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ハーモニックシンフォニー後編③



 ロズミエルさんが代表を務める出し物、ミュージカルは薔薇を題材にしたストーリーだった。

 内容自体はシンプルで、悪い魔女に呪いをかけられて眠り続ける母を目覚めさせるため、主人公の少女が幻と言われる薔薇を求めて旅をする話だ。

 そのミュージカルの中で、ロズミエルさんは薔薇姫……本人の役として、中盤に登場して主人公に試練を与え、後半で試練を乗り越えた主人公の前に再び現れて幻の薔薇を授ける。

 本人が言っていた通り出番はそれほど多くは無いが、かなり重要な役だった。

 もちろんミュージカルなので、要所要所に歌と踊りがあり、ロズミエルさんも美しい歌声を披露していた。凛とした佇まいと、透き通るように綺麗な声で歌う姿はかなりカッコよかった。


 それなりに長めの公演時間だったはずだが、夢中で見ているうちにあっという間に終わりを迎えた。


 素晴らしいミュージカルの余韻に浸りつつ、皆と感想を言い合いながら外に出る


「……そういえば、ロズミエルさんから聞いたんですが、もうすぐ中央の居城前の広場でリリウッドさんが歌を披露するみたいなので、次はそっちに行ってみませんか?」

「いいですね。界王様の歌となると、まさにメインと言っていい催しですね。界王様の歌は非常に有名ですが、ハーモニックシンフォニー以外で一般人が聞くのはほぼ不可能と言われていますので、貴重な機会ですね」


 俺の提案にリリアさんも乗り気なようで、次の目的地は居城前の広場でよさそうだ。しかし、リリウッドさんの歌が上手いという話は聞いていたが、実は聴く機会は少ないのか……まぁ、たしかに、立場を考えればそうそう歌を披露するシチュエーションもないかもしれない。


「……我々の一向に関しては……一般人の枠でいいのでしょうか?」

「ミヤマ様は完全に別枠として除外したとしても、公爵家当主のお嬢様、ハイエルフかつ冥王様の指導を賜っているジーク、異世界人かつそれぞれ上級神の仮祝福を受けているクスノキ様とユズキ様……一般人なのは私ぐらいでは?」


 言われていればたしかに、完全に一般人と言えるのはルナさんぐらいかもしれない。ルナさんのしたり顔はなんか腹立つし、なんならルナさんだって元最上位冒険者ではあるが……他の面々と比べると、たしかにこれといって目立つ要素は……。


「……なんか調子こいてる感じがするので、次のルナマリアさんへの課題を倍にします」

「やめてください、本当に死んでしまいます」


 するとなぜかそのタイミングで呆れた表情のアリスが姿を現して一言告げると、ルナさんは凄い勢いで土下座した。


「……え? アリス? どういうこと?」

「ああ、ルナマリアさんも強くなりたいとのことで、そこそこ前からたまにイジメてます」

「……ええ、比喩では無く本当にいじめられてます。それはもうすさまじいほどに毎回痛めつけられてます……少しは慈悲が欲しい」


 俺の質問にアリスがアッサリとした様子で答えると、ルナさんは哀愁漂う遠い目をしていた。いや、まぁ、それは置いておくとして、それより今の話の流れ的に……。


「それって、つまり、アリスがルナさんを指導してるってこと?」

「そうですよ。まぁ、月1か多くても月2ぐらいですけどね。もうそろそろ、一年ぐらいになりますね」

「え? そんな前から!? 全然知らなかった」


 アリスの言葉に驚きながら視線を動かすと、リリアさんとジークさんも心底驚いたような表情を浮かべていたので、どうやらふたりも知らなかったみたいだ。

 しかし、なんというか驚きつつもどこか納得していた。アリスとルナさんは少し似ているところもあるし、戦闘スタイルも万能型で似ているので、組み合わせとしてはしっくりくる。


「まぁ、ジークさんに関してはクロさんがそのうち声かけると思ってましたから、仲良し三人組のうち他に置いて行かれそうだったルナマリアさんに声をかけて、本人も希望したので指導してるわけです。まぁ、あんまり私が熱心に指導し過ぎるとバグる危険があるので、たまに見て課題出してる程度ですけどね~」

「……あの、アリス様? 私は?」

「貴女は完全な超天才型なので、指導者に教わるよりも基礎と模擬戦だけ繰り返したほうが、圧倒的に早く強くなれるので必要ありません。別に技術とかが足りてないわけでも無いですし……胃は鍛えたほうがいいと思いますけど」

「うぐっ……」


 リリアさんの問いかけをバッサリと一蹴するアリス。まぁ、たしかにリリアさんは放っておいてもどんどん強くなるような感じではある。


「リリアさんの場合は正直、ライバルというか……リリアさんの天才的過ぎて常人には理解できない感覚についてこれて、かつ切磋琢磨できる……早い話が『同じくらいの才能を持つライバル』が現れれば、もっと加速度的に成長するんでしょうが……まぁ、リリアさんみたいな世界のバグレベルの天才が、そう簡単に現れるとも思えませんけどね。現れるとしても数千年とか数万年に1人いるかどうかってところでしょうね」


 アリスがここまで言うほどリリアさんの才能は飛びぬけている。クロも、他の六王並の才能だと称していたみたいだし。

 けど、なんでかな? なんか少し……なんの根拠もないんだけど、そう遠くないうちにそんな存在が現れそうな、そんな予感がした。





【狐standby中】


シリアス先輩「なんかフラグ建ったけど、ウルペクラってこんな早く登場するの?」

???「番外編はあくまで一種のパラレルなので、出会う時期とかが変わる可能性は大いにありますね。実際、六連星がどんどん集まってるので、可能性はありそうですね」


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― 新着の感想 ―
[一言] ウルクペラの治療云々の設定ってどこにあったっけ? 話数が多すぎて見つけられない。
[気になる点] 番外編はパラレルという事でカイトの魔力修行は無かったことになるかもしれないわけだけど、それだとウルペクラに関してはそもそもの設定から変わる気がするんですが…… カイトが魔力増やす番外編…
[良い点] ようやく本編で伏線♪───O(≧∇≦)O────♪ [気になる点] 幻王本人に改造されてるんだから、ルナマリアさんも一般人ではないよなぁ エデンママにも認められてるし… [一言] こっそり…
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