お茶会①
ハーモニックシンフォニーから2日開け、リリウッドさん主催のお茶会の日がやってきた。このお茶会に参加するのは俺だけなので、今回は俺はひとりで向かうことになる。
まぁ、会場はリリウッドさんの居城なので入り口前に転送地点を記録してあるのでまったく問題ない。
ネピュラの茶葉を使ってイルネスさんが入れてくれた紅茶もポットに入れてマジックボックスに入れた。念のためかなり多めに用意してもらったし、お土産用の茶葉も念のために七姫全員とリリウッドさんが欲しがっても数が足りるように8缶用意したし、チョコレートも多めに準備しておいた。
一通り持っていくものを確認したあとは、開始時間の30分ほど前に転移によってリリウッドさんの居城へ向かった。
リリウッドさんの居城の前に辿り着くと、受付らしき界王配下の方が居たので招待状を確認してもらう。すると、案内の人が来てくれるということだったので少し待っていると……。
「待ってたよ、待ってたよ、ボクっては今日をすっごく楽しみにしてたんだよ」
「こんにちは、ジュティアさん……ジュティアさんが案内してくれるんですか?」
「こんにちは、カイト。そうだよ、そうだよ、待ち切れなくってさ、カイトが来たって聞いて案内に来たんだぜぃ」
案内に来てくれたのはジュティアさんであり、どうやら俺が持っていくといった紅茶を本当に楽しみにしていたみたいで、表情からもワクワクと期待するような思いが感じ取れた。
「まぁ、期待はガッツリ上げてもらっておいて大丈夫ですよ。ネピュラの茶葉は本当に凄いので」
「楽しみだね~楽しみだね~本当に、開始が待ち切れないぜぃ。っとと、ごめんよ、ごめんよ、先に案内しないとね。それじゃあ、それじゃあ、行こうか」
「あ、はい」
ネピュラの茶葉は本当に凄いので、上がりまくったハードルもしっかり越えてくれるだろう。いや、本当に俺が偉そうにすることではないのだが、ネピュラの凄さを自慢したい気持ちを抑えるのが大変である。
そんなことを考えつつ、ジュティアさんに続いて居城の中に入る。
「お茶会はどこでやるんですか?」
「それはね、それはね、このお茶会用に広いテラスがあるんだよ。居城の中心、中庭に当たる部分でね。このお茶会の時だけ、解放されるんだぜぃ」
「へぇ、なるほど……確かに、リリウッドさんの居城には何度か来ましたが、中庭があるのは知らなかったです。特別な場所なんですね」
「まぁ、それでも、それでも、お茶会のための空間だから、あまりゴチャゴチャしていない広いシンプルなテラスだけどね」
やっぱり、このお茶会は中々に特別なイベントみたいで、専用のテラスが存在するとのことだ。ジュティアさんの説明に頷きながらしばらく移動して、大きな扉をくぐると……そこは、凄く雰囲気のいい空間だった。
相当広い空間ではあるが、シンプルで落ち着いたデザインのテラス。上を向けば世界樹が見え、木漏れ日というには明るすぎるぐらいの日が差し込んでいて、会場は明るい。
床もテーブルも木造りで温かみがあり、なんともいい雰囲気だ。ロズミエルさんに聞いていた通り、非常に多くのテーブルが一定の間隔で並べられていて、その上には紅茶のセットや茶菓子などが用意されている。
「……なるほど、あのテーブルを自由に移動しながら歓談する感じですね」
「そうだよ、そうだよ、基本的に交流が目的だからね。リリウッド様やボクを含めた七姫への挨拶とかそういうのも基本的には無しで、あくまでお茶と会話を楽しむって趣旨だぜぃ」
たしかに、ひとりひとり挨拶とかをしていると時間が相当かかりそうだ。
会場にはすでにかなりの人が来ているが、それでも会場が広いおかでげで相当余裕はある。以前参加した王城のパーティとかのような固い雰囲気もなく、どこか穏やかでほのぼのした空気を感じて、楽しそうだと、素直にそう思った。
「できれば、できれば、カイトには最初にボクの居るテーブルに来てほしいんだけど、どうかな?」
「約束でしたしね。もちろん、ジュティアさんのところに最初に伺うつもり……というかこの感じだと、スタート時点でジュティアさんの居るテーブルに居ればいいっぽいですね」
「そうだね、そうだね、ソレが手っ取り早いよね。それじゃあ、それじゃあ、案内するぜぃ」
「はい、お願いします。そういえば、七姫は何人かで固まる場合もあるって聞きましたけど、ジュティアさんのテーブルには誰かいるんですか?」
「エリアルとティルタニアがいるぜぃ。ふたりとも、ふたりとも、カイトに会いたがってたよ」
ふむ、ジュティアさんはエリアルさんとティルさんと特に仲が良い感じかな? ロズミエルさんは間違いなくカミリアさんと一緒。リーリエさんとブロッサムさんはどうなんだろう? ふたり一緒に居たりするのかな?
そういえば、ブロッサムさんのところを訪れた際に『声を抑えるようリーリエ様ににも言われた』的なことを言っていたので、仲が良いのかもしれない。
そんなことを考えつつ、ワクワクとした気持ちを抱きつつ、歩きながら楽し気な会場の雰囲気を感じて笑みを零した。
シリアス先輩「……ハーモニックシンフォニー中編Ⅱが⑤まで、後編が⑥まで……中編Ⅱとかなしで後編でよかったのでは?」
???「作者がそんな、話数を計算して書いてるわけないじゃないですか……前中後もフィーリングで区切ってるだけですからね」




