残念なところだ。

 ともあれ少し手持無沙汰だがどうしたものか……う~ん、イルネスさんのおかげでリラックスできてるし、落ち着いた気持ちのまま、軽く晩酌というのも悪くはないかもしれない。


 俺は別に酒が特別に好きというわけでもないので、ひとりで飲むことは殆どないが……たまにはいいだろう。イリスさんのバーに行くという手もあるが、本当に少し……1~2杯飲んだら寝るつもりなので、わざわざバーに行くほどでもない。

 そんな風に考えつつ、マジックボックスの中から酒を取り出そうとしたタイミングで、控えめなノックの音が聞こえてきた。


「はい、どうぞ」

「失礼しますぅ」

「あれ? イルネスさん?」


 訪ねてきたのはメイド服に着替えたイルネスさんであり、カートを押しながら入ってきた。カートの上には酒らしきボトルと、一口で食べれるつまみが数品……。


「……もしかして、俺が考えてること、お見通しでした?」

「いいえ~綺麗な月夜なのでぇ、晩酌もよいのではないかと思いましてぇ、提案のために~持って来ただけですよぉ」

「なるほど……ちょうど、晩酌しようかと思ってたところで、タイミングがあまりにも絶妙だったので」

「おやぁ、それは~丁度よかったですねぇ」


 まぁ、イルネスさんなら本当に俺の考えなんてお見通しなのかもしれないが、ともかく本当に最高のタイミングでの登場だ。

 お酒を飲もうと思っていたし、イルネスさんとももう少し話したかったなぁと思っていたので……。


「イルネスさん、せっかくですし一緒に飲みませんか?」

「それではぁ、ご一緒させていただきますぅ」

「はい。窓辺の席がいいですね。月がよく見えますし……図らずも、風呂に行く前と同じ席ですね」

「ですねぇ」


 風呂に行く前と同じように窓辺の席に座り、イルネスさんがふたつのグラスに酒を注ぎ、つまみをテーブルに置いたあとで向かいの席に座った。


「それじゃあ、乾杯しましょうか」

「はいぃ」


 軽く乾杯すれば、静かな空間にグラスの音が小気味よく響く。イルネスさんが持ってきてくれたのは、ワインではなくシャンパンっぽいお酒で、アッサリとした味がいまの雰囲気に合っている。

 月明かりの差し込む窓、こちらを見て優し気に微笑んでいるイルネスさん……なんというか、とてもいい雰囲気だ。


「そういえば、この家ができたばかりの頃にも一緒にワインを飲みましたね」

「はいぃ。とても~楽しいひと時でしたぁ」

「俺にとってもいい思い出です。なんというか、イルネスさんと話していると自然とリラックスできるというか……なんでしょうね? なんか、根拠とか理由はないんですけど、落ち着く気がします」

「私もとても~心地よい気持ちですぅ。ですがぁ、心穏やかかと言われればぁ、少し首を傾げてしまうかもしれませんねぇ」

「え?」


 そういうとイルネスさんは不意に、いつもの大人っぽい微笑みではなく、少しだけいらずらっぽい笑みを浮かべた。


「こうして~カイト様と向かい合っていますとぉ、少し~照れてしまいますねぇ」

「え? そうなんですか? なんというか、まったくそんな感じがしなくて……普段通り落ち着いてるように見えますけど……」

「カイト様はぁ、とても~素敵ですからねぇ。こうして向かい合っているとぉ、やはり~少し~意識してしまいますねぇ」

「も、もしかして、からかってます?」

「くひひ、さぁ~どうでしょうかぁ? 嘘を言っているつもりはありませんよぉ。ただ~私自身もぉ、自分の気持ちを全て分かってはいないのでぇ、難しいものですねぇ」


 思わぬ言葉に少し慌てて聞き返すが、イルネスさんは優しい声で穏やかに返してくる。なんというか、やっぱりこっちと比べてすごく余裕がありそうに見える。

 少なくともやはり照れているという感じはしないが、嘘を言ってからかうような方ではないのも理解している。となると本心? う~ん、感応魔法じゃそこまで細かくは読み取れないし、よく分からない。


「そうですねぇ……それでもぉ、ひとつだけ~確信を持って言えることもありますよぉ」

「なんですか?」

「いまこうしてぇ、カイト様と一緒に過ごす時間はぁ、私にとって~とても幸せなものであるのはぁ、間違いないですよぉ」

「……イルネスさん。ええ、そうですね。俺もイルネスさんとこうして穏やかに過ごせる時間はすごく幸せですし、それで十分ですよね」

「はいぃ」


 なんというか、現金なものだと自分でも思うが、イルネスさんが俺と過ごす時間を幸せだと言ってくれて、明らかにテンションが上がったのを自覚している。

 まぁ、イルネスさんがそう思っていてくれたことが本当に嬉しかったので……仕方ない。





シリアス先輩「いちゃいちゃしやがって!! これでもかっていうほど、いちゃいちゃしやがって……ぐぅぅぅ、きっつい……これでまだ恋人じゃないんだぞ、どうなってんだこの糖度……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 他の恋人並みにイチャっておられる
[良い点] 恋人未満とかそんなレヴェルじゃねぇな、結婚すらすっ飛ばして、既に円満の熟年夫婦味が凄い。さすがのメインヒロイン、こうして二人は幸せに暮らしましたとさ・・・・・・あれ? メインヒロイン??
[良い点] なんか他の恋人よりも大人の付き合いって感じで好き
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ