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ハーモニックシンフォニー後編①



 ロズミエルさんの出し物の場所に辿り着くと、そこにはまさにミュージカルホールというような雰囲気の豪華で巨大な建物があった。

 入り口には公演時間の書かれた看板と、なんと等身大と言っていいレベルの大きさのロズミエルさんが描かれたポスターがあった。


 ポスターのロズミエルさんは腕を組み鋭い表情を浮かべた、凛とした佇まいで、まさに『孤高の薔薇』という通り名に相応しい。

 まぁ、内面に関しては『臆病なチワワ』とでも表現すべき性格なのだが、ポスターからはそんな内気さは感じられない。

 十中八九緊張で表情が固まっているだけだろうが、それでも内面云々を抜きにして考えれば、とてもカッコいいポスターである。

 そんな風に考えながらみんなと一緒に少しポスターを眺めていると、界王配下らしき人がこちらに近づいてきた。


「ミヤマカイト様ですね。ロズミエル様よりミヤマ様がいらっしゃったら控室に通すようにと仰せつかっております」

「あっ、そうなんですね。了解です……えっと、皆が一緒でも大丈夫でしょうか?」


 実はロズミエルさんには事前にハミングバードでどの時間帯の公演に行くかを伝えてある。というのも、ジークさんのためにサインをお願いしたいのだが、人見知りのロズミエルさんが大勢の人がいる入り口付近やホールに来るのは難しそうだと思って、こちらから訪ねる予定だった。


 どうやら部下に話を通していてくれたみたいなのだが、先にひとつ確認しておく。たぶん俺に関してはもう問題ない。以前の来訪でも普通に話せていたし……しかし、他の皆はロズミエルさんにとってまだ人見知りをする対象である。

 なので、場合によってはジークさんから色紙を預かって俺ひとりで行くつもりだったのだが……。


「……一応大丈夫とのことです」

「なるほど、それじゃあ、案内してもらえますか?」

「はい。こちらへどうぞ」


 いま一瞬部下らしき人が葛藤する感じの表情を浮かべていたので、たぶんロズミエルさんは皆で来てくれても大丈夫と伝えたのだろうが、部下の人がロズミエルさんの様子を見た限りではあんまり大丈夫ではないと言って感じだと思う。


 とりあえず、案内してもらって一般客は立ち入り禁止の控室が並ぶエリアに移動し、その中でひときわ大きな扉のある部屋に案内された。

 部下の人がノックして確認したあと、扉を開けて入室を促してくれたので俺たちは中に入る。部下の人はそのまま扉の前で待つようで、俺たちの入室を確認したあとで外から扉を閉めていた。


 部屋の中に入ると、広い部屋の中央付近に腕を組んで佇んでいるロズミエルさんが居た……『駄目そうである』。


「……えっと、先に俺が行きますので、皆はここで待っててください」


 完全にガッチガチに固まっているし、感応魔法からはアタフタした感情が伝わってきたので、皆にはその場で待ってもらって俺ひとりがロズミエルさんに近づく。

 俺が近くに行くと、ロズミエルさんは俺の肩に手を置き、スッと俺の耳に顔を近づける。


「……い、いらっしゃい、カイトくん。来てくれて嬉しいよ。そ、そそ、それで、申し訳ないけど、他の人たちにも、来てくれてありがとうって伝えてくれるかな?」

「了解です」


 案の定というかなんというか、皆と話すのは無理っぽいので俺が以前の白神祭でのカミリアさんの役割となって、ロズミエルさんの言葉を皆に伝達する。

 皆もロズミエルさんが極度な人見知りというのは、以前の白神祭で知っているので、混乱することなく受け入れてくれた。


「そういえば、正面のポスターカッコよかったですね」

「あわわわ、みみ、見たの? そ、そうだよね。見えるよね……なんでかなぁ? 私の出番ってほとんど無いようにしてるはずなのに、部下の子たちが『やはり代表はロズミエル様ですから』って、あんなポスター作っちゃったんだよぉ……ぅぅ、恥ずかしい」

「な、なるほど……まぁ、部下の人たちの気持ちも分かりますが」


 ネームバリュー的に考えて、やっぱり七姫であるロズミエルさんを前面に出したほうが、集客効果も高いのだろう。

 実際ロズミエルさんの見た目は、凄く華やかで高貴な美女って感じだし、ああいうポスターは凄く映えると思う。


「あっ、そうだ、ロズミエルさん。申し訳ないですが、もしよかったら、ジークさんにサインをいただいてもよろしいでしょうか?」

「サ、サイン? う、うん。大丈夫だよ」


 ロズミエルさんが承諾してくれたのでそれをジークさんに伝えると、ジークさんは嬉しそうな表情でお礼を言ったあと、色紙を持ってロズミエルさんに近づこうとした。

 しかし、ジークさんが一歩踏み出すと、ロズミエルさんはスッと滑るように後退した。


「……えっと……ジークさん俺が一旦受け取って渡しますね」

「そ、そうですね。そうしていただけると……」


 どうやらジークさんが近づくのは難しそうなので、俺が中継をしてサインを貰った。

 俺に対しては割と普通に話しているから、忘れがちになってしまうが……やはり、ロズミエルさんの人見知りは凄まじい。

 ちなみに、ジークさん相手だと何日ぐらいあれば話せるようになるのだろうか?


「……に、二ヶ月ぐらいあれば……たぶん……なんとか……」


 日単位ではなく月単位だった……どうやら、ネピュラとかに言っていた数日というのは、ロズミエルさん的には相当早い方みたいだ。





~おまけ・他の人たちと話せるようになるまで~

※あくまでロズミエル的な第一印象での直感であり、実際は前後する可能性あり


リリア:2ヶ月

ルナマリア:4ヶ月

葵:3ヶ月

陽菜:23日

アニマ:10ヶ月

キャラウェイ:5ヶ月

イータ:1年

シータ:2ヶ月

イルネス:16日

ネピュラ:2日



シリアス先輩「イータやアニマ……熱血漢な性格は苦手な感じかな? イルネスは分かるとして、陽菜が早いのはなんでだろう?」

???「陽菜さん明るく見えて結構臆病だったり内気だったりする部分があるので、それを感じ取ってるんじゃないですか?」

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― 新着の感想 ―
なお、主人公はそんなネピュラよりも早い、1日以内という。ぶっちぎりの最速。
[気になる点] アニマ・・・10ヵ月は 流石にクロの2年間の指導前なら納得できるけど、 流石に今はそこまでかからんでしょう。
[一言] リリアさんが案外短い部類なのは、苦労性の気質を察してのことでしょうかね 肩書だけを見ると、リリアさんはかなり華やかな部類なんですが
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