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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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皆に呆れられた

 クロ……いや、クロに化けた幻王が居なくなって少しすると、ごくごく自然に本物のクロが現れた。
 クロは少しばつが悪そうに苦笑しながら、俺の元まで来る。

「お、今度は本物だ……」
「あはは、ごめんね。アインに話を聞いて直ぐ来ようと思ったんだけど、そのタイミングでシャルティアが来て、カイトくんと話したい事があるから自分に行かせてくれって。何のお話ししてたの?」
「クロの魔獣モードは、トゲトゲで歩きにくそうだなぁ~って」
「えぇぇぇ!?」

 俺の隣に来たクロは、宴会の開始待ちとなっている庭を眺めながら話しかけてきた。
 そして俺は、そんなクロに冗談交じりに言葉を返す。

「いやいや、あのトゲは魔力で出来てるから動く時に邪魔にはならないんだよ!」
「じゃあ、別にトゲ無くて良くない?」
「あった方がカッコいいじゃん……」
「カッコいいかなぁ?」

 どうやらあの魔獣モードのトゲトゲは、別に効果的な意味で付けてるんじゃなく、単に見栄えを良くする為だったらしい。

「……カイトくんさ、何でシャルティアの変装、ボクじゃないって分かったの?」
「いや、正直俺にも理由や根拠は無かったんだけど……何となく、クロとは違うって感じただけだよ」
「そっか……えへへ、なんか嬉しいね」

 クロがそう言って可愛らしくはにかむのとほぼ同時に、火柱と木が現れ、メギドさんとリリウッドさんが戻って来た。
 両者ともボロボロではあったが、表情はメギドさんの方は晴れやかで、リリウッドさんの方は落ち込んでる……って事はメギドさんが勝ったのかな?

「やっぱ、リリウッドは強ぇな! 結局勝てなかったぜ! いや~ここまで思いっきり戦ったのは久々だ! 最高だったぜ!」
『……何でしょう、コレ……戦い自体は引き分けだったのに、この物凄く負けた感じ……』

 どうやら両者の戦いは引き分けに終わったらしいが、ああ、成程……メギドさんは勝ち負けとか関係なく、強い相手と戦うのが大好きなんだ。
 つまり……強い相手と戦えてご満悦なメギドさんに対し、リリウッドさんは戦いを好む性格と言う訳でもないので、非常に疲れた感じだった。

「なぁ、クロ」
「なに?」
「メギドさんって見るからに炎って感じで、木の精霊のリリウッドさんは相性悪そうなイメージがあるんだけど……」
「リリウッド位の実力があれば、そんなの関係ないよ。リリウッドなら見渡す限りの地平を一瞬で森に変えることだって出来るからね」

 改めて聞くと、とんでもないな六王って……本当に他とは明らかに実力の格が違う。
 ともあれこれで全員が揃った……と言うよりリリウッドさんが増えた状態で、宴会も開始となった。

 メギドさんは相変わらずで、挨拶とか乾杯の音頭は面倒ださっさと始めるぞと一番先に酒を飲み始めてしまった。
 てかさっきの飲み比べて、あれだけ強い酒を沢山飲んだのにまだ飲むのか……

















 宴会が始まり、一気に賑やかになった庭を見渡してみる。
 クロはリリウッドさんのフォローをしてくると言って、リリウッドさんの所に行って慰めているみたいだ。

 そして細々と飲み進めている俺の元へ、巨大なコップを持ったメギドさんが近付いてきた。

「おう、カイト。ちょっと聞きてぇんだが……剣が折れたエルフがいるだろ? どいつだ?」
「え? え~と、ジークさん! ちょっとこっちに」
「……はい?」

 何故かは分からなかったが、メギドさんはジークさんを探しているみたいだった。
 なので気絶したリリアさんを介抱していたジークさんに俺から声をかけると、ジークさんは首を傾げながら歩いてくる。

「おう、テメェがそうか! 剣が折れちまったんだろ? 馬鹿が悪い事をしたな」
「へ? あ、い、いえ……」
「詫びに代わりの剣をやろう、ほれ!」
「は?」

 相変わらず相手の反応なんてお構いなしにガンガン話を進めていくメギドさん。
 戸惑うジークさんの前に、赤い刀身の剣と青い刀身の剣を放り投げ、それをジークさんにあげると伝える。
 シークさんは置かれた二本の剣を軽く手に持った後、戸惑いがちにメギドさんに尋ねる。

「あ、あの……戦王様。この剣、物凄い魔力を感じるんですが……一体……」
「あ゛? なんだったっけかな? 俺は肉切るのにしか使って無かったからな……おい、バッカス! この剣なんて剣だったか?」
「それは……双炎剣フランベルティーンですね」
「なっ!?」

 剣の名前なんて覚えていない様子のメギドさんは、ミイラ男……もといバッカスに尋ね、バッカスはチラりとジークさんの持つ剣を見てから名前を伝える。
 するとそれを聞いたジークさんは目を見開き驚愕していた……凄い剣なんだろうか?

「せ、せせ、戦王様……双炎剣フランベルティーンって、山脈を荒野に変えたって逸話のある……伝説の魔剣では?」
「そうだったか? まぁ、剣は剣だろ。やるから、好きに使え」
「い、いえ、し、しかしこのような高価なものを頂く訳には……」
「俺が良いって言ってんだから良いんだよ。そもそも、俺は武器なんざ使わねぇし、持ってても意味ねぇからな」
「は、はぁ……あ、ありがとうございます」
「おう」

 うん、よくは分からなかったけど……とんでもない物をポンとくれた事だけは分かった。
 ジークさんも分かりやすい程恐縮しており、何度もメギドさんに頭を下げるが、メギドさんは特に気にした様子もなく豪快に笑う。

「しかし、テメェもかなり強えぇな! 実力もだが根性もある……流石だな、カイト! 俺に勝っただけの事はあって『良い女を抱いて』やがる!」
「ぶっ!?」
「!?!?」

 豪快に笑いながら告げられたとんでもない言葉に、思わず飲んでいた酒を吹き出してしまった。

「め、メギドさん!? い、いきなり何を?」
「あん? そのエルフはテメェの女だろ? さっきの行動とか見てりゃ分かる!」
「いやいや!? 何でそんな話に!」
「何慌ててんだ? テメェももう40日近くこの世界に居るんだろ? なら女の4~5人囲ってて当り前じゃねぇか」

 どんな計算したらそんな事になるんだよ!? 10日で1人のペース!? そんな当り前があってたまるか!?
 大慌ての俺に対して、メギドさんは不思議そうに首を傾げていた。
 するとそこへ、リリウッドさんとの話を終えたクロが戻って来る。

「メギド、『異世界は』男の子と女の子の数が殆ど同じらしいよ? だから、異世界では一人としか結婚しないんだって」
「なにっ!? そうなのか? 異世界ってのは色々変わってんだなぁ~」
「うん、だから……」
「成程、つまり、そのエルフはカイトの嫁って事か!」
「ぶぅっ!?」
「~~!?」

 ちょっと待てゴリラ!? 一体どういう思考回路していたら、そんな訳の分からない話の流れに移行するんだ!?

「いや、そうじゃなくてね……カイトくんは誰とも結婚してたり、恋人になってたりはしないって事」
「……カイト、テメェ……枯れてんのか?」
「……おい」

 なにその同情する様な視線に不名誉極まりない台詞!? 思わず素でおいとか言っちゃったじゃないか!?
 可笑しな流れの話にばかり持って行こうとするメギドさんを見て、俺は大きく溜息を吐く。
 ジークさんにも何かフォローを入れてもらいたかったが、何故か顔を真っ赤にしてモジモジとしていて、メギドさんに反論する様子が無い。

 やっぱり戦王相手だと、中々意見を言うのは難しいんだろうか?
 確かにメギドさんは全然こっちの話聞いてくれなさそうだけど……ここはジークさんの名誉の為にもビシッと言っておかなきゃ。
 いや勿論俺の方は、ジークさんみたいな綺麗で優しい方と恋仲に見られたら、悪い気はしないだけど……俺なんかと夫婦扱いされてしまっては、ジークさんにも失礼にあたるだろうし……

「メギドさん、いくら何でも……そんな風に扱われたら、ジークさんに失礼ですよ。俺とジークさんは友人ですが、そんな関係ではありません」
「……は? い、いや、そのエルフはどう見ても……」
「はい?」
「……カイト、テメェ、ひょっとして……馬鹿なのか?」
「え? なんで?」
「……カイトくん。メギドに言われるとか、よっぽどだからね……でも、正直ボクもメギドに同意」
「クロもっ!?」
「……こればかりは、私も……」
「ジークさんまでっ!?」

 あれ? 何で俺が呆れられる方向になってしまったんだろう? 全く分からない。

 拝啓、母さん、父さん――宴会が始まり、メギドさんがとんでもない爆弾発言を放りこんできた。ジークさんの名誉の為にも反論した筈だったんだけど、何故か――皆に呆れられた。



















くっそ鈍いのは相変わらずとしても……恋仲扱いされて嬉しいとか、ジークに対する好感度自体は結構高くなってきてる気がしますね。
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