ドリームチーム?
【活動報告に十三巻キャララフ公開第四弾を掲載しました】
毎朝のジョギングは行っているが、それでもなんとなく運動不足感があり、体を動かしたいと思っていた。筋トレとかそういうのではなく、なんかこうスポーツっぽい感じので楽しく汗をかけたらいいなぁとそんな風に思っていた。
その際、たまたま眺めていた雑誌でシンフォニア王都の西区画の大きな公園で、球技のイベントがあることを知り、ソレに参加してみることにした。
とはいっても、別になにか事前申し込みとかをしたわけでもなく、当日に行って参加できるようなら参加してみようと思っただけだが……。
そして、イベントの当日動きやすい恰好をして指定の公園に向かうと、祭程とは言わないものの、公園はそれなりに賑わっており楽しそうな雰囲気だった。
エリアごとに結構いろいろな球技をやっているみたいで、パッと見た限りテニスやバレーなどがあったし、サッカー……というよりはフットサルっぽいものもあった。
いろいろ眺めつつ辿り着いた場所の看板を見て見ると、ここはバスケットボールができるコートみたいだ。バスケか……体育とかの授業でやった程度だけど、楽しそうではある。
やってみようかな……あっ、駄目だ。五人一チームでの申し込みに限るって書いてある。ひとりじゃ参加できない感じだ。
う~ん、陽菜ちゃんとか葵ちゃんとか誘って来ればよかったかな? いっそ誰か都合よく知り合いでも現れてくれないかなぁ?
「ふっ、物欲しそうな顔をして……さては、助っ人を求めてるね、カイト!!」
「……」
「なんでそんな微妙そんな顔するかな……」
「いや、よりにもよって、俺の知り合いの中で一番運動駄目そうな人が現れたので……」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこにはスポーツウェアを着てやる気満々といった雰囲気のトーレさんがいた。
これでもかというほど戦力にならない人の登場である。
「こんにちは、ミヤマさん」
「お会いできて、嬉しいです」
「こんにちは、チェントさん、シエンさん……今日は勝手に抜け出してきたわけじゃないんですね、トーレさん」
「え? なにかなその、脱走の常習犯を相手にするみたいな言い方……」
「事実そうじゃないですか」
「否定は難しいね」
今回は珍しく、チェントさんとシエンさんを巻いてきたわけではないみたいで、トーレさんと同じようにスポーツウェアを着ているふたりがいた。
たぶんだけど、俺と同じように雑誌かなにかでイベントを知ったトーレさんが参加したがり、ふたりが同行したという感じだろう。
「ここで会ったのも縁だし、カイト! 私たちとチームを組んで、世界を獲ろう!」
「世界云々はさておき、チームを組むのは別にいいんですが……五人一組なので、あとひとり……」
「じゃあ、仕方ないのでここは、この超絶美少女助っ人が……」
「……お、おう」
……世界獲ったわこれ、なんならコイツひとりでも世界獲りそうである。
まぁ、ともかくそんなわけで急遽……俺、トーレさん、チェントさん、シエンさん、アリスの五人でチームを組むことになった。
伯爵級ふたりに六王……酷いチームだなこれ、対戦する相手が可哀そうすぎる。
特に大会とかというわけでもなく、申し込みをして同じように五人組のチームと何度か対戦をした。
分かり切っていた話だが、圧勝だった……正直、俺とトーレさんはへっぽこだった。完全なる素人だし、ドリブルもシュートも下手くそだった。
けど、他三人が圧倒的過ぎた。チェントさんとシエンさんは能力もさることながら、連携がとにかくすごくて、ふたりのどちらかがボールを持てば、華麗なパス回しで相手陣地に切り込んで簡単に得点していた。
それより酷かったのが、アリスである。アリスは、今回完全に遊んでおり、自陣のゴール下に佇み、手の届く範囲にボールが来るか、相手のシュートが外れた時にだけリバウンドして、そのまま着地する前にシュートしていた。
完全遊んでいたし、シュートフォームも滅茶苦茶適当だったが……すべてキッチリゴールに入っており、相手にとってはアリスがボールを持つイコール3Pを決められるという悲惨な結果になっていた。
「……いい戦いだったね」
「俺とトーレさんは、それぞれ3本ぐらいしかシュート決めてませんけどね。チェントさんとシエンさんが、あんなにパスしてくれたのに……」
「リングちっちゃ過ぎない? あと三倍ぐらい広くしてほしいよ」
三人が強くて圧勝ではあったが、俺とトーレさんはさんざんパスを貰っても、大して得点できてはいなかった。まぁ、あんまり経験ないし仕方ないか。
それに、結構動いて汗はかけたし、なんだかんだで楽しかったので問題ないだろう。
「いや~たくさん動いて、お腹空いたね! ご飯いこう、ご飯!」
「いい案ですね、トーレさん。祝勝会って感じですかね……それじゃあ、チームリーダーのカイトさんの奢りで、行きましょうか!」
「ちょっと待て、いつ俺がチームリーダーに?」
「お姉ちゃんはね、カイトは人の上に立つ資質のある子だって信じてるよ。ご馳走様」
「……」
本当に、いい性格してるよなトーレさんって……まぁ、別にそれを嫌だと感じることはないし、なんだかんだで一緒に食事するのも楽しそうだなと思っている自分がいる。
アリスとトーレさんの言葉に軽くため息を吐き、申し訳なさそうな表情を浮かべているチェントさんとシエンさんに微笑んでから、俺はまるごと食べ歩きガイドを取り出して、近場の店を探し始めた。
~バスケ能力~(E=ポンコツ、D=初心者、C=一般人、B=バスケ部レベル A=プロレベル S=トッププロレベル SS=バケモノ SSS=チート級)
【宮間快人】
スピード:C
パワー:D
テクニック:E
シュート力:C
ドリブル力:E
ディフェンス力:B(感応魔法込み)
【トーレ】
スピード:C
パワー:C
テクニック:E
シュート力:C
ドリブル力:D
ディフェンス力:C
【チェント】(手加減)
スピード:S
パワー:S
テクニック:A+
シュート力:A+
ドリブル力:SS
ディフェンス力:S
【シエン】(手加減)
スピード:A+
パワー:A+
テクニック:SS
シュート力:S
ドリブル力:S
ディフェンス力:S
【アリス】(お遊びモード)
スピード:-(動く気なし)
パワー:SSS(リバウンド成功率100%)
テクニック:測定不能
シュート力:SSS(百発百中)
ドリブル力:-(ドリブルする気なし)
ディフェンス力:-(手の届く範囲のみSSS、あとはリバウンドだけする)




