表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1180/2409

お茶会で深まる絆③



 リーリエさんとブロッサムさんと軽く話したあとは、リリウッドさんに挨拶に向かうことを伝えて話を切り上げ、会場の入り口にいる界王配下の方にカミリアさんから貰ったカードを渡す。

 界王配下の方は見て一礼し「こちらへどうぞ」と案内をしてくれたので、その後ろについて移動する。少しすると、扉がひとつあり、界王配下の方はその扉を開けて再び一礼した。


「この先にリリウッド様がいらっしゃいます。私はこれ以上先への立ち入りは許可されていませんので、こちらまでの案内とさせていただきます」

「分かりました。ありがとうございます」


 界王配下の方にお礼を言って扉の先へ進むと、少し歩いた先に木造りの螺旋階段があった。リリウッドさんの居城には何度かきているが、こんなところもあったのか……。

 そんなことを考えながら階段を上ると、そこには少し広めのバルコニーがあり、リリウッドさんの後ろ姿が見えた。


『おや? カイトさんではありませんか、こんにちは、いえ、ようこそというべきでしょうか?』

「こんにちは、リリウッドさん。招待ありがとうございます」


 バルコニーに足を踏み入れると、リリウッドさんが振り返って一瞬不思議そうな表情を浮かべたが、すぐに優しい微笑みを浮かべて挨拶をしてくれた。


『いえ、これといったおもてなしも出来ずに……私は基本的に飲食は行わないので、毎回こうしてここで会場の様子を眺めているのですね』

「ここは凄いですね。まさに会場が一望できる感じで……なんというか、特別な場所って感じですね」

『このバルコニー自体、基本的には幹部以上の立ち入りは禁じているので、実際特別と言えば特別かもしれませんね。といっても、別になにか変わったものがあるわけでもなく、お茶会の際に私がいる場所というだけですけどね』


 案内してくれた界王配下の方も立ち入りを許可されていないと言っていたし、リリウッドさんが王として、またお茶会の主催者として、会場の様子を見るこの場所は特別といって間違いない場所なのだろう。

 そんなことを考えていると、リリウッドさんはふとなにかを思い付いたような表情を浮かべ、どこか楽し気に告げた。


『そういえば、カイトさん。ハーモニックシンフォニーでは楽しいひと時をありがとうございました』

「あ、いえ、こちらこそ楽しかったです……ちょっと、ビックリはしましたが……」

『ふふふ、不思議なことに、私自身もなぜ衝動的にああいった行動をとったのか、いまいちよく分かっていないんですよ……なんとなく、そうです……やはり、なんとなくという表現が一番しっくりきますね』

「まぁ、俺も考え無しに行動することって結構ありますし、別におかしくはないと思いますよ。実際、俺もリリウッドさんもダンスは楽しかったわけですし、問題はなにもありませんしね」

『……そうですね』


 俺の言葉を聞いたリリウッドさんは、少し嬉しそうに目を細めたあと、軽く手で自分の隣を示した。


『カイトさん、そこではよく見えないでしょう? どうぞ、こちらへ』

「あ、はい。失礼します」


 リリウッドさんに促され、隣に並ぶように立つと……絶景と言っていい景色だった。そもそもユグフレシス自体が自然都市というだけあって、景観は美しい。

 リリウッドさんの居城も高めの位置にあるし、お茶会の会場となる場も景色が見えるように開かれた場所だ。それをさらに高いところから見ていると、お茶会の様子と一緒にユグフレシスの自然も見えて、素晴らしい。


「物凄くいい景色ですね」

『気に入っていただけたようなら、私も嬉しいですよ……そういえば、まだ聞いていませんでしたね。カイトさんは、なぜここに?』

「あっ、えっと、リリウッドさんに挨拶をしておこうと思って、カミリアさんに教えてもらってきました」

『なるほど、気を使わせてしまいましたかね?』

「あ、いえ、挨拶が不要という話は聞いていましたし……単に俺が、リリウッドさんとも話がしたかったという理由が大きいですからね」


 その言葉に嘘はない。実際に挨拶は不要と言われていたし、お茶会が終わったあとで招待のお礼を言いに行っても問題はなかった。

 なので、単純にリリウッドさんとも話したかったという動機が大きい。

 そんな俺の話を聞いたリリウッドさんは、少しキョトンとしたあと、なにやら楽し気に微笑む。


『……なるほど、それではどうでしょう? せっかくこうして足を運んでくださったのですし、私と一緒に紅茶を飲みませんか?』

「え? あれ? リリウッドさんって、水しか飲まないんじゃ……」

『ええ、基本的にはそうですね。ただ、紅茶に関してはまったくというわけでは無いです。昔クロムエイナたちと住んでいた時には、なんどか飲んだこともあります。紅茶を淹れる腕に関しては、アインにも褒められたことがあるので、それなりだとは思いますよ』

「そうなんですか……じゃあ、リリウッドさんがよろしいのなら、是非」


 予想外のお茶の誘いに驚きはしたが……なんだかんだで、いままでそういった機会もなかったので、リリウッドさんとのお茶はかなり楽しみだ。





シリアス先輩「なんというか、リリウッドって明らかに宝樹祭⇒六王祭⇒今回って感じに、順当に好感度が上がってる感じがする。態度にも表れているというか……」

???「事実として上がってるんでしょうからね。リリウッドさん自身がその手の事柄には疎いので自覚とかはないでしょうが、私の見立てではもうかなり好感度は高い気がしますね。明らかに、カイトさんが訪ねてきてくれて嬉しそうですし……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] リリウッド好き ゆっくり進むのもいいよね [一言] シリアス先輩ももっとデレていいんだよ?
[良い点] リリウッドさん 恋愛オットリ系の近所のお姉さん王道ヒロインポジやもんなぁ 恋愛感情に気が付いたあとの破壊力は抜群やろうし、シリアス先輩後書きでエライ目に会いそうやね
[一言] シリアス先輩、ヒロインがちょろいとか、好感度上昇系の発言は全部自分に返ってくるからなあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ