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公爵級とメイド級⑥



 オズマさんとアグニさん、戦王配下への伝達を終えたあと、次にやってきたのはユグフレシスだった。最近ハーモニックシンフォニーとお茶会で来たので、最近よく来ている気がする。

 ここに来たということは次は界王配下というわけか……リーリエさんが確定なのは分かるとして、もうひとりは誰だろう?

 界王配下の方の戦闘は見たことが無いし、誰が一番強いとかも聞いた覚えはない。


「……なぁ、アリス。界王配下って、最強はリーリエさんなの?」

「いえ、リーリエさんではありませんね。界王配下には、リーリエさんより古株で、リーリエさんより強い方が居るので……」

「リーリエさんより古株? って、もしかして、カミリアさん?」

「おや? ご存知でしたか? ああ、リリウッドさんあたりに聞いたんですね」


 お茶会の際に、カミリアさんが一番最初の配下で、次がリーリエさんだという話をリリウッドさんから聞いていたので、アリスのリーリエさんより古株という言葉で察することができた。

 それにしてもさすがアリスというべきか、その一言だけで俺がどこからその情報を得たかも察したみたいだ。

 あの時のリリウッドさんのとのやり取りは感応魔法を用いて行われたもので、口に出して会話をしたわけでもないので、いま予想したんだろう。


「カミリアさんって、そんなに強いんだ。いや、大地の剛拳とかって呼ばれてるって話は聞いたけど……」

「攻撃力でいえば、伯爵級の中でも上から数えたほうが早いレベルですね。もちろん防御がおろそかというわけではなく、精霊らしく防御も得意なので攻守ともにかなり高レベルですよ」

「へぇ……」


 優しく素朴なカミリアさんが、そんなに強いというイメージがどうにも湧きにくいが、その辺りは流石界王配下の幹部というべきだろう。

 そんな会話をしつつリリウッドさんの居城……世界樹の麓に辿り着くと、タイミングよく入り口で箒を持って掃除しているカミリアさんの姿が見えた。


「カミリアさん、こんにちは」

「おや? カイトさん……それに、シャルティア様? リリウッド様に御用でしょうか?」

「ああ、いえ、今回はカミリアさんに用があってきました」

「私にですか? ええ、なんでしょう?」

「まぁ、ここで言ってもいいんですが、小腹空いたのでなんか出してください」

「……お前……」

「え? あ、はい。では、こちらにどうぞ」


 ツヴァイさんのところでお菓子を食べたばかりの癖に、小腹が空いたというアリスに呆れたような視線を向けるが、カミリアさんはそのまま流されるような形で頷き、俺たちを応接室に案内してくれた。

 本人曰く押しに弱いとのことなので、こういう突拍子もない行動をとられると流されてしまうのだろう。俺も結構流される性質なので、気持ちはよく分かる。


「すぐに用意できるものだと、タルトぐらいしかありませんでしたが……」

「十分です。馬鹿が変な要求してすみません、カミリアさん」

「い、いえ、お気になさらず」


 俺の言葉に苦笑しつつ、カミリアさんは俺とアリスの前に紅茶とリンゴのタルトを置いてくれた……紅茶、四杯目……今日一日が終わるまで、俺は何杯の紅茶を飲むことになるんだろうか?

 あと、アリスと違って俺はもうここまで食べた茶菓子と紅茶でお腹も膨らんでいるので、タルトは結構ボリュームあって辛いところがある。

 まぁ、せっかくのカミリアさんの厚意なので残さずいただくつもりではあるが……。


「それで、シャルティア様、私に用というのは?」

「ああ、カミリアさん、今日から公爵級に認定します」

「はえ?」

「じゃ、これから公爵級高位魔族として頑張ってください」

「え? えぇ!? ちょ、ちょっと待ってください。全然状況が……別に私、最近急激に強くなったとか、そんなことはありませんよ? あと、筆頭であるリーリエ様を差し置いて私が公爵級になるのは、いろいろややこしくなりそうなんですが……」


 なんというか、カミリアさんの反応が凄く新鮮である。そうだよな、普通公爵級になるって聞いたら慌てるというか、どうして? って感情が強く出るはずだよね。

 ここまでの中で、フュンフさんとツヴァイさんはクロからさわり程度だけ爵位級の見直しについて聞いていたみたいだし、オズマさんは元々公爵級に上げられるのは予想していた。アグニさんは、驚いてはいたけど性格なのか粛々と受け入れていた感じだった。


「ああ、ご心配なく、リーリエさんも公爵級に上げます。というか、全体的に爵位級の調整をする感じですね。他の陣営からも何名か上げてるんですよ」

「……な、なるほど、そうだったんですね。け、けど、私でいいんでしょうか?」

「実力的に言えば貴女が適任でしょう。というか、決定事項なので異議は受け付けません」

「あっ、はい……わかりました」


 なるほど……自己申告通りというか、なんというか……カミリアさんは、マジで押しに弱そうな感じだった。





シリアス先輩「たしかに心底ビックリみたいな反応はここまでなかったな」

???「先輩、余裕そうっすね」

シリアス先輩「いや、いまは砂糖回じゃないからね。やめろ、余裕そうだとムカつくみたいな顔すんじゃねぇ!」

???「爵位認定終わったら砂糖回来ますように」

シリアス先輩「最悪の呪詛やめろぉぉぉぉ!!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] あれ、なんでアリスが知らないんだろうと思ったらそうか…あれ感応魔法で一瞬の間にリリウッドさんと二人だけのやりとりだったからアリスには知り得なかったのか……この辺の設定の徹底具合、流石ですね…
[一言] 砂糖級魔族……って先に言われてた(´・ω・`) 実質、シロやエデンに対して割と普通に対応してる時点で一般人とはかけ離れてるシリアス先輩。
[一言] なんやかんや2人のデートやろこれ
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