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お茶会で深まる絆⑦



 リリウッドさんの大変豊満な胸に意識が一時向いてしまったことへの罪悪感を覚えつつも、とりあえず話を進めてもらおうと口を開く。


「……えっと、つまるところ大半の精霊はリリウッドさんのおかげで生まれたって感じですかね」

『その認識でも間違いはありません。自然発生した精霊というのは、本当に希少ですからね』

「なるほど、それであちこちで植物に魔力を注いで、ある程度経って生まれた精霊に声をかけて回ったって感じですかね? ちなみに、一番初めに配下になったのは誰だったんですか? やっぱり、リーリエさんですか?」


 大まかな流れはつかめてきた。リリウッドさんは独立して魔界のあちこちを回りながら植物に魔力……精霊となりうる切っ掛けを与えた。

 しかし、精霊が生まれたからと言って自動的にリリウッドさんの元に来るというわけでもないだろう。少なくとも精霊が宿るまでは意識とかもないわけだし、誰が魔力を注いだとかも分からないはずだ。

 だから、リリウッドさんは再度勧誘に回ったのだろうと思いつつ尋ねてみると、リリウッドさんはどこか楽し気に苦笑を浮かべる。


『それが、面白いもので……実は私の最初の配下は、私が魔力を注いだ植物ではなく、自然発生した精霊だったんですよ』

「え? そうなんですか?」

『ええ、実はこの場所がその、初めの配下と出会った場所です』


 そう言いながらリリウッドさんが指さした方向を見ると、そこにはリリウッドさんともうひとり……カミリアさんの姿があった。


――貴女に付いていけば、私はいまよりも強くなれますか?

――その問いに答える前に質問させてください。貴女は力を得て、なにを望むのですか?

――そう、ですね……私はこの草原に生える名も無き草の精霊です。この草原を通る多くの人の眺め、時にその優しさに触れてきました。望みなんていうほど、大それたことを考えているわけでは無いですが……私は、『優しいだけでは生きにくい世界』で、優しい人たちを守ってあげられる力が欲しいんです。

――なるほど……いい望みですね。その思いを忘れない限り貴女はきっと強くなれるでしょう。


 アリスが六王や爵位級という制度を作って、魔界の在り方に変化をもたらせたとはいえ、おそらくこの頃はまだ変わり始めたばかりという時期だったのだろう。

 優しいけれど戦う力のない人たちを守れるようになりたいと、カミリアさんはそんな彼女らしい願いと共にリリウッドさんの配下になったということか……。


「なんというか、カミリアさんらしい望みですね」

『ええ、あの子は昔から変わりません。自分ではなく誰かのために頑張ることができる……そういうところは、少しカイトさんに似ているかもしれませんね。ともあれ、私の最初の眷属はカミリアでした。その次がリーリエですね』

「なるほど……」

『その後も眷属は増えていきました。七姫からというわけでは無いです。ブロッサムはかなり若いですし、ティルタニアもそれなりに遅めに加入しましたからね。ある程度眷属の数が増えてくると、拠点を決めて本体を移しました、そこがいまのユグフレシスになったわけです』

「……ふと思ったんですが、リリウッドさんの本体の世界樹って……移動できるんですね」


 いや、昔はクロの家の付近にあったというのであれば、ユグフレシスにある時点で移動できて当然ではあるのだが、あの凄まじいサイズ……縦の大きさで言えばマグナウェルさんをも優に上回る世界樹の移動というのが想像できない。


『可能ですが、いまは正直難しいですね。転移に近い形で移動するのですが、周辺に被害を出さずに私の本体が移動できる場所となると、かなり限定されますしね』

「ふむふむ……質問ばかりで申し訳ないですが、精霊が宿る植物ってなにか法則があったりするんですか?」

『基本的には、魔力を持つ植物に宿る可能性があります。ただ、確実というわけではありません。例えば、カイトさんも知っている花ですと……ブルークリスタルフラワーなどは、空気中の魔力を栄養としますに、ものによってはそれなりに大きな魔力を持っていたりしますが、精霊は確認されていません』

「それは、まだ現れてないだけとかではなく?」

『本数が極端に少ないのであれば別ですが、限定的とはいえ、ある程度群生もしている花であれほどの魔力を持ちながらいまだに一度も精霊が宿っていないというのは考え辛いです。なので、ブルークリスタルフラワーは精霊が宿らない植物なのでしょう』


 魔力があるからと言って必ずしも精霊が宿るわけでは無いってさっきも言ってたし、精霊に関してはきっと世界一と言っていいぐらい詳しいリリウッドさんの言葉だから、それが事実なのだろう。

 けど、なんでかな? なんとなく、根拠はまったく無いのだが、ブルークリスタルフラワーの精霊が存在しているような、そんな気がしている。


 う~ん……いろいろ馴染みのある花だし、そうであって欲しいとかそんな風な想いが強いせいなのかもしれない。





シリアス先輩「ちなみになんで、他のブルークリスタルフラワーに精霊は宿ってないの? 教えて、狂神」

マキナ「……え? それ私のこと? う、う~ん、まぁ、いいか……実はブルークリスタルフラワーって、『オリジナルは世界に一本』しか存在しないんだよ。あとは全部、スピカが作り出したものだから精霊が宿らないって、簡単に説明するとそんな感じだね」

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― 新着の感想 ―
[一言] さらっと凄い設定が…!
[良い点] カイちゃんに対してのマキナ マキナ「失礼だな…狂愛だよ」
[一言] リリウッドさん「いません(断言)」 カイトくん「いるような気がする(あいまい)」 こんなところでもフラグ回収するのかよ・・・カイトくん半端ないわ
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